『鬼滅の刃』の十二鬼月
『HUNTER×HUNTER』の幻影旅団
『るろうに剣心』の十本刀
バトル系のアニメや漫画にはよく「倒すべき敵組織」みたいなのが主人公と熱い戦いを繰り広げます。ファンにとっては時に敵キャラの方が魅力的で人気が出てしまったりすることも。
特に敵のリーダーは圧倒的な強さとカリスマ性を持っているキャラが多いですよね。
それこそ鬼舞辻無惨しかり、クロロ=ルシルフルしかり、志々雄真実しかり。
今回紹介するのはそんな魅力的な敵キャラが登場するバトル系燃えエロゲ、
『Dies irae ~Acta est Fabula~』。(ディエス・イレ アクタ・エスト・ファーブラ)
略称は「ディエス」。
「Dies irae」という言葉はキリスト教の終末思想に由来したもので、日本語では「怒りの日」と訳されます。
「Acta est Fabula」はラテン語で「(劇の)終幕」「物語の完了」を意味する言葉で、初代ローマ皇帝アウグストゥスが死の直前につぶやいた言葉としても有名。
制作は異能力バトル系の作品を多く作るブランド・light。
その作品群の中でも最高傑作と名高い、2000年代を代表する燃えゲーです。
物語の舞台は2006年の日本。主人公の学生・藤井蓮の住む諏訪原市に圧倒的な強さを持つ超人たち・聖槍十三騎士団が現れ、彼らによる大量殺戮を阻止すべく蓮とその仲間たちが立ち向かっていくバトル作品。
この作品の魅力は何といってもシナリオライター・正田崇さんの紡ぐ(いい意味で)中二病的でカッコよすぎる文章と世界設定、そして魅力的すぎる敵キャラクター・聖槍十三騎士団のメンバーたち。特に敵の首領であるラインハルトの強さとカッコよさは圧倒的。ぶっちゃけファンにとってはヒロインよりもラインハルトの方が人気だったりします(笑
00年代はこの作品のほかにも『Fate/stay night』や『あやかしびと』など、熱い異能力バトル作品が多く作られたので、まさに時代を反映した作品ともいえます。この種の燃えゲーが好きな人には特におすすめ。
またラインハルトをはじめとする男性キャラがめちゃくちゃ魅力的に描かれるため、男性向け作品でありながら女性ファンも多い作品でもあります。
カッコいいテキストとカッコいいキャラクターが織りなす、手に汗握る激熱なバトルをぜひ堪能してください。
- 中二病的設定を突き詰めた濃厚でカッコいいテキスト
- 個性的かつ魅力的な敵キャラクターたち
- 文字通り命を懸けた熱いバトル

どれを買えばいい?【購入ガイド】
| タイトル | 対応OS | 発売日 | 入手難度 |
|---|---|---|---|
| Dies irae -Also sprach Zarathustra- | 2000 XP Vista | 2007.12.21 | 並 |
| Dies irae -Also sprach Zarathustra- -die Wiederkunft- | 2000 XP Vista | 2009.7.24 | やや難 |
| Dies irae ~Acta est Fabula~ 初回版 | 2000 XP Vista 7 | 2009.12.25 | 並 |
| Dies irae ~Acta est Fabula~ -Scharlachrot Grun- アペンド版 | 2000 XP Vista 7 | 2009.12.25 | やや難 |
| Dies irae ~Acta est Fabula~ 通常版 | 2000 XP Vista 7 | 2009.12.25 | 易 |
| Dies irae ~Acta est Fabula~ 感謝キャンペーン版 | 2000 XP Vista 7 | 2010.9.24 | やや難 |
| Dies irae ~Amantes Amentes~ | PSP | 2012.6.28 | 並 |
| Dies irae ~Amantes Amentes~ 初回版 | XP Vista 7 | 2012.8.31 | 並 |
| Dies irae ~Amantes Amentes~ 通常版 | XP Vista 7 | 2012.8.31 | 並 |
| Dies irae ~Interview with Kaziklu Bey~ | Vista 7 8 10 | 2016.3.25 | 易 |
| Dies irae ~Acta est Fabula~ HD -Animation Anniversary- | 7 8 10 | 2017.9.29 | 並 |
| Dies irae ~Amantes amentes~ HD -Animation Anniversary- | 7 8 10 | 2017.9.29 | 並 |
| Dies irae & WORLD BOX ~Masada Premium~ | 7 8 10 | 2017.9.29 | やや難 |
| Dies irae & WORLD BOX+Dies irae Gユウスケ All Art Works <永劫回帰>セットパック | 7 8 10 | 2018.8.9 | やや難 |
バージョンの違いがかなりあるので注意してください。
まず最初に発売された『Also sprach Zarathustra』、なんとこれ未完成版です。本来4つルートがあるはずなのに2つしか収録せず、公開されていたサンプルCGも一部使われていなかったというひどいもので、ユーザーの怒りが噴出。まさにこの日が「怒りの日」と揶揄されました。今でもたまに中古ショップでジャンク品として並んでいたりしますが、コレクション目的以外では買わないようにしてください。
2009年に発売された『Acta est Fabula』は全4ルートを収録し、新規CGと新主題歌を追加した完成版。以降の作品はこれがベースになります。
未完成版購入者には完成版へのアップデートパッチが配布されましたが、ID登録が必要なので中古品は不可になります。
『Amantes Amentes』はHシーンをカットしてシナリオを追加した全年齢版。PSPとPCで発売されています。
『Interview with Kaziklu Bey』は敵キャラの一人、ベイ中尉ことヴィルヘルムにスポットを当てた前日譚。ファンディスクのようなものですね。Hシーンのない全年齢版のみの作品です。
『HD -Animation Anniversary-』は18禁版と全年齢版をそれぞれ画質をHD化させたもの。
両者のパッケージ絵が似ているので注意してください。というか紛らわしすぎです。
特典として18禁版にはボーカルコレクション、全年齢版にはサントラCDが付属します。


『WORLD BOX』は他の正田崇作品(『PARADISE LOST』や『神咒神威神楽』など)をセットにしたもの。のちにイラスト集をセットにしたものも発売されました。
今から買うならHD全年齢版『Dies irae ~Amantes amentes~ HD -Animation Anniversary-』をおすすめ。ダウンロード版は年に1回くらいの頻度で半額セールになったりします。light作品限定のまとめ買いセール(5本1万円くらい)が不定期に開催されることもあるので、こまめにチェックしておきましょう。(旧版も並行して同じ値段で売られているので注意してください)
パッケージ版は中古のみになりますが、なくはないもののちょっと手に入りづらいかも。
なぜ全年齢版がおすすめかというと、18禁版にはPSP版以降に追加されたシナリオが収録されていないんですよね。しかも本編ラストにかなり重要なルートが追加されているので、できるだけ全年齢版を買うようにしてください。
エロ目的なら18禁版ですが、ぶっちゃけあんまり使えるHシーンではありません。
私ですか? 18禁版を買いましたよ、えぇ…。
以下、非HD版『Acta est Fabula』のレビューになります。
古いけど問題ない【システム】

主人公視点のときは画面下にテキストが表示されるADVタイプ、その他の視点では全画面に表示されるノベルタイプのハイブリッドなシステムです。画面サイズは800×600。(HD版は1280×720)
初回起動時はタイトル画面を経ずにいきなり物語が開始するので注意してください。
00年代のゲームとしてはプレイするうえで必要最低限の機能はそろっています。
デフォルトの設定だと既読テキストに色がついていないので、あらかじめ変更しておくことを推奨。
この作品はキーボードショートカットが充実しているので、たいていのことはキーボードで操作できます。
ゲーム中は[F12]キーで各種ショートカットキーを確認できるので便利ですね。
古いソフトゆえかもしれませんが、スキップがかなり高速。
便利は便利なんですが、テキストがほとんど確認できないのは逆にちょっと辛いかも。2週目以降の既読スキップってちょっとくらいテキストが見えたほうが復習になるんですよね。
またキーボードの[shift]+[ctrl]キーをうっかり押してしまうと、一瞬でも数十行強制スキップしてしまうので気を付けてください。私一度キーボードを動かそうとして思いっきり未読スキップしてしまいました。(笑
物語は全13章の章別構成になっていますが、各章の終わりには謎のキャラクターチェックが入ります。
最初意味が分からなかったんですが、これは敵となる黒円卓メンバーの登場済み&死亡済みのチェックなんですね。何気にシナリオ上も重要な情報です。
突き抜けた中二病感を味わえる【シナリオ】

物語は主人公とその幼馴染たちが暮らす諏訪原市で無差別に首を切り落とされる殺人事件が発生。それと同時期にナチスの残党であり、人間離れした力と能力を持つ超人集団「聖槍十三騎士団」が街に現れるところから始まる異能力バトル作品です。
この作品の特徴は何といってもシナリオライター・正田崇さんが紡ぎだす、これでもかというくらい中二病全開なカッコいいテキスト。いい意味でキザったらしいセリフ回しに持って回ったようなたとえ話、ドイツ語を絡めたカッコいい用語や技名などが頻出します。男の子はこういうの大好きですよね?
ストーリーの半分くらいを占める戦闘シーンも濃厚&激熱。
特にここぞというときに放たれる”創造”(いうなれば必殺技)の前には各キャラ固有の「詠唱」シーンが挟まれます。これがまたカッコよくて雰囲気出てるんですよね。
Wo war ich schon einmal und war so selig
Wie du warst! wie du bist! Das weis niemand,das ahnt keiner!
だいたいこういう感じの詠唱が唱えられます。
ちょっと長めではあるんですが、溜めに溜めた後で満を持して
「Briah――」
「Der Rosenkavalier Schwarzwald」(ローゼンカヴァリエ・シュヴァルツヴァルト)
と〆て”創造”が発動します。これぞ中二! カッコ良すぎ!!
Fateでいうと某英霊の固有結界『unlimited blade works』の前に詠唱があるじゃないですか。ああいうのがほぼ全キャラにあると思ってください。(本作の詠唱は日本語ですが)
ちなみに詠われる詩は過去の聖書や戯曲(『ファウスト』『ニーベルングの指環』など)から引用されています。
文章や用語がカッコいいのはいいんですが、そのぶん描写がわかりにくい場面も少なくなかったです。
セリフの中では「あいつ」とか「あの男」みたいにあえて指示語でぼかしていることも多いですし、作品独自の用語も最初は何の説明もなく当たり前のように登場したりします。
序盤は特にわかりにくいと思いますが、いちいちバックログで確認したりするとテンポが悪くなるので、少々わからなくてもいいから雰囲気で理解しておくだけでも大丈夫だと思います。設定自体はそんなに複雑なものでもないですし。
膨大な量で戦闘を彩る【グラフィック】

CGモードに登録されるCGは全部で213枚。めちゃめちゃ多いです。
このうち一部はカットインCGのようなものなので、いわゆるイベントCGと呼べるものは正味175枚くらい。それでも相当な量になりますね。
原画はGユウスケさん。light作品だけでなく、ラノベ『ダンタリアンの書架』でも有名なイラストレーターさんです。
アホ毛ははっきりしていますが、意外と萌え萌えとしたイメージはなく、シックな画風ですね。
塗りは陰影のはっきりしたアニメのような彩色になっています。
物語に合わせてバトルシーンのCGが多く、しかも非常に熱くてカッコいい。
主人公だけでなく、敵となる黒円卓のメンバーもとてもカッコよく、かつ強そうに描かれています。
黒円卓の制服はナチスの軍服をモデルにしたものですが、さすがに鉤十字はマズいと思ったのか赤い腕章に描かれているマークはオリジナルのものになっています。これは仕方ない。
ヒロインだけでなく敵も魅力的な【キャラクター】

藤井 蓮
本作主人公の少年。暗いわけではないが友人は少ない。
ただ友人のためなら命を懸けて行動する気概を持つ。
マリィ
主人公の夢に現れる謎のブロンド少女。
夢の中で主人公ではない誰かと語り合う。
綾瀬 香純
主人公の幼馴染の少女。剣道部部長で腕前は全国クラス。
性格は明るくておおざっぱ。幼馴染の漣のために何かと気に掛ける。
櫻井 螢
日本人でありながら黒円卓の騎士となった少女。他の騎士と同じく人間離れした力を持つ。
普段は落ち着いて理性的だが、熱くなると我を忘れることもある激情家。
氷室 玲愛
学園の3年生に在籍する先輩。普段は教会でシスターと共に暮らす。
蓮の数少ない友人で、物静かな雰囲気だがやや天然気味の言動もする少女。
遊佐 司狼
蓮の香純の幼馴染であり親友。蓮とは派手に喧嘩した後、姿をくらます。
一見軽薄な性格だが仲間思いの兄貴肌。
本城 恵梨依
司狼と行動を共にするパートナー。呼び名はエリー。
大病院の跡取り娘だが刹那的な興奮を求めて司狼と共に戦いに参入する。
主人公サイドで登場するのは以上7人。(螢は一応敵側ですが)
事件と関係しないキャラは基本的に顔と名前が出てきません。この辺はあえて割り切ってる感じですね。
聖槍十三騎士団
そして蓮たちの敵となる聖槍十三騎士団黒円卓の騎士たち。
螢を含めて13人もいるので混乱しそうですが、めちゃめちゃキャラが立っているので慣れれば問題ないかと。
ちなみに黒円卓には一位・二位・三位…と序列がついていますが、強さとはあまり関係ありません。席順みたいなものだと思ってください。
とりあえず序盤はチンピラ風のベイ中尉ことヴィルヘルム、ロリババァのルサルカ、ヒロインでもある桜井螢を中心に話が進みます。
彼らは首領に対して絶対的な忠誠を誓っていますが、騎士同士は互いに信頼してはいません。目的のためなら普通に対立したり見殺しにしたりもします。この関係性が物語的にも緊張感を生んでいるんですよね。
そして黒円卓の中で物語的に一番の中心にいるのが首領であるラインハルト。金髪美形で圧倒的な強さとカリスマ性を持つラスボスとして描かれます。ぱっと見、女性向けゲームのキャラみたいですが、男性プレイヤーの目にも非常に魅力的に映ります。
意味深な副首領メルクリウスと先の3人の合わせて5人、最初はこれだけ押さえておけば大丈夫です。
注意点としては、黒円卓の騎士たちは本名のほかに通称のような魔名で呼び合うので最初は混乱するかもしれません。
ヴィルヘルムは「ベイ」、ルサルカは「マレウス」、螢は「レオンハルト」といった感じ。序盤はわざとこの辺の説明を省いているので、かなりわかりにくいですね。特にレオンハルトは男性名ですし、ラインハルトとも語感が似ているので混乱に拍車がかかってます。ただ物語を進めていくうちに自然と慣れていくので不思議なものですね。
ちなみにですが、首領のラインハルトと副首領のカール(メルクリウス)は実在の人物がモデルになっています。
レオンハルトはナチス親衛隊で秘密警察ゲシュタポの長官も務めたラインハルト・ハイドリヒ。
カールはナチスドイツの宣伝省でプロパガンダに協力した占星術師カール・エルンスト・クラフト。
この辺の史実も結構物語に絡んでくるので、歴史を知っている人は「なるほど、そうくるか」という辻褄合わせも楽しめますね。
超豪華声優陣が並ぶ【ボイス】
| 榊原ゆい/榊原ゆい(マリィ) | 佐本二厘/結下みちる(香純) | かわしまりの/瑞沢渓(螢) |
| 雛見風香/生天目仁美(玲愛) | 皆美伊吹/牧野芳奈(エリー) | |
| 木村あやか/いのくちゆか | 谷口ケイ/矢口アサミ | 彩世ゆう/羽吹梨里 |
| 日椰たぬき/環有希 | ||
| 先割れスプーン/鳥海浩輔 (蓮) | ルネッサンス山田/前田剛 (司狼) | トム・クノレーズ/諏訪部順一 (ラインハルト) |
| 石川ゆうすけ/寺島拓篤 | 青島刃/成田剣 | 杉崎和哉/谷山紀章 |
| 左高蹴/安元洋貴 | 三川春人/はらさわ晃綺 |
主人公含め、主要キャラフルボイス。全年齢版は遺伝子レベルで声の似ている方が担当されてます。
モブキャラには声が付きませんが、この作品はモブキャラにセリフがほとんどないので実質全キャラフルボイスといっていいかと。
キャストは00年代の実力派をそろえた感じ。
香純役の佐本二厘さんや螢役のかわしまりのさんは演技も声質もそれぞれのキャラクターにベストマッチ。特にしまりのさんの低めの声は螢のような”戦うヒロイン”がよく似合います。
そしてなんといっても男性声優がメチャメチャ豪華。
今からこのメンツをそろえるのは多分無理ですね。
特にラインハルト役のトム・クノレーズさんの声は、ねっとりとしていながら知的で威厳を感じます。ラインハルトの魅力の半分はこの方の声によるものかと。というかこの方エロゲOKなんですね。調べてみたらこの作品以外には『続・殺戮のジャンゴ』(ニトロプラス)に出ているのみなので、極めて貴重といえます。
ちなみに全年齢版で担当されている諏訪部さんはご存じFateのアーチャー役の方。今作のラインハルトはアーチャーとは対極にいるようなキャラなので、こういう悪役の声もすごく新鮮。
ヴィルヘルム役の杉崎和哉さんは、もうエロゲでチンピラ声といえばこの方。
今作でもいい感じでキレた演技を堪能できます。
マキナ役の左高蹴(ひだりハイキック)さんはおっさん声に定評のある方。落ち着いてどっしりとした声質は3倍増しで強く見えます。
各キャラ”詠唱”のシーンではちょっとエコーをかけながら朗々と謡いあげます。詠唱は基本的に日本語ですが、欲を言えばドイツ語バージョンも聴きたかったな~と思わなくもない。
”創造”(必殺技)の名前はドイツ語で叫びますが、良くも悪くも「カタカナ独語」といった感じ。まぁでも変にネイティブな発音だと逆に違和感ありそうだから、あえてこうしているのかも。
荘厳で熱い【BGM】

BGM作曲は与猶啓至さん。ボーカル曲を除いた曲数は37曲。少なくはないですが、シナリオのボリュームを考えるともう少し多くてもよかったような。結構何度も流れる曲が多いので、なじみ深くはなりますね。
同じメロディーを2回ループさせて最後に〆を付けたような曲の構成が多くなっています。
全体的に教会音楽のような荘厳な曲が多いのが特徴的。コーラスやパイプオルガンのような音色が頻出します。のんびりした日常曲もあるにはありますが少な目。
戦闘曲はロック調の激しいメロディが多いですね。
個人的お気に入り曲は、序盤から使われる「Krieg」。ベースとドラムでリズムを刻んだ後、歌い上げるようなエレキギターのメロディがカッコいい。
「Deus Vult」はRPGの中ボス戦のような曲。威厳のありそうな出だしの後、疾走感のある曲調が思わずリズムに合わせて体が動いてしまうほどノリのいい曲です。
「Holocaust」激しいドラムのリズムが熱い曲。実際にドラムで叩いたら腕が死ぬかも(笑
「Ω Ewigkeit」は荘厳なコーラスが印象的なラスボス曲。ファイナルファンタジーあたりに使われても違和感ありません。
作品タイトルの『Dies irae(怒りの日)』に合わせたクラシック曲も印象的です。
「Götterdämmerung」はヴェルディのレクイエム 「怒りの日」のアレンジというかほぼそのまんまの曲。大地を叩くかのような力強い冒頭のリズムと叫びのようなコーラスは、おそらく誰でも聴いたことがあるであろう超有名な曲ですね。
「Dies irae “Mephistopheles”」はヴェルディの次に有名なモーツァルトのレクイエム「怒りの日」から。力強さと高貴さを併せ持ったかのような曲です。こちらはちょっとロック調にアレンジされています。往年の格ゲーファンなら『餓狼伝説』シリーズのクラウザー戦のBGMとしておなじみの曲ですね。
激熱で燃える【主題歌】
| タイトル | 作詞 | 作曲 | 編曲 | 歌 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| Gregorio | 榊原ゆい | 与猶啓至 | 与猶啓至 | 榊原ゆい | OP |
| Einsatz | 榊原ゆい | 与猶啓至 | イナヲ | 榊原ゆい | 挿入歌 |
| Über den Himmel | REIKA | 与猶啓至 | 与猶啓至 | 榊原ゆい | ED |
ボーカル曲を歌うのは榊原ゆいさん。
OP曲「Gregorio」は今回の『Acta est Fabula』で追加された曲ですが、これがもうメチャメチャ激熱の燃えソング。
全体的に疾走感のある曲調でBGMと同じように荘厳さも感じます。コーラスも効果的に使われていて、ライブで歌ったら盛り上がりそう。
挿入歌の「Einsatz」は『Also sprach Zarathustra』でのOP曲。
イントロは「Gregorio」とほぼ共通なんですが、曲の構成としてはこちらの方がOPっぽい感じですね。前半は力の入るところと抜いているところのメリハリがついていて、全力で歌い上げるサビにつながっていきます。力入りすぎて半分くらい歌詞聞き取れないですけど(笑
ED曲「Über den Himmel」は先の2曲とは対照的なしっとりとした曲。とても同じ方が歌っているとは思えません。
アニメ映画のENDテーマのような雰囲気で、非常にムーディーな曲調。本編で熱くなった心をクールダウンさせてくれます。
3曲とも作中に使われるときはフルVer.が流れますが、音楽モードだとショートVer.しか流れないのが残念。
これらの曲はのちに発売された「light Vocal Collection IV」にも収録されています。さすがに新品では手に入りませんが、中古ならたま~に売ってるかも。
むしろ敵キャラがメインの【ムービー】
(本編と比べれば)かなり短いプロローグの後にOPムービーが流れます。
ヒロインだけでなく、敵である黒円卓のメンバーも紹介しているのもこの作品らしいですね。
前提的に非常にスピード感のある作りになっている上に、曲のリズムとCGの転換タイミングがピッタリ合ってるので、非常にノリがよくて気持ちが上がります。
作中の戦闘シーンのCGをふんだんに使ったいかにも燃えゲーらしいムービーです。
蓮vsマキナ戦のシーンなんかどっちが主人公かわかりません(笑
クリア順に注意【攻略】

前半の共通ルートに出てくる選択肢によってルートが分岐します。
だいたいわかりやすい二択なのでそれほど迷うことはないかと。
2週目は途中から始めても分岐しますが、基本的にNEW GAMEから始めた方が間違いがないと思います。スキップも早いですしそれほど苦になりません。
推奨攻略順は、香純→螢→マリィ→玲愛。
できるだけこの順番でプレイしてください。後半の展開がどんどん壮大になっていきます。
ちなみに初回プレイ時は香純とマリィルートしかプレイできません。どちらかをクリアすると螢ルートが解放、マリィルートクリアで玲愛ルートが解放されます。
バッドエンドの類はないのでエンディング自体には簡単にたどり着くはずです。ただ普通にプレイするだけでは1つか2つHシーンを取りこぼすと思うので、回収するときは攻略サイトを頼りましょう。これ初見では何がフラグになっているかわからないと思います。
また玲愛ルートのエピローグにはそれまで選んだ選択肢次第で追加イベントが挿入されます。短いエピソードですが一応エンディングを補完するものなので、できるだけ見るようにしてください。
これも初見ではわかりにくいので攻略サイトを頼りましょう。エピローグに初めて見る名前のキャラがいたらそれが追加イベントです。
ちなみにそこからつながる玲愛ルートの後日談がサントラCDの『Neuen Welt Symphonie』にボイスドラマとして収録されています。
総プレイ時間はゆっくりやって50~60時間。
かなりのボリュームがあるので、じっくり腰を据えてプレイするようにしてください。
批評空間のプレイ時間中央値35時間というのはいくらなんでも短すぎだと思います(笑
内容は軽め【Hシーン】

シーン回想に登録されるHシーンは14個。
香純×4、螢×2、マリィ×1、玲愛×3、残りはサブキャラになります。ヒロインによってちょっと偏りがある感じですね。ただ香純の1回は未遂なので実質3回かも。
ヒロインは卑語を言わないのでP音等による修正はありません。
行為の内容は蓮が絡むものはオーソドックスな和姦です。一部ヒロインから襲われる系のものがあるくらい。
胸は玲愛以外は普通~やや大きめ。尺も短いのであんまり使えるものではないですね。
ちなみにですが行為の最中は主人公の蓮も普通にフルボイスで喘ぎます(笑
コンフィグ画面でHシーンの男性音声を選べるので、不要な人はあらかじめ切っておきましょう。
根強い人気も納得【感想】

この作品は今となっては結構古い作品なのですが、未だに根強い人気を誇る名作です。
私がたまたまプレイしているときになぜかXのトレンドになったりしてましたし、感想をつぶやいただけでいつもの数倍の反応をいただけたりしました。すごいですねこの作品。
ストーリー的にはそれほど捻りのあるものではなくむしろストレートで王道的なんですが、独特のテキストや登場人物のキャラクター性が非常に魅力的。最近はこういう雰囲気の燃えゲーはなかなかないので、00年代ならではの物語といえるかも。
熱くてカッコいい”中二病”感
この作品の売りは、何といってもこれでもかとばかりにこだわった”中二病”的な設定と文章。
「拷問城の食人影」とか「焦熱世界・激痛の剣」といった男の子が好きそうなルビ付きのカッコいい名前が頻出します。こういうのって中途半端にやるとネタっぽくなってしまいますが、ここまで突き抜けていると熱くて清々しい。
文章自体も良くも悪くもシナリオライターさん特有のノリがあります。この作品はストーリーを追うだけでなく、正田さんの文章を全身で浴びて世界観に浸るものですね。ストーリーのテンポやわかりやすさを重視する昨今のラノベ、特になろう系の小説とはある意味対極に位置するものです。それらの小説なら5分とかからず読み終わりそうな戦闘シーンでも、この作品は30分くらい余裕でかったりします。もちろん無駄に引き延ばしているわけではなく、これでもかと言わんばかりにじっくりカッコよく盛り上げてくれるので、時間を忘れて没頭できるんですよね。
でもこういう作品に慣れてない人にはちょっとクドく感じてしまうかも。あえて固有名詞でなく指示語で話したり、婉曲的な比喩も多いので、正直ちょっとわかりにくい面もあります。私自身、集中していないとちょっと意味がつかめないシーンも多く、何度もバックログを読み返していました。
戦闘シーンであっても地の分だけでなくセリフも結構多いので、ガンダムばりに戦いながら議論したりもします(笑
私はこういうの大好きなので楽しめましたが、テンポのいいラノベに慣れた人はちょっと好みが分かれるかもしれません。
魅力的な黒円卓のキャラクターたち
そしてこの作品のもう一つの特徴は敵となる聖槍十三騎士団黒円卓のメンバーたちのキャラクター性。
もうこれがどいつもこいつもカッコいいんですよ。
特に首領であるラインハルト・ハイドリヒ卿は圧倒的な”ボス感”と高貴さが漂います。作中一の美形なので何気に女性人気も高かったキャラでした。どのくらい人気だったかというと半裸の抱き枕カバーが公式で作られたくらい(笑
ある意味Fateのギルガメッシュにも通じるキャラですが、ギル様とはまたちょっと違うベクトルの魅力があります。圧倒的な力を持ちますが別に他者を見下すわけではなく、むしろ等しく愛していますし。どちらかというと『銀英伝』のラインハルトに近い感じですかね。名前が同じなだけでなく、二人称が「卿(けい)」なのも多分偶然ではないかもしれません。
その他の黒円卓のメンバーにしても寡黙なマキナやチンピラめいたヴィルヘルム、女性陣ではロリババアのルサルカや正統派ヒロインめいたベアトリスなど人気は割れています。その分みんなキャラがたっていて非常に魅力的。敵にしとくのはもったいないけど、むしろ敵だからこそ魅力が引き立つのかも。
それぞれのキャラクターは話が進むにつれ家族や自身の渇望に関する秘密が明かされていくため、どんどんキャラの魅力が増していきます。
個人的にはヒロインでもある螢がお気に入り。
エロゲのヒロインは過酷な宿命を背負ったキャラも珍しくないですが、この子はちょっと業が深すぎます。
この手の「敵ヒロイン」って敵の中でもイレギュラーな穏健派だったりして悪になりきれていないのが定番。でもこの作品の螢に関しては物語開始時点ですでに多数の人間を殺しています。こういうヒロインってなかなかいないのではないでしょうか。
もうすでに後戻りできない立場にいるからこそ深すぎる業を感じざるを得ません。
それぞれにとっての命の価値
もちろん螢だけでなく、他の黒円卓のメンバーもバンバン人を殺します。ぶっちゃけこの作品は人が死にまくります。
一昔前の少年漫画などだとなんだかんだで無関係な人には被害が出なかったり、何なら敵も殺さなかったりしますが、この作品では普通に人が死にます。そういう意味では『鬼滅の刃』と通じるところがあるかも。
戦闘の経緯や結果として人が死ぬからこそ、物語に緊張感と意外性が生まれるんですよね。
実際プレイしていて「えっ? このキャラ死んじゃうの?」という展開が何度もありました。人が人を殺す作品ってエロゲでもそう多くはないんですよね。(黒円卓の騎士たちは死の概念がちょっと違いますが)
作中では主人公サイドのキャラたちが見知らぬ多数の人間の命より身近な1人の人間の命を選ばざるを得ない葛藤が描かれます。
よく話題になる「トロッコ問題」(1人を犠牲にして5人の命を救うことの是非)なんかだと迷いつつも多数の命を選択せざるを得ないところですが、もし犠牲になる1人が自分の大切な人の命だったとしたらどうでしょうか。正直なところ自分なら大切な人の命を選んでしまいます。そのために犠牲になるのが100人であっても1000人であっても。
そういう人間としての性を認めて逃げずに描いているからこそ、キャラクターたちに感情移入できるのかもしれません。
魅力的なキャラクターや熱い戦闘描写はもちろんのこと、極限状態での命のやり取りにドキドキする、非常に硬派な燃えゲー作品でした。
同じスタッフで制作された『神咒神威神楽』が実質的な続編らしいのでそっちもプレイしてみたいです。

