”歴史物エロゲ”をメインに作り続ける異色ブランド・インレの商業デビュー作『ChuSingura46+1 -忠臣蔵46+1-』。「フォーティーシックス」ではなく「よんじゅうろくプラスいち」と読みます。萌えゲーアワード2013ニューブランド賞金賞。
この作品はタイトル通り、日本人にはおなじみの「忠臣蔵」こと赤穂事件を題材にしたもの。有名な「刃傷 松の廊下」から吉良邸討ち入りまで、史実やドラマなどでおなじみの出来事を萌えキャラで再現していく作品です。
もちろんただ単に史実をなぞるだけでなく、大胆にアレンジしたり独自解釈を加えたりしています。何より赤穂浪士をはじめ、浅野内匠頭から徳川綱吉までほとんどの登場人物が女の子になってますしね。(ちなみに上野介は男のまま)
物語は現代に生きる学生・深見直刃が突然の胸の痛みと共に元禄時代へタイムスリップ。赤穂事件に巻き込まれ、47人目の義士として討ち入りに参加することになる、というのが大まかなストーリー。
主人公がタイムスリップしていることからもわかるように、割とファンタジックというかオカルトチックな要素もありますが、戦闘時は基本的に侍らしく刀で戦います。特に各章中盤から終盤にかけては熱く燃える展開の連続。
忠臣蔵が好きな人はもちろん、ほとんど知らなくても十分楽しめる傑作だと思います。私など忠臣蔵の話なんて最初と最後くらいしか知りませんでしたがメッチャ楽しめました。むしろこの作品をきっかけに忠臣蔵ドラマをじっくり見るようになったくらい、”忠臣蔵入門”としてもすばらしい作品です。
この作品は第1章「假名手本忠臣蔵編」が体験版としてエンディングまで丸々無料公開されているので、気になった方はとりあえず1章だけでもプレイしてみてください。1章からして激熱です。
- 史実をベースにした忠臣蔵物語
- 熱く燃える戦闘シーン
- 個性的かつ凛々しい赤穂浪士ヒロイン
あらすじ
元禄十四年(1701年) 三月十四日。
公式サイトより
勅使饗応役の任を仰せつかっていた播州赤穂藩主・浅野内匠頭が高家筆頭・吉良上野介を江戸城、松の廊下で斬りつけるという前代未聞の事件が発生した。
その知らせを聞いた五代将軍・徳川綱吉は激怒し、浅野内匠頭を即日 切腹。 浅野家には城地没収、お家断絶を命じる。
一方の吉良には何の御咎めもなかった。
一夜にして三百人の家臣は路頭に迷い、非業の死を遂げる者もいた。
それでも、亡君の仇を討つべく立ち上がった四十六人の浪士たち。
そして、謎のタイムスリップで現代から江戸時代の赤穂に来てしまった主人公の深海直刃 (ふかみ すぐは)。
赤穂浪士の運命に翻弄されつつも、浪士と共に仇討ちへと驀進する様を描いた時代劇サウンドノベルゲーム。
作品リスト
タイトル | 対応OS | 発売日 | 入手難度 |
---|---|---|---|
ChuSingura46+1 -忠臣蔵46+1-假名手本忠臣蔵編 | 2000 XP Vista 7 | 2011.8.13 | 並 |
ChuSingura46+1 -忠臣蔵46+1-江戸急進派編-Edo radical faction | 2000 XP Vista 7 | 2011.12.31 | 並 |
ChuSingura46+1 -忠臣蔵46+1-百花魁編 | 2000 XP Vista 7 | 2012.8.11 | 並 |
ChuSingura46+1 -忠臣蔵46+1- | XP Vista 7 | 2013.5.31 | 易 |
ChuSingura46+1 -忠臣蔵46+1- 小夜の小さな蕾。お兄ちゃん、そこはダメダメ! | XP Vista 7 | 2013.12.31 | やや難 |
ChuSingura46+1 -忠臣蔵46+1- 武士の鼓動-A sAmurAi’s BeAt | Vista 7 8 | 2014.11.28 | 易 |
ChuSingura46+1 -忠臣蔵46+1- V | Vita | 2015.5.28 | 易 |
ChuSingura46+1 -忠臣蔵46+1- 廉価版 | 7 8 | 2017.11.24 | 易 |
ChuSingura46+1 -忠臣蔵46+1- わっちとお兄ちゃんのラブラブ長屋生活 | 7 8 10 | 2019.11.29 | 並 |
インレ10thコンプリートパック | 10 11 | 2023.6.30 | 並 |
この作品は元は同人ソフトで、2011年夏のコミックマーケットで最初の「假名手本忠臣蔵編」が始めて発表され、その後一編ずつ全三編が発表されました。形としては「ひぐらしのなく頃に」と同じですね。
そして2013年に発表済みの3編と新規シナリオ2編を加えた商業版が発売。初回版と通常版がありますが、「通常版」の表記が無い方が初回版です。
初回版には主題歌2曲を収録したボーカルCDが付属します。(予約特典にはそれとは別の主題歌2曲を収録したCDが付属)
『~武士の鼓動』は外伝ストーリーを収録したファンディスク。新撰組を題材にしたインレの次回作『幕末尽忠報国烈士伝-MIBURO-』に繋がる物語なので、次回作もプレイ予定の人はこちらからプレイするようにしてください。
『~ラブラブ長屋生活』は本編BADエンドからのIFストーリーを収録したファンディスク。インレとは別のブランドであるプレカノから発売されていますがオフィシャルの作品です。
『小夜の小さな蕾~』はコミケでで頒布された同人ファンディスク。今となってはやや入手困難です。
コンシューマ版は今のところVITA版のみ。新規CGと新OPテーマが追加されています。
『コンプリートパック』は『忠臣蔵』から『GIKEI』まで(FDを含めた)インレ作品すべてを詰め込んだもの。ゲーム本編だけでなくボーカルCDやサントラ、特典のドラマCDに加えて書き下ろしの18禁ミニドラマ17編も同梱されています。
今から買うならトールケースサイズの廉価版を推奨。ボーカルCD目当てなら初回版を中古で。
インレ作品を全部プレイしたいなら『コンプリートパック』を。この種のBOXにしては中古価格がお手頃ですが、書き下ろしのミニドラマはDL形式なので注意してください。
ダウンロード版もありますが、今のところ通販で廉価版パッケージを買ったほうが安いです。ただダウンロード版は毎年12月に”討ち入りの日キャンペーン”と称して3割引きくらいになっているのでこちらを狙うのもありかと。
18禁版はFANZA独占配信ですが、エロ無しの海外版が『ChuSingura46+1 S』というタイトルでSteamでも配信されています(日本語表示も可能)。値段も結構安いうえに「2章&3章」と「4章&5章」の分割販売(1章は無料)となっているので買いやすいですね。
システム
システムはオーソドックスなADVタイプ。画面サイズは1280×720が標準ですが、一応1600×900にも対応しています。
ある程度の機能は揃っていますが、セーブ時にテキスト履歴が保存されなかったり、クイックセーブがなかったりと、2013年のソフトの割には微妙にかゆい所に手が届かないシステムです。
またオートモード時のウエイト時間が文章の長さに関わらず一定な上に調整も出来ないので、そのままだとちょっと読みにくかったですね。オートモード時のメッセージ表示速度を最遅にしてちょうど良いくらい。
セーブ時にはトータルのプレイ時間も記録されます。どうもシステムの起動時間を加算しているらしく、一度クリアしてもう一度始めからプレイしてもそれまでのプレイ時間を合計した時間が表示されます。
作中の演出は非常に凝っていて、バトルシーンでは立ち絵をグリグリ動かしたりイベント絵を拡大縮小したりして、とても臨場感のある演出になっています。
立ち絵を動かす演出自体は他の作品でも割と良く見かけますが、この作品では動きに緩急をつけたり、残像をつけたりすることによって動きのバリエーションを増やしているので見ていて飽きません。
例えば相手に切り込むとき、一度立ち絵を少し上にぴょんと跳ねさせてから一気に横にズバンと疾走させたりすることによって軽快な動きを表しています。こういう見せ方は上手いですね。
派手な演出がある以上、多少PCのスペックが必要になりますが、私の古いノートPCでも問題なく動いたので最近のPCならほぼ大丈夫かと。
ひょっとしたらタブレットPCあたりだときついかもしれませんが、公式サイトから演出軽減パッチも配布されているので、重い場合はあてましょう。
シナリオ
企画及びシナリオライターはインレの代表でもある”葉山こよーて”さん。
日本の学校に通う主人公の深海直刃が突然300年前の江戸時代にタイムスリップし、赤穂藩の藩士として吉良邸討ち入りまでの激動の2年間を乗り切っていく、という物語。
300 年前の世界でも深海直刃という人物は存在していて、それと主人公が入れ替わるという形になりますが、どちらかというとタイムリープものというよりは異世界 召喚ものに近い雰囲気です。元禄時代の深海直刃がどうなったかは全く言及されないですし。これはこれでちょっと怖いですが・・・。
ストーリーは全5章の章別構成で、基本的にそれぞれの章で話が完結しています。スタート画面で1章から順番に選んでいく形になっていて、物語中に選択肢がほとんどない一本道の構成です。
文章はこれでもかというほどわかりやすく書かれています。キャラが意味深なセリフを言ったときは主人公のモノローグで「これはこういう意味の言葉だ」みたいな解説が入りますし、過去の言動の伏線を回収するときはその都度復習するように回想シーンが挟まれます。丁寧な作りなのはいいですが、ちょっとテンポが悪くなることもあるかも。
またこの作品はエロゲにしては時代考証がしっかりとしています。
稽古で使ってる竹刀が”袋竹刀”だったり、街中に公衆便所的な桶が置いてあったり、切腹するときは実際に腹を切るわけではない”扇子腹”だったりと、ドラマ等ではなかなか描かれない江戸時代の文化や風習が結構出てきて勉強になりますね。
登場人物の台詞回しも時代に合わせたものになっていて雰囲気が出ています。
例えば「言う」は「申す」、「知っている」は「存じている」、「本当ですか?」は「まことですか?」といった感じ。漢字の読みも「案内」は「あない」、「商人」は「あきんど」、「刺客」は「しきゃく」というように時代劇等でおなじみの言い回しになっています。
逆に江戸時代にも「熱中症」という言葉があったことにはちょっと驚きました。
グラフィック
原画及びキャラクターデザインは”ぬい”さん。とても商業デビュー作とは思えないほどクオリティの高いCGです。特に戦闘シーンのCGは緊張感や躍動感のあるものが多くて非常に燃えますね。
イベント絵は全部で150枚の大ボリューム。
衣装や髪型も派手派手ないかにもエロゲーといったデザインで、忠臣蔵というマジメな話が多いストーリーとの対比で上手くバランスを取っているように思います。これでキャラデザが地味だったらすごく暗い作風になってしまいますからね。
各キャラの衣装は非常に露出度が高く、これもエロゲーならでは。ほとんどのキャラが胸の谷間丸出しで、服の上から乳首も確認できます。
これVita版はどうなってるんだろうと思ってサンプルを見たら、普通にVita版でも乳首浮いてますね。まぁ服のシワだと言い張れないこともないけど。
一部のキャラは乳輪も見えちゃってますが、これはさすがにVita版では修正された模様(笑
またキャラの立ち絵の種類が非常に豊富。登城するときはちゃんと裃を着ていたり、切腹前は白装束だったりするのは当然として、戦闘で切られたらダメージに応じて怪我が増えてたり、討ち入りシーンの後半では服に返り血がついていたり刀が刃こぼれしていたりして激闘であることを表現しています。
あと団子や餅を食べるときはいちいち立ち絵にも表示させたり、峰打ちの戦闘ではちゃんと刃が逆になってたりと、非常に細かいところまでこだわって描かれています。
ちなみに背景に富士山が描かれるときはちゃんと左右対称になってます。当たり前じゃね?と思うかもしれませんが、現在の富士山って東海道側から見ると宝永の大噴火の跡が見えるはずなんですよね。でもこの作品にはそれがなくシンメトリーな富士山が見える。何故かといえば元禄時代は噴火の前だから。
個人的にちょっと感動したポイントです。描かないことがリアル、というのもあるんですね。
キャラクター
大石 内蔵助
ご存知、赤穂藩城代家老。内匠頭亡き後の藩政を一手に担う、第1章のメインヒロイン。年齢は考えちゃダメ(笑
キャラの表示がロリっ子の昼行灯モードと、巨乳美女の真面目モードで全然違うという「干物妹うまるちゃん」みたいな演出です。
堀部 安兵衛
赤穂藩きっての剣客。作中でもその剣技を如何なく発揮します。第2章メインヒロイン。
政治的には仇討ちを強く主張する江戸急進派のリーダー的存在。
大石 主税
内蔵助の長女で幼名は松之丞。赤穂浪士の中では最年少ですがあんまり年下には見えません。
ツンツンしてるときとデレたときのギャップが可愛い典型的なツンデレ娘。第3章メインヒロインですがこの章の主税可愛すぎる!
矢頭 右衛門七
元服したての矢頭家の長女。病の父親に代わって義盟に参加。第5章メインヒロイン。
しっかり者ですが剣の腕はからっきし。
深海 直刃
平成の現代から元禄時代にタイムスリップしてきた男子学生。
剣道経験はあるものの当然実戦経験は無し。でも話が進むごとに強くなっていきます。
なろう小説のように最初から強いわけではなく、ちゃんと努力して強くなっていくことに好感が持てますね。
このほかにも非常にたくさんの人物が登場し、人物録に登録されるのは43人。登録されないキャラもいるので総勢50人以上のキャラが物語に関わってきます。
キャラクターは史実と同じ名前で出てきますが、そのほとんどが女性になってます。始めは「内蔵助」や「安兵衛」といった男性名で女性キャラを呼び合うことに違和感があったんですが、意外とすぐ慣れますね。
内蔵助と主税は母子という設定ですが、父親の存在は完全にスルーされています。史実で内蔵助の妻だった大石りくも出てきません。
ただ登場人物が全員女性かというとそういうわけではなく、吉良上野介や柳沢吉保などは男性ですし、やられ役である吉良家のモブキャラも全員男性。
また右衛門七の父親は普通に出てきます。まぁこの辺は臨機応変ということで。
ちなみに立ち絵のある赤穂浪士の中では台所役の三村次郎左衛門だけ男性のおっさんキャラとして描かれています。これは多分「この作品の赤穂浪士は全員女というわけではないよ」ということを示すためにあえて1人だけ男を出したんでしょうね。確かに討ち入りシーンのCGでは男性キャラも何人か確認できます。
ボイス
有栖川みや美/高田初美(内蔵助) | 桐谷華/種﨑敦美(安兵衛) | ひなき藍/ミルノ純(主税) | 春河あかり(右衛門七) |
かわしまりの/瑞沢渓 | 桃也みなみ | 佐藤千幸/平田由季 | 桃井いちご/大久保藍子 |
杉原茉莉/水口まつり | 白月かなめ/松山紗香 | 上田朱音/眞田朱音 | 芹園みや/西沢広香 |
鈴田美夜子/若林直美 | 民安ともえ/たみやすともえ | 秋野花/あさみほとり | 一色ヒカル/田中涼子 |
御苑生メイ/小山さほみ | 佐倉江美/永井真衣 | 小倉結衣 | |
堀川忍/宮下栄治 | 陸奥出流 |
主人公以外フルボイス。
中堅からベテランをそろえた堅実なキャスティングです。なんというかアニメ化はあんまり考えてないような面子ですね。
凄いと思ったのが内蔵助役の有栖川みや美さん。昼行灯モードと真面目モードで全く違うキャラを見事に演じ分けてます。これぞプロの技。
人気と実力を兼ね備える桐谷華さんが演じるのは実直で男っぽいキャラの安兵衛。かなり地声に近い感じなので、(CS版担当の)種﨑さんのWebラジオを聴いてるともう安兵衛にしか聞こえない・・・。
ちなみにエンディングのキャストクレジットでは、メインキャラ役→サブキャラ役→モブキャラ役の順に表示された後、最後にレジェンド声優・一色ヒカルさんが表示されるという、ドラマのような見せ方になっています。こういうの良いですね。
BGM
BGM作曲は烏有の井原恒平さん。曲数は主題歌のインストVerを除くと28曲。
曲名が設定されてないので、音楽鑑賞モードでは「BGM-0001」みたいな番号表示になっています。メッチャわかりにくい・・・。
個人的お気に入り曲は戦闘シーンで流れる「BGM-0014」。エレキを力の限り奏でるロックな曲でぶっちゃけあんまり江戸時代っぽくはないですが、戦闘シーンでは非常に燃えます。これ以外にも戦闘シーンでは現代的な曲が多いですね。
一番多く聴く機会があるであろう「BGM-0020」は、まったりとした日常曲。飽きずにずっと聴いていられます。
討ち入り前に流れる「BGM-0023」は正に嵐の前の静けさという感じ。じわじわと闘志がみなぎっていく様子が見て取れるようです。
コーラスつきの「BGM-0025」は神々しさを感じるラスボス曲。RPGのラスボス曲にありそうな感じ。
主題歌
タイトル | 作詞 | 作曲 | 編曲 | 歌 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
「ADABANA-仇華-」 | Duca | 戸田章世 | 東タカゴー | Duca | OP |
「終わりの始まり」 | Duca | 安瀬聖 | 安瀬聖 | Duca | ED |
「Dearest Sword, Dearest Wish」 | Team-OZ | Team-OZ | 伊藤ミツヤ | Ayumi. | OP |
「蒼穹」 | Team-OZ | Team-OZ | 氷青 | ED |
ボーカル曲はOPとEDで2曲ずつ。「終わりの始まり」以外は音楽鑑賞モードでフルバージョンを聴くことができます。ありがたいんですが何で1曲だけショートバージョンなんだ・・・。
OP曲の2つはこの作品にぴったりなメッチャ熱い良曲。クライマックスでは挿入歌としても使われますが非常に盛り上がります。
ED曲の2つはしっとりとした、静かでありながら力強い曲。正に兵どもが夢の跡。特に「蒼穹」の歌詞は良い意味で捻りのないストレートな内容で、3章ラストにぴったりです。
ボーカル曲は初回版の予約特典&初回特典CDか、インレの前身である同人サークル・れいんどっぐ名義で発売された同人CD『ChuSingura 46+1 ボーカルコレクション』に収録されています。ボーカルコレクションはFDである『武士の鼓動』の主題歌も収録されてますが、同人CDということで通販以外ではちょっと入手は難しいかもしれません。
ムービー
第1章から第4章までは長めのプロローグ後にムービーが流れます。ムービー鑑賞モードではオープニングはもちろん、エンディングムービーも一度見たものは全て鑑賞することが可能。
OPムービーは本編同様、立ち絵や背景をグリグリ動かすダイナミックな作りになっています。
またシナリオゲーでは珍しく、HシーンのCGも使われているのでYoutubeにはアップされていません。
2章から4章までのムービーはそれぞれの章のストーリーに合わせたものになってますが、1章のムービーは作品全体のムービーになっているので1章に出てこないキャラやCGも使われています。
攻略
物語中に選択肢はほとんどありませんが、唯一第3章にのみBADエンドに繋がる選択肢があります。わかりやすい選択肢なので間違えることは無いかと思いますが、BADエンドにもHシーンがありますし、短いシナリオなので本編を進める前に見ておいたほうが良いかと。
総プレイ時間はゆっくりやって50~60時間。普通にプレイすればだいたい1章あたり10時間程度でしょうか。全体としてはかなりの大ボリュームです。
Hシーン
シーン鑑賞モードに登録されるHシーンは11個。1ヒロインあたりだいたい2~3個になります。
行為はオーソドックスなもので尺は短め。内蔵助のHシーンはロリな昼行灯モードと大人な真面目モードで両方Hシーンがあります。正に一粒で二度美味しいキャラ。
ちょっと気になったのは、Hシーンにおける主人公の体がやたらと黒くて生気のないゾンビのように見えます。男の体の色を濃くして女体を目立たせるのは他の作品でも良くある演出ですが、さすがにやりすぎのような・・・。
登録されてるHシーン以外にも、サブキャラの自慰シーンだったり入浴シーンだったりラッキースケベ的なシーンだったり、様々なサービスシーンがあります。
サブキャラの本番Hが見たい場合はファンディスクの『武士の鼓動』をプレイしましょう。
それにしても江戸時代の銭湯って混浴なんですね。なんて羨ましい・・・。
感想
忠臣蔵のエロゲアレンジとして高い完成度を持つことになったこの『ChuSingura46+1』。
タイトルのつけ方も秀逸で、 なんで「ChuSingura47」にしなかったといえば、実際の赤穂浪士も四十七士のうち切腹したのは46人で1人生き残ってるんですよね。その史実も物語に取り入れてるあたり、非常に上手く作られた作品だと思います。(もちろん某アイドルグループ名にあやかったということもあるんでしょうけど)
この作品は実質的にはシナリオの葉山こよーてさんと原画のぬいさんの二人で制作されていたそうなのですが、本当に歴史が好きなんだなぁということがひしひしと感じます。
導入編とも言える第1章の『假名手本忠臣蔵編』は正にザ・忠臣蔵という感じで、ドラマ等でおなじみの有名エピソードがてんこ盛り。内匠頭切腹のシーンやラストの討ち入りのシーンは、内匠頭の無念や赤穂浪士たちの思いが伝わってきて思わず泣けてきます。
忠臣蔵好きの人はこういうのを求めてるんですね。そりゃ年末になるたびにドラマやってたのもうなずけるわ・・・。そういや最近はあんまりやらないけど…。
2章以降は「一方その頃」といった感じで内蔵助以外の赤穂藩士にもスポットが当てられ、討ち入りまでにどんな経緯があったのかが描かれます。討ち入りの中心人物だった堀部安兵衛や奥田孫太夫はもちろんのこと、高田郡兵衛や毛利小平太など途中で脱盟してしまった者たちの経緯も描かれ、物語に深みを与えています。
討ち入りまでの大まかな流れは各章とも史実とほぼ同じなんですが、ラストの展開だけ異なっているので、「今回はどういう結末になるんだろう?」とダレずに最後まで物語を楽しむことが出来ます。
全体の構成としては、3章の『百花魁編』までは全力で忠臣蔵してますが、商業版で追加された4章以降の展開はちょっと毛色が変わってくるので好みの分かれるところかもしれません。4章以降で登場するキャラ(特に敵キャラ)に関してはやや唐突感があるので、どうせなら最初から登場させとけばいいのに…、と思わなくもないですね。
特に5章ラストの展開はオカルト色満載な上に、ぶっちゃけ忠臣蔵とあんまり関係なくなってるので結構批判されたりもしてますが、私はああいう燃え燃えの王道展開は大好きです。忠臣蔵の物語自体は3章でケリが付いているので、(美少女ゲーム的な結末として)個人的にはアリだと思ってます。王道やお約束は大事。
”女だらけの忠臣蔵”ということで、パッと見はちょっとはっちゃけてそうに見えますが、中身は凄く大真面目に作り込まれてあるので非常に読み応えがあります。個性的な女の子たちが主君への忠義を果たすため、命をかけて死闘に身を投じてゆく姿は、正に萌えと燃えの融合。
忠臣蔵が好きな人も、あまり関心が無かった人も、誰でも熱い想いを共有できるのはやはり史実をベースにした物語の強みでしょうか。
インレはこの作品の後、新撰組や源平合戦をテーマにした作品を世に送り出していますが、この調子で歴史物エロゲを作り続けていけば、エロゲをきっかけに歴史の勉強をする人も増えてくるかもしれませんね。凄いぞ!エロゲが社会のためになってる!