
女の子のHなシーンが見られると思ったら死体が出てきた
そんな驚愕の体験が味わえるのもエロゲー作品ならでは。
エロとミステリーって意外と親和性があると思うんですよね。
ミステリー小説でもたまにエロいシーンが挟まれたりすることがありますし。
ミステリーの魅力といえば読者に挑戦するような難解なトリックや、犯人との息詰まる心理戦。
私自身はミステリファンというわけではないですが、たまーにベストセラーのミステリーを読んだりはします。
エロゲーの世界でも「ミステリー」をテーマにした作品は一応あるんですが、かなり数は少なめ。
それもミステリー小説では定番の密室トリックやアリバイトリックを凝らした作品はほとんどなくて、どちらかというとサスペンスチックな作品が多い感じ。
今回はそんな「ミステリーエロゲ」を10作品紹介してみます。
ガチのミステリーだけでなく、サスペンス系の作品や謎解き要素のあるSF・ファンタジー作品からも集めてみました。
いいですよ~、ミステリーエロゲ。
2人の主人公が壮大な陰謀に挑む『EVE burst error』

| ブランド | シナリオ | 原画 | 発売日 |
|---|---|---|---|
| シーズウェア | 菅野ひろゆき | 田島直 | 1995.11.22 |
| El Dia | 菅野ひろゆき | 田島直 | 2016.11.25 |
早世の天才ゲームデザイナー・菅野ひろゆきさんによるサスペンスアドベンチャーの超名作。
「見る」「聞く」「調べる」といったコマンドを選択して物語を進めていく、90年代らしいアドベンチャーゲームです。
物語はしがない私立探偵の天城小次郎と、日本の内閣調査室のエージェントである北条まりなのW主人公で紡がれる、コミカルでハードボイルドなサスペンスストーリー。
小次郎はとある美術品の捜索、まりなは大使令嬢の護衛という一見関係のない依頼を受けますが、やがて2人はとある陰謀にかかわる大事件へと巻き込まれていきます。
任意に主人公2人の視点を変えながら物語を進めていく独特なシステムをうまく使ったストーリーが魅力的な作品です。

2人の主人公が偶然同じ場所に居合わせたり、図らずも協力して困難に対処したり、終盤に物語が1ヵ所に収束したりと、W主人公ならではの展開が熱い作品でした。
今でも数多くの続編や関連作品が作られるほど菅野作品を代表する名作です。

オリジナル版やWin95版はさすがに今のOSで動かすのは厳しいと思うので、今からプレイするなら2016年に発売されたリマスター版を推奨。
さかき傘さんによる正当続編『EVE rebirth terror』や『EVE ghost enemies』もおすすめです。

昭和初期を舞台にした連続猟奇殺人事件『カルタグラ ~ツキ狂イノ病~』

| ブランド | シナリオ | 原画 | 発売日 |
|---|---|---|---|
| Innocent Grey | 飯田和彦 | 杉菜水姫 | 2005.4.28 |
舞台は終戦直後、昭和26年の東京。元警官で私立探偵の主人公・高城秋五が、失踪したかつての恋人・上月由良の捜索を依頼されるところから始まる和風サイコミステリー作品。
主人公の居候先である遊郭を中心にしつつ、物語はやがて上野で頻発する連続バラバラ殺人事件へと繋がっていきます。
昭和初期の独特の雰囲気がある物語と、メイン原画家の杉菜水姫さんによるいい意味でエロゲーとは思えないシックで美麗なイラストが特徴的。
萌えとか無縁の硬派な作風で、ショッキングなシーンも頻繁に出てくるので注意が必要です。首がなかったり目玉をくりぬかれたりした死体が普通に出てきます。

身近な人間が殺されていく事件そのものもショッキングなのですが、最終的な犯人の正体も意外過ぎて驚かされました。
物語の雰囲気は京極夏彦作品に通じるものがあるため、それらが好きな方にはおすすめの作品です。

2023年に画質をフルHD化し、シナリオや主人公ボイスの追加を行ったリメイク版が発売されたので今からプレイするならこちらを推奨。
後に発売される『殻ノ少女』と世界観や一部の登場人物が共通しているので、両方プレイするなら先に『カルタグラ』からプレイしましょう。

偏執的な狂気の行きつく先『殻ノ少女』

| ブランド | シナリオ | 原画 | 発売日 |
|---|---|---|---|
| Innocent Grey | 鈴鹿美弥 | 杉菜水姫 | 2008.7.4 |
『カルタグラ』から5年後の昭和31年の東京を舞台に、主人公の私立探偵・時坂玲人が連続猟奇殺人事件の捜査のため櫻羽女学院に教師として潜入するところから始まるサイコミステリー。
システムは昨今見られなくなった推理アドベンチャーシステムを採用していて、プレイヤーが自ら事件現場で調査し、証拠を集めて犯人を推理していきます。
物語のテーマは狂気(パラノイア)。偏執的で猟奇的な事件が連続し、凄惨な事件に巻き込まれていく少女たちに同情を禁じえません。
物語は続編である『虚ノ少女』『天ノ少女』(読みは全て「からのしょうじょ」)を含めた三部作の構成になっているので一気にプレイしてください。

いやこれめっちゃ難しかった…。
自力で事件を解決できた人いるのか?ってくらい。
仕方ないっちゃ仕方ないんですが、攻略サイトには真犯人の名前も普通に書かれていることが多いので注意してください。

今からプレイするなら2019年に発売されたHDリマスター版を推奨。
パッケージ版はコンパクトかつイラストが一切描かれていないシックなデザインですがプレミア化してしまっています。

息詰まる魔王との頭脳戦『G線上の魔王』

| ブランド | シナリオ | 原画 | 発売日 |
|---|---|---|---|
| あかべぇそふとつぅ | るーすぼーい | 有葉 | 2008.5.29 |
人間社会の崩壊を目論み様々な事件を起こす「魔王」と呼ばれる犯罪者に、主人公とヒロインが立ち向かっていくサスペンス作品。
この作品の魅力は何といっても「勇者」を自称するヒロイン・宇佐美ハルと「魔王」と呼ばれる謎の敵との頭脳戦。互いに相手の裏の裏をかこうとする息詰まる駆け引きにハラハラしっぱなし。
また名作『車輪の国、向日葵の少女』を手掛けた”るーすぼーい”さんらしいシナリオ構成も特徴的。
ゲーム媒体ならではの仕掛けにプレイヤーの多くが騙され、ラストでは思わず涙してしまうほど感動的な展開が待っています。

『車輪~』と並んで00年代の”るーすぼーい”作品を代表する名作ですね。
ラストのカタルシスはむしろ『車輪』を上回るんじゃないかと思うくらい。
意外な魔王の正体や名曲「Close Your Eyes」を使った演出など、記憶を消して再プレイしたい作品の筆頭です。

DL版は現行OSに対応しているうえに、定期セールでほぼ毎回半額になっているのでプレイしやすいのもいいですね。
今となっては画質の低さ(800×600)が難点と言えば難点ですが、あかべぇそふとってリマスターとかリメイクに消極的なんですよね…。

舞台はファンタジックな学園『時計仕掛けのレイライン』

| ブランド | シナリオ | 原画 | 発売日 |
|---|---|---|---|
| UNiSONSHIFT | 風間ぼなんざ 西ノ宮勇希 南愛恵 | うらび ぺろ いいの いとうのいぢ | 2012.7.27 |
魔術の存在する学校・天秤瑠璃学園を舞台に、転校生の主人公・久我満琉が”特殊事案調査分室”(委員会みたいなもの)に配属され、ヒロインの鹿ケ谷憂緒らと共に魔術道具”遺品(ミスト)”によって引き起こされる事件を調査・解決していく学園ファンタジー。
この学園は魔術によって夜になると別の世界と繋がり、昼とは全く別の生徒が登校してくるというファンタジックでミステリアスな世界観です。
この作品は分割販売されていて、第1作『黄昏時の境界線』、第2作『残影の夜が明ける時』、第3作『朝霧に散る花』の三部作構成。現在は3本がセットになったパックも発売されています。
公式サイトや販売サイトでは2作目以降の紹介ページに1作目のネタバレが思いっきり書かれているので、プレイ前は見ないようにしましょう。

いい意味でラノベチックな世界観とキャラクターでスピーディーに読み進めることができました。
謎解き自体はそんなに難しいものではないですが、キャラや世界観の設定に想像を超える驚きがありますね。

これも定期セールの常連で、最近では1作300円で販売されることも珍しくありません。
3作全部買っても1000円切るとかありえない値段です。

鬼の少女たちと共に事件を追う『なないろリンカネーション』

| ブランド | シナリオ | 原画 | 発売日 |
|---|---|---|---|
| シルキーズプラス | かずきふみ | すめらぎ琥珀 | 2014.9.26 |
霊感を持つ大学生の主人公・加賀美真が亡き祖父の家で一人暮らしを始めたが、そこは常人には見えない座敷童や”鬼”と呼ばれる女性がいて、かつて祖父が担っていた”お役目”も引き継ぐことに。
そしてお役目に従い、鬼たちと共に街をさまよう霊を成仏させていくうちにある事件に巻き込まれていく――。
実力派のシナリオライター・かずきふみさんによるオカルトチックなサスペンスファンタジー。
犯人を捜して事件を解決するだけでなく、命や家族の大切さを正面から描いた物語でもあるので、泣けるゲームが好きな方にもおすすめの作品です。

物語自体はそんなに長くはないのですが、意外過ぎる事件の真相と共に、鬼たちとの面白おかしくちょっとエッチな加賀美家の生活、涙なしでは見られないラストシーンなど、エロゲーとしての魅力が詰まった作品でした。

続編というほど繋がりはありませんが、登場人物や世界観を共通する作品として『あけいろ怪奇譚』や『きまぐれテンプテーション』が発売されています。
それぞれ作品の方向性は異なりますが、どれも”かずきふみ”さんらしい面白さのある作品です。

心の声を聞いて事件の真相に迫る『シンソウノイズ ~受信探偵の事件簿~』

| ブランド | シナリオ | 原画 | 発売日 |
|---|---|---|---|
| Azurite | 海原望 禾刀郷 茗荷屋甚六 | はましま薫夫 | 2016.11.22 |
「他人の心の声を聞き取ることができる」という特殊な能力を持つ主人公が、行動班というくじ引きで決められたクラスメイト達と共に様々な事件を解決していく探偵モノ。
遭遇する事件は定番の密室殺人だったり、人の死なない日常ミステリだったり、特殊能力を駆使したものだったりとバリエーションに飛んでいます。
主人公は他人の心の声が聞こえるので犯人がその場にいることがわかっているものの、誰の声なのかまではわからないため証拠を集めたのちに推理して追い詰めていくという、特殊能力をうまく使った物語が実に秀逸。
システム的にも通常のテキストアドベンチャーパートと推理パートに分かれていて、推理パートではプレイヤーが証拠や証言を整理して犯人やトリックを当てていくという構成です。

各章それぞれで起こる事件は何とか自力で解くことができると思います。
最悪総当たりでもなんとかなりますし。
ただラストの犯人当てが本当に難しかったです。あれ一発で当てた人いるんですかね?

パッケージ版はDMMのネット認証が必須なので中古品では基本的にプレイできません。
定期的に半額セールの対象になっているダウンロード版がおすすめです。

序盤から巧妙に張り巡らされた伏線『アメイジング・グレイス』

| ブランド | シナリオ | 原画 | 発売日 |
|---|---|---|---|
| きゃべつそふと | 冬茜トム しげた | 梱枝りこ | 2018.11.30 |
巨大な壁に囲まれたアンティークな町を舞台に、記憶喪失の主人公・シュウが美術を専門に学ぶ聖アレイア学院で仲間たちと共に勉強や創作活動をしつつ楽しく過ごしていたところ、クリスマスに起きた謎の大火災で街が壊滅。
その後、不思議な力により時間が巻き戻され、シュウはもう一度クリスマスまでの12月をやりなおす――、というループ物のストーリー。
シナリオライターは綿密な設定や物語が得意な冬茜トムさん。トムさんらしく序盤から伏線張りまくりの構成です。
なぜシュウは記憶を失っているのか、なぜシュウだけ時間を巻き戻すことができるのか、クリスマスに起こる大火災は誰の仕業なのか、どうしてこの街は壁に囲まれているのか、終盤にパズルのピースがピタッと嵌るようにすべての謎が明らかになるシーンは非常に気持ちのいいカタルシスが得られます。

今でも語り継がれる「例のシーン」はめちゃくちゃ衝撃的でした。
すべてを知ったうえで改めて最初から読むと、何気ない日常シーンにもしっかり伏線が張り巡らされていたことに気づかされます。

パッケージ版は今現在(2026年)プレミア化していて手に入りづらくなっています。
ダウンロード版は毎年クリスマスの時期になると格安で販売されるので、安く買いたい人は冬まで待ちましょう。

舞台は100年前の東京『さくらの雲*スカアレットの恋』

| ブランド | シナリオ | 原画 | 発売日 |
|---|---|---|---|
| きゃべつそふと | 冬茜トム | 梱枝りこ | 2020.9.25 |
主人公は2020年の現代から百年前の東京に突然タイムスリップした青年・風見司。探偵事務所を営み周りから”所長”と呼ばれる謎の英国人少女と偶然出会ったことにより、様々な事件に巻き込まれていく大正ロマンあふれるミステリー作品です。
シナリオライターは『アメイジング・グレイス』で高い評価を得た冬茜トムさん。
この作品も仕掛けや伏線の張り巡らされたトムさんらしい物語で、「ヒット作の次作」という難しい立ち位置でありながら、前作を越える評価を得たまさに名作中の名作。
『アメグレ』同様、ネタバレを食らう前にプレイしてください。

物語は章別構成になっていますが、後半のメリッサルートがガチミステリー。
ストーリー的にもターニングポイントになっていて、そこからラストまでがまさに怒涛の展開で引き込まれました。
あと所長が可愛いすぎる…。

パッケージ版は特典や希少性がないにも関わらず現在3万円前後のプレミア価格になっています。
エロゲ界隈ってこういう謎の高騰がちょくちょくあるんですよね。

百合とSFとミステリー『ふゆから、くるる。』

| ブランド | シナリオ | 原画 | 発売日 |
|---|---|---|---|
| シルキーズプラス | 渡辺僚一 | あめとゆき なのはなこひな | 2021.9.24 |
舞台は外界から隔絶された冬の全寮制学園。特殊な環境下で起きた「首無し殺人事件」を解決するために主人公の女の子が名探偵を自称して奔走していく作品です。
登場人物も恋愛対象もすべて女の子という”百合作品”でもあり、物語が進むにつれて壮大な謎が明らかになっていくSF作品でもあります。
学園内には女子生徒しかいなかったり、みんなの頭には謎の機械が浮いていたり、生徒の中に殺人鬼が普通にいたりとかなり特殊な世界設定が特徴的。
そんな世界で生活する個性的で可愛らしい女の子たち、謎が謎を呼ぶミステリー展開、想像を超えるSF設定、それぞれの要素がバランスよく絡まっている物語です。

終盤で壮大なSF設定に面食らった後、個人個人の”役割”についてちょっと考えさせられるメッセージ性の強い作品でもありました。
「幸せでありますように」という当たり前で何気ない願いがすごく尊く感じます。

同じシナリオライターによるSF四季シリーズの4作目ですが、この作品からプレイしても問題ありません。
ただ「卒業」がテーマになっているので、シリーズの中では最後にプレイした方がより深い味わいがありますね。

エロゲにおいてミステリー作品はかなり数が少ないと思うんですが、その分完成度も高く高評価な作品が多いような気がします。
私もあんまり自慢できるほどプレイしているわけではないので、この他にも名作があるのかもしれませんが今回はとりあえずこの10作品。
最近はエロゲーだけでなく、『魔法少女ノ魔女裁判』や『久我山栞の死様手帖』といった全年齢作品のミステリーも増えてきました。
個人的にこの種のミステリーは大好きなので今後も増えていってほしい。
ヒロインとキャッキャウフフするエロゲーももちろん楽しいけど、たまにはこういうハラハラドキドキする物語もいいものですね。









