2010年代作品美少女ゲームレビュー

エロゲーレビュー『EVE burst error A』(El Dia 2016年)

90年代のエロゲ業界における伝説のゲームクリエイター・菅野ひろゆきさん(当時の名義は剣乃ゆきひろ )の名前は往年のエロゲープレイヤーなら知らない人はいないと思います。
彼が94年から立て続けに発表した『DESIRE』(1994年)、『EVE burst error』(1995年)、『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』(1996年)は俗に「菅野ひろゆき三部作」呼ばれる名作。恋愛アドベンチャーが主流だった当時のエロゲ業界において「物語を読ませる」ことを主眼に置いたシナリオゲーの先鞭をつけただけでなく、シナリオとシステムをうまく融合させて 「ゲームだからこそおもしろい」作品を生み出しました。

三部作の中でも特に『EVE burst error』は最大のヒット作で、発売後は様々な媒体で移植やリメイクを繰り返し、今でも続編が作られ続けているという非常に息の長い作品です。セガサターンマガジンにおける読者レースでは、数々の名作を押さえ堂々の1位となりました。
ただゲーム本編は今となってはかなり古いものとなっていて、最近のPCやゲーム機ではプレイするのが難しいため、2010年代になってリメイクプロジェクトが発動。このために作られたブランド「El Dia」から2年以上の準備・開発期間(原作の開発期間より長い!)を経てついに名作が復活!!

今回紹介するのはそのリメイク作の18禁版『EVE burst error A』。

物語は私立探偵の天城小次郎と国家機関のエージェントである法条まりなの2人の主人公が、それぞれ全く別の事件を追っているうちにとある国家の策略に巻き込まれていくという推理アドベンチャー。
2人の主人公の視点を任意に切り替えることができる「マルチサイトシステム」を搭載し、ゲーム的なシステムをうまく物語に取り入れたことが特徴的な作品です。

いかにも90年代風のキャラデザやコマンド選択式のシステムなど、あえて当時の雰囲気を残したリメイクとなっているため、今からプレイするとやや古臭さを感じますが、それでも色褪せない至高のシナリオは最後まで目が離せません。
物語の雰囲気的には『ルパン三世』や『シティハンター』に近い作風なので、カッコいい主人公たちによるハードボイルドミステリーが好きな方にお勧めの作品です。

  • 主人公2人の視点で同時進行するマルチサイトシステム
  • 多数のキャラが交錯し、謎が謎を呼ぶミステリー展開
  • 古き良きコマンド選択アドベンチャー
ブランドEl Dia
ジャンルコマンド選択式アドベンチャー
初回発売日2016.11.25
DL版価格7,480円
シナリオ菅野ひろゆき
原画田島直
おすすめ度85
シナリオ傾向

あらすじ

■ 小次郎編
私立探偵・天城小次郎のもとに久々に舞い込んだ依頼は、とある美術品の捜索依頼。
怪しげな依頼人や高額の報酬にうさん臭さを感じながらも、その依頼を引き受けることに。
しかしその裏には、恐るべき陰謀が隠されていた……。

■ まりな編
任務達成率 99%を誇る政府機関の天才エージェント・法条まりな。
今回の任務は、エルディア国大使の令嬢・御堂真弥子を護衛すること。
次々と迫る刺客……その目的とは !?

購入ガイド

タイトル対応OS発売日備考
EVE burst errorPC-9801VX/UX以降1995.11.22
EVE burst errorSS1997.1.24
EVE burst error951997.5.30やや難
EVE burst error981999.7.16やや難
EVE burst error PLUSPS22003.7.24
EVE98 Me 2000 XP2003.11.28
burst error -EVE The 1st.-PSP2010.3.25
EVE burst error R7 8 102016.4.28やや難
EVE burst error RVita2016.4.28
EVE burst error A7 8 102016.11.25非常に難
EVE burst error RSwitch2018.10.25

本編だけでもかなり種類があるので紛らわしいです。一応Wikipediaとゲーム博物館を参考にして説明しますが、間違っていたらすいません。

まずは一番最初に発売されたPC-98版。「原作」とか「オリジナル版」と呼ばれますが、さすがに古すぎて通常のショップでは手に入り難いと思います。ちなみに菅野ひろゆきさんが関わっているのはこれだけで、以降の移植やリメイクにはノータッチだそうです。

最初の移植作はセガサターン版。これで初めてキャラクターボイスが付きましたが、後の作品とはキャストが一部異なります。

97年に発売されたのが通称Windows95版。紛らわしいですがエロなしの全年齢版です(キャストはサターン版準拠)。2年後にはDVD版も出ています。 両方ともパッケージ版は今となっては手に入り辛いですが、FANZA(DMM)で『EVE burst error』のタイトルで配信されているのはこのバージョンです。アダルトカテゴリで配信されていますが全年齢版なので注意してください。FANZAでの通常価格は3300円ですが、定期的に500円セールの対象になっています。ただしOSの正式対応はXPの32bit版までなので、最近のPCだとプレイは難しいかもしれません。

『PLUS』はPS2版。基本はサターン版準拠ですが一部のキャストが変更になったり、テキストが一部追加・変更されたりしています。

副題無しの『EVE』は『PLUS』にアダルト要素を復活させた18禁版。パッケージにはオリジナル版も同梱されます。中古市場での販売価格は1万円越え。
Hシーンがある関係上、キャストは総入れ替え(一部を除いて全くの別人)されています。

PSP版の『burst error -EVE The 1st.-』はキャラデザやボイスだけでなく、一部のシナリオやキャラ設定まで変更したリブート作品。基本別物だと思ってください。

『EVE burst error R』と『EVE burst error A』が今回紹介する最新のリメイク作で、Windows10やワイド画面に対応しています。『R』が全年齢版、『A』が18禁版になっていて、Hシーン以外は共通ですがそれぞれキャストが異なります。『R』はPS2版『PLUS』、『A』は『EVE』のキャストに準拠。
パッケージ版の『A』は中古ショップでプレミア価格(現在の相場は約3万円!)になっているので、無理に買わないほうがいいかも。数が少ないようでショーケース内ですら滅多に見かけません。持ってる人は大切にしましょう。プレミアソフトは人類共有の財産です。
『R』の中古もプレ値でこそありませんがショップで見かけることは稀なので手に入り難いですね。

今から買うならダウンロード版の『EVE burst error R』を推奨。全年齢版ですがこれもアダルトカテゴリで配信されていて、たまに半額セールの対象になっています。
なんで全年齢版なのかというと、こっちのほうがキャストが豪華なんですよね。正直18禁版のHシーンはあんまり使えるものでもないですし。
どーーしてもHシーンが見たいという人(主に私)のみ18禁版の『A』で。

ちなみに続編の『EVE rebirth terror』をプレイ予定なら『R』を買う必要はありません。PS4版には『EVE burst error R』が丸ごと同梱されています。

派生作品

この作品は『EVEシリーズ』としてシリーズ化されていてたくさんの続編や派生作品が作られているので、ついでに他のシリーズ作品も簡単に紹介していきます。

『EVE The Lost One』(1998年):『burst error』(以降”be”)の3年後が舞台の作品。この作品のみ主人公は変更になっていますがbeの登場人物も出てきます。シナリオライターは後の直木 賞作家である桜庭一樹(当時の名義は山田桜丸)さんですが、ぶっちゃけ評価はイマイチ。

『ADAM THE DOUBLE FACTOR』(1999年):beの4年後を描いた作品で主人公は再び小次郎とまりな。後に『EVE The Fatal Attraction』のタイトルでコンシューマ化。

『EVE ZERO』(2000年):beの2年前が舞台の前日譚。これも小次郎とまりなが主人公ですが、シナリオライターがbeと異なるため一部の設定に矛盾も。

『EVE new generation』(2006年):beから数年後が舞台の作品。PS2版で発売されましたが、後にHシーンを追加したPC版『EVE ~new generation X~』も発売。シナリオライターは『EVER17』を手掛けた打越鋼太郎さん。通称「EVEのEVER17版」。

『EVE rebirth terror』(2019年):beの1年後を描いた正統続編。PS4とVita、Switchで発売。シナリオライターは『金色ラブリッチェ』を手掛け たさかき傘さん。EVEシリーズの中では珍しく高評価なので、beの後にプレイするならこれ。

『EVE ghost enemies』(2022年)『rebirth terror』の続編で引き続きさかき傘さんがシナリオを担当。PS4とSwitchで発売。

以下、『EVE burst error A』のレビューになります。画像は『R』のもの。

システム

システムはコマンド選択式のアドベンチャーゲーム。場所ごとに「見る」とか「話す」とか「移動する」といったコマンドを選んでイベントを進めていくものです。昭和生まれの人には『ポートピア連続殺人事件』や『探偵神宮寺三郎』シリーズをイメージしてもらえれば良いかと。
ただこのシステムは、特定の場所で、特定の行動を、順番どおりに行っていかないとイベントが発生しないので非常にめんどくさいです。
まぁこういうシステムは90年代では珍しくなかったのでおっさんには懐かしく感じるかも。

メインのシナリオは男性主人公の小次郎編と、女性主人公のまりな編を交互に進行させるマルチサイトシステム。任意のタイミングで視点を切り替えることができますが、視点を切り替えたときにバックログはそのまま持ち越されます(つまり小次郎編からまりな編に切り替えた直後はバックログに小次郎編で読んだ文章が表示される)。なのであまり長い時間片方の視点に偏ってると視点を切り替えたときに以前何をしていたのか覚えていないといったことが結構ありそうです。というか私がありました。
物語の進行を忘れないように、なるべく頻繁に視点を切り替えたほうが良いかもしれません。バックログの保存のため視点を切り替えたときのセーブファイルを残しておくのも手です。

どこで何をするかわからずに詰まってしまうことも多いと思うので、楽にプレイしたければ設定モードで”ヒント機能”をONにしましょう。少なくとも”次に行くべき場所”がわかるようになります。私がこの機能に気付いたのはクリアした後でした。早く教えてくれよ!!

オートモード時はウエイト時間が文章の長さによって変わるので読みやすかったですが、たまに台詞が途中なのにもかかわららず次の台詞に移ってしまうことが結構ありました。私は台詞全部聞く派なので煩わしかったです。

また調査や会話を進めていくときは同じコマンドを何回も連続で選択する必要があるのでめんどくさかったですね。会話のシーンだといちいちコマンド選択のために話が途切れてしまいますし。

ちなみに私の環境だとプログラムの実行ファイルがウィルスと誤認されたため、プレイ中はセキュリティソフトとネット接続を切ってました。こういうことたまにあるんですよね。

シナリオ

事務所の居候となる外国人・プリン

原作のシナリオはもちろん菅野ひろゆきさん。この作品は移植やリメイクを繰り返しているうちに細かいところがいろいろ改変されたところも多いみたいですが、基本となるシナリオ展開は変わっていません。

物語は私立探偵の天城小次郎と、内閣情報調査室の1級捜査員である北条まりながそれぞれ別の依頼を受けるところから始まります。主人公の2人は互いに面識はありませんが、独自に調査や任務を進めていくうちに次々と殺人事件が発生し、知らず知らずのうちに国家の陰謀に巻き込まれていく、というミステリー作品。
小次郎編とまりな編を並行して進めていくことになるため、最初は物語を追うのが大変かもしれませんが、互いに面識のない2人の捜査がだんだんと近づいていく展開は、マルチサイトシステムならではの演出です。

テキストの特徴としては、この作品にはいわゆる”地の文”というものがなく、状況の説明はすべて主人公の独白で行われます。一人称視点の物語ともちょっと違う文体なので、昨今のノベルゲームに慣れてる人は違和感があるかもしれませんが、当時(90年代)のADVゲームはこういう形式が多かったみたいです。

グラフィック

原画やキャラクターデザインは田島直さんによるオリジナルのまま。
最近の萌え萌えっとしたイラストとは一線を画す、良い意味で90年代の香りがする画風です。

ベースとなる線画はそのまま利用して旧版の雰囲気を残しつつ、彩色は今風に塗り直されています。
普通この手のリマスター作業はCGのワイド画面化にあたり、元のCGの上下をカットしてしまうことも多いのですが、この作品の場合は基本的に左右に描き足す形でワイド化するという理想的なリマスターです。

旧版 さすがに時代を感じる絵です

リマスター版 同じ原画でも彩色と解像度の違いでこうも印象が変わるんですね
あとパンツのシワの形がマイルドに(笑

イベント絵は180枚の大ボリューム。今回のリマスターで新たに書き下ろされたCGもあります。
普通美少女ゲームのイベントCGというとヒロインの可愛さを前面に出したイラストが多いと思うんですが、この作品ではあくまで物語の一部分を切り取ったような構図が多いですね。

ただ立ち絵はバリエーションが少なく、状況によって服装が変わるくらい。
セリフ中は口パクがありますが、表情の変化はほとんどありません。今の感覚からするとちょっと物足りないかも。

男性主人公である小次郎のデザインは前髪で目元が隠れたいかにもエロゲの主人公な感じですが、慣れてくるとこれがカッコ良く見えてきます。

キャラクター

小次郎と恭子

天城小次郎
小次郎編主人公。大手探偵事務所を辞めた後、1人で埠頭の倉庫街にあまぎ探偵事務所を開業。
一見軽薄で女性関係も派手だが、探偵としての腕は超一流。

法条 まりな
まりな編主人公。国にかかわる事件の調査などを行う内閣調査室の1級捜査員。任務達成率99%のトップエージェント。
明るいがガサツな性格で、任務のためなら命令違反も辞さない問題児。好みのタイプは渋い中年。

プリン
チンピラに絡まれていたところを小次郎に保護された少女。敬虔なイスラム教徒で、金髪とオッドアイが特徴的。
いろいろあってあまぎ探偵事務所に居候することに。

御堂 真弥子
まりなの警護対象で御堂大使の娘。黒縁メガネの真面目な少女。
日本人っぽい名前だけど、国籍は中東のエルディア共和国。日本にいる間は外国人学校に通う。

桂木弥生
桂木探偵事務所所長の女性。父親の死後、所長を引き継ぎ、たくさんの所員を抱える事務所を切り盛りする。
まりなの親友で小次郎とも因縁浅からぬ中。

氷室 恭子
真弥子が通う外国人学校の女生徒。
責任感が強いが、やや他者に対して高圧的。

このほかの登場人物は小次郎とは古い付き合いのルポライター・柴田茜、まりなの上司である甲野本部長、謎の巨乳女性シリア、真弥子の父親・ロス=御堂、小次郎の依頼者・孔、弥生の部下の二階堂など。

まりな編と小次郎編の両方に登場するキャラも多く、謎を抱えているキャラも多数いるため、シナリオが進むごとに人間関係が複雑になっていきます。後半は誰と誰が仲間で、それぞれがどのような目的で動いているのか混乱するかも。

ボイス

如月美琴(まりな)AYA(プリン)RuRu(真弥子)日下千鶴(弥生)神月あおい(恭子)
深井晴花(アクア)一条沙希(シリア)みちる(茜)吉永あゆり(広美)結城みづほ(香川)
十文字隼人(小次郎)邪風林(孔)秋田邦彦(グレン)馬並硬太(御堂)中澤アユム(二階堂)
オイリーはな(本部長)佐倉徹(鈴木)

主要キャラフルボイス。主人公は基本的に声無しですが、別視点のときは声が付きます。(つまり小次郎編ではまりなにボイスが付き、まりな編では小次郎にボイスが付きます)
キャスト陣はWin版18禁『EVE』準拠。多分録音データもそのままだと思います。
面子に時代を感じますが演技のほうはほぼ問題ありません。ただ全年齢版と別人の方が多く、声質も似ていないのでサターン版やPS2版に慣れた方は違和感があるかも。

参考までに全年齢版である『R』のキャストはこちら。

三石琴乃(まりな)水谷優子(プリン)堀江由衣(真弥子)本多知恵子(弥生)松井菜桜子(恭子)
田中敦子(アクア)高乃麗(シリア)かないみか(茜)むたあきこ(広美)渕崎ゆり子(香川)
子安武人(小次郎)茶風林(孔)飯塚昭三(グレン)若本規夫(御堂)上田祐司(二階堂)
野沢那智(本部長)大塚明夫(鈴木)

なんだこの超豪華キャスト!
今からこれだけのキャストを揃えるのは無理ですね。というかもう鬼籍に入ってる方もいますし。この声を聴くだけでも全年齢版を買う価値があります。

ちなみにですが小次郎役の子安さんと孔役の茶風林さん、広美役のむたあきこさん以外は18禁版のキャストとは全くの別人になります。いやこの3人も別人ではあるんですけど。
またこの面子はPS2版に準拠していて、Win95版からは、まりな役が岩男潤子さん→三石琴乃さん、真弥子役が岡本麻弥さん→堀江由衣さん、鈴木役が納谷悟朗さん→大塚明夫さんに変更になっています。

BGM

音楽モードで聴ける曲数は47曲。良い意味であまり主張しない、ムード音楽のような曲が多い感じです。
それぞれの曲はアレンジの異なる「Original style」と「Nostalgic style」の2つが用意されていて任意に切り替えることができます。(デフォルトは「Original style」)

印象的な曲はメインテーマでもある「推理(Theme I)」「夢(Theme II)」「脱走(Theme III」「恐怖(Theme IV)」「ピンチ(Theme V)」。メインの旋律は同じなんですがアレンジが全く異なるため5曲それぞれ違う曲に聴こえます。

主題歌

この作品にボーカル曲はありません。

ムービー

この作品にOPムービーはありません…、と思ったんですがタイトル画面で一定時間が経過するとOPムービー的なものが流れます。この文章書いてる今気付きました。
内容はアニメーションを含んだ凝ったつくりですが、曲があんまり合ってないですね。シーン回想モードからも見ることができます。

また物語中に要所要所でアニメムービーが挿まれる演出になっています。このアニメーションシーンもクリア後にシーン回想で見ることが可能。

攻略

凄い水着のまりな。全年齢版でも使われるCGです(笑

シナリオ自体は分岐のない一本道ですが、そのシナリオを進めるのが非常にめんどくさいです。

コマンド選択式のアドベンチャーなので、特定の場所で特定の行動をしないとイベントが起こりません。
原理的にはすべてのコマンドを総当たりで選択していけばいつか正解にたどり着きますが、場所や選択肢の数もかなり多いうえに、複数回選択する必要もあるため非常に手間がかかります。1回目の選択で既読の文章が表示されても、2回目に未読の文章が出てきたりするので油断できないんですよね。

また1回イベントが起こると次のイベントはまた最初から調べ直さなくてはならなくなるため、かなりテンポが悪くなります。90年代はこういうのが許されてましたが、さすがに今の時代に新作でこれをやったらクソゲー認定されそうです。
設定画面の「ヒント機能」は必ずONにしておきましょう。次に行くべき場所がわかるようになるので、これだけでもだいぶ違います。

マルチサイトシステムは任意の時点で視点を変更することができますが、長くてもゲーム内時間で半日くらい進めたら視点を変えるようにしたほうがいいと思います。「どこに行ってもイベントが発生しない」という状況になった場合、だいたいもう片方のルートの進行具合がフラグになっています。

Hシーン

弥生とのH

シーン回想に登録されるHシーンは11個。内訳は小次郎が絡むものが6つ、まりなが3つ、主人公以外によるものが2つ。
シーンの尺はかなり短め。正直抜き目的では使いにくいかと。
まりな編では百合Hもあります。

女性キャラ全員にHシーンがあるわけではないですが、サービスシーン的なものはあったりするので、主要な女性キャラの裸体はだいたい拝むことができます。

ちなみに登場する女性たちは年齢が高く非処女が多いです。こういうのも菅野作品の特徴ですね。

主人公の小次郎は物語の中で複数の女性と関係を持ちますが、当時(90年代)はこれが当たり前だったみたいです。ランスシリーズしかり、同級生シリーズしかり。
ヒロイン別のストーリーに分岐してそれぞれ個別の関係を築くようになるのは、90年代後半の『痕』や『ToHeat』が登場してかららしいですね。当時のことはよく知らないんですが。

感想

謎の巨乳女シリア

菅野ひろゆき作品としては『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』と並んで傑作と評される作品『EVE burst error』。
2010年代になってどちらもリメイク計画が持ち上がり、『~YU-NO』のほうは原画やボイスも今風にアレンジされましたが、『EVE~』のほうはかなり過去作に忠実なのでリメイクというよりリマスターといった感じです。どちらがいいか、というのは一概に決められないですね。

シナリオは良い意味でエロゲーっぽくない硬派な内容。2つの視点を上手くクロスオーバーさせつつ、バラバラだと思われていた事件が複雑に絡み合いながら一点に収束していく様は非常に興奮します。
登場キャラクターのデザインはやや時代を感じますが、設定が上手く作りこまれていて誰もが怪しく見えます。物語の最後には「犯人当て」の選択肢があるんですが、あれ初見で当てた人いるんでしょうか。

惜しむらくはラストの展開がややご都合主義&描写不足なところでしょうか。多分プレイヤーの想像力に任せるためあえてああいうラストにしたんだと思いますが、今から見ると若干の尻切れトンボ感は否めません。突然エンディングが流れたときは「え?ちょっと待って! あの状況からどうやって助かったの?」と 突っ込まざるを得ませんでした。
まぁこれは元々の原作も同じらしいので、リメイクが悪いということではないですけど。

ただそれを差し引いてもこの作品が、現在でも色あせない名作中の名作であることに変わりはありません。
今でこそ物語を読ませる「シナリオゲー」は当たり前のように存在しますが、「女の子を落としてHする」エロゲーが殆どだった90年代において、これだけドラマチックな作品が生まれたこと自体が奇跡なのですよ。やはり菅野ひろゆきは偉大。

今から見るとコマンド総当りのシステムがかなり煩わしく感じますが、今の「シナリオゲー」の先鞭をつけた作品として、教養としても是非プレイしておきたい作品です。

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