2022年春アニメの中でも結構な話題となった作品が、P.A.WORKS制作の『パリピ孔明』。
原作は四葉夕卜/小川亮さんによる漫画作品で、現代に転生した諸葛孔明が渋谷で歌手を目指す月見英子の歌に感銘を受け、知略と策略をもって英子をトップシンガーにするための軍師となる、という逆転生モノのコメディです。

孔明役の置鮎龍太郎さんによる渋い演技とともに、多数の三国志ネタをはさみながら孔明の計略と英子の歌声がピタリとハマって次々とライブを成功させ、どんどんファンを増やしていく過程が楽しい作品で、私も毎週楽しみに見てました。
ただこの作品、前半と後半でちょっと作風が変わっていて、コメディ要素が多かった前半と比べると後半はシリアス要素の多いやや真面目なストーリーになっています。
その結果、一部のファンが離れてしまい、後半は人気が失速。
『パリピ孔明』失速の原因
オタキングこと岡田斗司夫さんも「パリピ孔明がなんで面白くなくなったのか」を解説しています。
要約すると
・6話までは”中身がないから”面白い
・7話以降は”中身を入れようとして”面白くなくなった
・11話は奇跡の面白さだが、最終回は歌が普通過ぎて面白くない
つまり「パリピ孔明」に求められていたのはノリと勢いと三国志ネタで突っ走るコメディであって、主人公の成長とか自分探しみたいなありきたりな物語なんていらない、ってことみたいです。
”中身がない”というのは決して悪いことではなくて、『サザエさん』や『美味しんぼ』みたいに中身がないからこそ頭空っぽにして無限に見ていられる。パリピ孔明にはそういう展開が求められていた、と。
いわゆる人気アニメの中にもいい意味で”中身のない”アニメは多くて、有名どころでは『けいおん!』や『ごちうさ』、『ゆるゆり』、『ゆるキャン△』あたり もそうでしょうか。確かになでしこやリンりゃんが「私がキャンプをする意味って何だろう?」なんて悩む展開は見たくない(笑
キャラゲーとの共通点
私自身はこの『パリピ孔明』というアニメ、結構最後まで楽しめたほうなんですが、ネットでの評判を見ると割と岡田さんと同意見の人も多いみたいですね。
なんで私が楽しめたのにみんなは楽しめなかったのか、というよりみんなが楽しめなかったのになぜ私が楽しめたのかをちょっと考えてみたら、こういう「前半コメディ後半シリアス」という展開ってエロゲーではよくあるパターンなんですよ。もう様式美といってもいいくらい。
エロゲーのシナリオって(エロメインの抜きゲーを除くと)、おおざっぱに言って物語メインの”シナリオゲー”とラブコメやイチャラブがメインの”キャラゲー”の2つに分かれます。
キャラゲーはヒロインや他の登場人物たちとのなんでもないやり取りやドタバタした日常を描いていくものなので、良くも悪くも”中身がない”んですよね。そのかわり永遠に見ていられる。
多分ですけど、世間一般の人がイメージする「美少女ゲーム」のイメージそのままのジャンルです。
タイトル通り、彼女との甘~い恋人生活を堪能することができます。
本編後のアフターストーリーやキャラを一新した続編も作られた息の長いシリーズです。
友達から恋人に至るまでの過程や変化を重視した作品です。
最初はただの友達だったヒロインとの距離が徐々に縮まり、最終的には「砂糖より甘い」と言われるほどのバカップルに到達します。
ただキャラゲーだからといってもずっと日常を見せられるものばかりではなくて、後半や終盤にはシリアスな展開やメッセージ性のある物語にシフトする作品も珍しくありません。むしろファンの評価が高い作品はだいたいこっちのパターンです。
それまでの甘々な展開があるからこそ、最後のシリアス展開が引き立つんですよね。
代表的なのは『金恋』や『ノラとと』。
北欧から留学してきたお姫様・シルヴィを中心とした学園ラブコメですが、終盤では「限られた時間をどう生きるか」という考えさせられるテーマが描かれます。 主人公が冥界の皇女・パトリシアの魔法で猫の姿に変えられてしまうところから始まるファンタジー学園ラブコメ『ノラと皇女と野良猫ハート』。
前半までは面白おかしい学園生活で腹を抱えて笑った後、後半は家族や命をテーマにしたちょっとシリアスな物語が展開します。
こういう作品になると「キャラゲーなのかシナリオゲーなのか」という分類はあまり意味がなくて、素直に「キャラもシナリオも両方楽しめる作品」として味わったほうが幸せになれそうな気がします。
もちろんキャラ一辺倒・シナリオ一辺倒の作品もそれはそれで面白い作品がたくさんあるので、自分の好みに合う作品をプレイしたいもの。
ヒロインとの甘い恋人生活を求めているのに、『WHITE ALBUM2』や『装甲悪鬼村正』をプレイしたら地の底まで転落して二度と這い上がれなくなりそうです。やはり事前の下調べは大事。
アニメだとよく「3話までは見ろ」と言われるように、だいたい序盤の2~3話くらいで作品の方向性を視聴者に示すことが多いと思うので、「パリピ孔明」の場 合6話まで引っ張ったのはTVアニメの構成的にまずかった、ということもあるかもしれません。この辺は原作付きアニメの弊害といったところでしょうか。
考えてみれば、アニメ版の『恋姫†無双』があれだけ高評価だったのも、原作ストーリーを大幅に改変してキャラゲー的な内容に振り切ったのが良かったのかもしれません。
ゲームならではの自由度
その点、エロゲーの場合はほぼすべてオリジナルストーリーですし、アニメのような尺の制約もないですから割と自由に物語を作ることができます。なんなら本編 のシリアス展開を無かったことにするような続編やファンディスクが製作されることもしばしば。むしろそれがゲーム媒体の良さでもあります。
アニメや漫画だと、物語が完結した後に「この後はヒロインとのイチャラブをご堪能ください」なんて展開を描くのはなかなか難しいでしょうからね。
つまり何が言いたいかというと、
中身のない物語を見たいならエロゲーやろうよ!
ってことなんですけどね。