エロゲー業界には「個性的なシナリオライター」という存在が何人もいるのですが、その中の一人が「冬茜トム」さん。独創的な世界観と綿密な伏線回収で有名なライターさんです。
今回紹介する作品はそんな冬茜トム先生の代表作、きゃべつそふと制作の『さくらの雲*スカアレットの恋』。公式略称は「さくレット」。タイトルにある”*”は文字表記だと全角のアスタリスクですが、ロゴでは桜の花びらになっているのでそういう意味なんでしょう。決してお尻ではありません。
受賞歴は萌えゲーアワード2020シナリオ賞受賞、2020年Getchu.com美少女ゲーム大賞総合部門・シナリオ部門・キャラクター部門で1位、5chベストエロゲー投票1位と、名実ともに2020年を代表する作品です。しかもこの年は『白昼夢の青写真』や『天ノ少女』、『9-nine-ゆきいろ』など錚々たる名作たちを押さえてのTOPなわけですから、正にエロゲ史に残る作品と言っても過言ではありません。
物語は2020年の日本に生きる主人公の少年が、突然100年前の大正時代にタイムスリップ。偶然出会った探偵事務所を営む女性と共に様々な事件を解決していくSFミステリー作品です。
この作品は何といってもシナリオライター・冬茜トムさんの個性的な作風が前面に出た作品と言えます。トム先生らしい怒涛の伏線回収は見事としか言いようがありません。
しかも今作ではSF要素や恋愛要素も絡んでくるので、エロゲーらしい非常に読み応えのある物語になっています。
加えてメインヒロインである”所長”が魅力的すぎる! シナリオだけでなくキャラクターの可愛らしさもトム作品随一。
トム作品好きはもちろんのこと、ミステリーものやタイムトラベルものが好きな方におすすめの作品です。
ネタバレを喰らうと面白さが半減するタイプの物語なので、できるだけ事前情報は無しでプレイしてください。
- 序盤から仕掛けられた謎や伏線
- 王道的なSF・ミステリー展開
- 魅力的な所長のキャラクター性

購入ガイド
タイトル | 対応OS | 発売日 | 入手難度 |
---|---|---|---|
さくらの雲*スカアレットの恋 | 8 10 | 2020.9.25 | 易 |
さくらの雲*スカアレットの恋 | PS4 Switch | 2021.12.23 | 易 |
パッケージ版は基本的に通常盤のみで特典の類は付きません。中古品は入手困難というほどではありませんが、最近ちょっと値上がり気味で定価とあまり変わらない値段になっています。一応2025年現在でまだ新品が通販で販売されているので、パッケ版を買うなら新品にしましょう。
通常版パッケージに抱き枕カバーを付けた限定版もありますが、こちらは定価越えのプレミア化。所長の抱き枕カバー…、いいな…。
CS版はPS4とSwitchの2種。
どちらもタペストリーや主題歌CD、メモ帳が付いた豪華限定版があります
今から買うならダウンロード版(FANZA独占)を推奨。
税込み定価がピッタリ8800円というのも今では逆に珍しいですね(笑
DL版は+1000円でボイスドラマのついた「ボイス付き限定版」も販売しています。
定期的にセールの対象になりますが、値引き率は基本10%OFFでたまに30%OFFという感じなので、上手く割引率の高い時期を狙いましょう。
システム
ゲームエンジンはEthornell。DL版はブラウザプレイに対応しています。
解像度は1280×720のHDサイズ。
画面サイズは設定により4:3にすることも可能です。そのときはメッセージウィンドウがCGの下側に表示されるので、テキストに邪魔されずCGを見ることができます。
テキストが画面下に表示される通常のADVタイプのシステムですが、メッセージウィンドウが横に長いのでちょっと目で追いにくいこともありますね。
オートモードのウエイト時間がテキストの長さにかかわらず一定なので、文字の表示速度で調節しましょう。
またオートモード時は画面右上に「オートモード中です」と表示されます。煩わしければシステム設定画面の「インフォメーションを表示する」のチェックを外せば消すことが可能です。
キーボード操作はファンクションキーが対応。
別にいいんですが、そろそろこういうのは各メーカーでファンクションキーの仕様を揃えてほしいですね。いちいち確認するのもめんどいので。
シナリオ
企画及びシナリオライターは冬茜トムさん。きゃべつそふとのシナリオゲーは基本この方の作品ですね。
物語は2020年の日本で生活していた主人公・風見司が、桜の木の下で突然1920年の大正時代にタイムスリップ。偶然最初に出会ったイギリス人女性に気に入られ、その女性が所長として東京で営む探偵事務所で助手として働くことを条件に衣食住の面倒をみてもらうと同時に、自分を未来に帰すことを依頼するところから始まる探偵もの。
タイムトラベルというSFを扱いますが、正直なところSF設定はややアバウトな感じ。『STEINS;GATE』のように綿密に組まれた設定ではないので、あまり細かいツッコミはせずに雰囲気で楽しむほうがいいかもしれません。
ストーリーは全十五章の章別構成。個別ルートにも別々の章番号が通しで振られます。
攻略順が固定されていて、共通ルートと4つの個別ルートが実質的に起承転結の形になっていますね。
起(共通)→承(遠子・蓮)→転(メリッサ)→結(所長)
という感じ。中には本格ミステリのようなルートもあり、中盤以降もダレずに読み進めることができます。
舞台が大正時代の東京ということもあって、当時の世相や文化も描かれます。時代的には第一次大戦後の好景気に沸いていた時代ですね。
作中には頻繁にお金が出てくるんですが、当時の金銭感覚がちょっとわかりにくいところがあります。
10円札とか出てきても今の価値には簡単に換算できないんですよね。テキストでも「だいたい〇〇万円くらい」というアバウトな説明になっています。
ちょっと調べてみたら、お金の価値は物価で計るのか賃金で計るのかによって違ってくるみたいですね。
ちなみに当時の大卒サラリーマンの初任給が50~60円、米1.5kgが50銭くらいらしいです。
1920年というのはちょうど米の値段が高騰し米騒動が起こった直後くらいなので、図らずも今(2025年)とリンクしてしまいました。

歴史上の出来事やその後の日本がたどる道の話もちょくちょく物語中に出てきます。
こういうのは大正以降の日本に起こることをプレイヤーが知っているからこそ味が出ますね。
同時にこの作品にしかないフィクションの出来事も混ざっているのが何気に重要。
歴史の授業で習うプレイヤーの知識を前提としつつ、フィクションも織り交ぜられているので、「あれ? 大正時代にこんなことあったっけ? 自分が知らないだけ?」という違和感が後の伏線になっていたりもします。こういうストーリーの進め方は上手いですね。逆に知らない出来事が出てきても変に調べようとしないほうがいいかもしれません。
大正時代の雰囲気を出すためか、時折テキスト中にやや難しい漢字を使用することがあります。
寿ぐ(ことほぐ) 阿る(おもねる) 紊乱(びんらん) 芟除(さんじょ)
紊り(みだり) 無聊(ぶりょう) 佩用(はいよう) 衒う(てらう)
読みはルビが振られるので問題ないのですが、意味がちょっと分かりにくいものもありますね。国語知識が試されます。
グラフィック

原画はきゃべつそふとの梱枝りこさん。サブでよねぞうさん。SD原画にしらたまさん。(本編中にSD絵は使われません)
キャラクターの描かれたイベント絵は80枚。その他に背景やアイテムが描かれた絵もCGモードで見ることができます。
全体的にきゃべつそふとらしい、繊細でありながら可愛らしい画風ですね。彩色も淡い感じで優しい雰囲気。
ヒロインの頬にうっすらと紅がさしているのも可愛らしさを増しています。
どのキャラも頭身が低く、やや幼く見えるのも梱枝さんらしいキャラデザ。
所長はそこそこ年齢が上のはずですが、見た目は10代にしか見えませんね。
主人公の姿も普通に描かれるんですが、こちらも非常に幼く見えます。
キャラクター

所長
東京でチェリイ探偵事務所を開く本名不詳のイギリス人女性。シャーロックホームズが大好き。
事務所は閑古鳥が鳴いているがお金には目がなく、大金を前にすると目が”¥”の字になる。
探偵としての能力は少々頼りないものの、行動力はあり面倒見のいい性格。
不知出 遠子
旧家の一人娘でお金持ちのお嬢様。この時代では珍しく洋服を着こなす。
穏やかだが浮世離れした性格で、所長へのちょっとした依頼にも大金を投じる。
メリッサ
不知出家で料理以外の家事をそつなくこなすメイド。巨乳。
外出時は常に遠子と行動をともにし、冷静な性格で遠子のフォローも行う。
水神 蓮
浅草の女学校に通う少女で下町育ちの常識人。
活発ではないが明るく好奇心も旺盛。冒頭でチェリイ探偵事務所に猫探しを依頼する。
風見 司
現代からタイムスリップして大正時代にやってきた青年。
21世紀の知識と優れた洞察力を持ち、所長の助手として事件を解決に導く。
ヒロイン以外では帝都の新米新聞記者・三枝マイ、正義感の強い刑事・柳楽、変わり者の発明家・伏倉万斎、そして「魔人」と呼ばれ畏怖される憲兵大尉・加藤などが主な登場人物。
加藤は異彩を放つキャラですが、モデルとなっているのはおそらく荒俣宏の『帝都物語』に出てくる魔人・加藤保憲(ストⅡのベガの元ネタにもなった人)ですね。『さくレット』の加藤のほうがイケメンですけど。
主人公である”風見”の読みが一文字目の「か」にアクセントを置く感じなので最初違和感がありました。むしろこっちが正しいのかな。(戦艦ヤマトとヤマト運輸の違いみたいな)
個人的に一番の好みはなんといっても所長。
年上ながら可愛らしさを併せ持ち、プレイヤーからの人気も高いキャラです。だいたいの人は所長にほれ込んでしまうのではないでしょうか。
本名が不詳なのは何かビックリする意味があるのかといろいろ予想しながらプレイしてたんですが、全部ハズレでした。というか名前隠した意味あんまりないような…。
ボイス
猫田みけ / 優希知冴(所長) | 相模恋 / 湯宮由海(遠子) | 花宮すい / 栗坂南美(メリッサ) |
如月たま / 櫻弥恵(蓮) | 月白まひる / 星谷美緒 | 瀬兎りょう / 春村奈々 |
西園かなえ / 北﨑ひとみ | 野々宮小鞠 / 河井晴菜 | 藤咲ウサ / 桜咲千依 |
霧島陽炎 / 荻原秀樹 | 熱波整 / 中野泰佑 | 蓮岳犬 / 蓮岳大 |
万里小路麗音 / 逢坂良太 | 真野大 / 狩野翔 |
主人公以外フルボイス。
この時期の作品には珍しく、PC版とCS版で名義の違う声優さんになっています。
『アメグレ』のときもそうでしたが、きゃべつそふと作品はキャスティングが独特ですね。流行りの声優さんはあまり使わないというか。
正直なところ相模恋さんと藤咲ウサさん以外は知らない人ばかり。ただ演技力は問題ありません。
むしろこんな上手い人をどこで見つけてきたんだというキャスティング。特に所長の声はベストマッチです。
男性声優では万斎役の万里小路麗音さんがアニメっぽい声だなと思ったら本当にアニメっぽい人でした。この方エロゲOKなんでんすね。一人だけ別次元のキャリアです。
BGM
BGMの作曲は藤井稿太郎さん。他のきゃべつそふと作品でも楽曲を提供している方ですね。
音楽鑑賞モードで聴ける曲はボーカル曲とそのインスト曲を除くと20曲。シナリオのボリュームに比べると曲数は少なめです。
大正時代というか、『サクラ大戦』あたりに使われそうな雰囲気の曲が多いですね。
個人的お気に入り曲は、
大正ロマンあふれる日常曲『かく咲きたらばいち恋ひめやも』。楽器の数が多くてバリエーション豊かなで飽きさせません。
落ち着いたピアノ曲で癒される『Nostalgia』は徐々に楽器が増えてタイトル通りノスタルジックな気分になる、昼休みに辺りに聴きたい曲です。
『掴み取る未来』はまさに勝ち確BGMで、本編中でも一番盛り上がるところで使われる曲。激しすぎないのが逆にいい。
『JUGGERNAUT』は荘厳でありながら絶望感も感じる曲。RPGならラスボス前に流れてそう。
『Scarlet Frontline』はこの作品では数少ない戦闘曲でノリノリになれます。
主題歌
タイトル | 作詞 | 作・編曲 | 歌 | 備考 |
---|---|---|---|---|
「桜爛ロマンシア」 | KyoKa | 藤井稿太郎 みう(MusikMagie) | KyoKa | OP |
「雨露とビードロ」 | 冬茜トム | 藤井稿太郎 みう(MusikMagie) | KyoKa | 挿入歌 |
「比翼のさくら」 | 冬茜トム | 藤井稿太郎 みう(MusikMagie) | 逢瀬アキラ | ED |
OP曲『桜爛ロマンシア』はテンポが良く勢いを感じる曲。ちょっと前のアニメソングのような、どこか懐かしさも感じる曲です。イントロにある一瞬の休符で逆に力が入りますね。て~れ~れ♪て~れ~れ♪て~れ~れッッテテン!
挿入歌『雨露とビードロ』は始まりは優し気ですが、サビにかけて力強く盛り上がっていく曲。青春アニメ映画のエンディングのような雰囲気です。
ED曲『比翼のさくら』は非常に明るくて前向きな曲。曲調としてはこっちをOP曲として使っても違和感ないくらい。ただ冬茜トムさんによる歌詞が非常に物語に沿っているので、エンディングに聴くと感慨深くて涙を誘います。まるで所長から司へのメッセージのようですね。これ歌詞カード欲しい。
ボーカル曲はありがたいことに3曲とも音楽鑑賞モードでフルバージョンを聴くことが可能です。また別売りのサントラにも収録されています。
ムービー
長めのプロローグの後にOPムービーが流れます。ムービー制作はプリズムビジョン。
曲調に合わせて次々と絵が入れ替わる、いい意味ですごく忙しいムービーです。表示される文字がギリギリ読めるか読めないかくらいのスピード感。
探偵ものであることをイメージさせるために虫眼鏡を多用しています、キャラ紹介でヒロインの立ち絵に虫眼鏡を当てて違う服装を見せるのは面白いですね。抜きゲーだと裸になってそうですけど。
攻略
実質一本道の物語なのでゲーム性や自由度は皆無です。
一応選択肢は出てきますが、シナリオが分岐するわけではありません。
なので攻略順は、
遠子→蓮→メリッサ→所長
で固定。個別ルートを最後までプレイするとタイトル画面にメニューが1つ追加されるので、続きはそこをクリックしてください。
タイトル画面のCGとタイトルコールが進行中のヒロインを表しています。
総プレイ時間はオートモードでゆっくりやって35~40時間。だいたい1ルートあたり6~8時間くらいでしょうか。最後の所長ルートのみ少し長め。
Hシーン

回想モードで見られるHシーンは全部で17個。
ヒロイン1人当たり4回ずつ。所長のみ5回登録されますが、最初の1回は本番なしなので実質4回になりますね。
尺はシナリオゲーとしては長めで、かなり丁寧に描写されます。キスシーンだけで5分以上かけることも。
ヒロインはみんなHに積極的で、シナリオ後半は隙あらばHします。Hシーンが個別ルート後半に集中するため、シナリオの進行がその都度止まってやきもきしてしまうこともありますね。
行為自体は特殊なものはなく極めてオーソドックス。
1回だけ避妊具を使いますが、その他は全部中出しで、全員に妊娠を望む台詞があります。
行為の最中は結構乱れますが、卑語は言わないので修正の類は基本的にありません。ただ行為の前後のシーンでたまに出てくる卑語には伏字・P音による修正が入ります。
感想

私自身、トム作品をプレイするのは『彩頃』『アメグレ』に続いて3作目なんですが、この『さくレット』において完成形に達したのではないでしょうか。
元々トム先生は終盤の伏線回収が気持ちいいことで有名なんですが、それに加えて独特な世界観やストーリー構成、読者に挑戦するような謎かけ、そしてヒロインの可愛らしさ、これらの要素が”冬茜トム”という枠にぴったりとハマっているのが『さくレット』という作品なのではないかと。
そういう意味ではトム作品を未プレイの人にこの『さくレット』からおすすめするのは十分ありだと思います。エロゲの世界には冬茜トムという世界があるんだよと。
わかりやすい伏線回収
トム作品と言えば伏線。伏線と言えばトム作品。この作品でも序盤から様々な伏線がちりばめられています。
しかもいい意味で伏線の提示がわかりやすい。この作品では突然キャラクターが意味深な行動をしたり、台詞中で言葉を濁したりします。あたかも「ココ大事だから覚えておいてね」と強調する受験参考書のようにプレイヤーに提示されるので、これによって先が気になってプレイするモチベアップにもつながるわけですね。
さらに後半で伏線を回収するときはその都度回想シーンが挿まれるので、”答え合わせ”もしやすくなっています。この辺もトム作品のわかりやすさの一つ。
『機動戦士ガンダム』みたいに後から岡田斗司夫に伏線の解説をされないとわからない作品もいいけど、トム作品みたいに深く考えずとも伏線が繋がっていく快感が味わえるのも楽しいですね。やはり今の時代はわかりやすい作品のほうがウケます。
そしてこの作品でも他のトム作品と同じく、作品の根幹をなす大きな謎が隠されています。
これはプレイヤーの認識や常識の裏をかいてくるトム作品らしい謎で、当たり前だと思っていたものが当たり前でなくなるときの驚きを味わえます。
ともすると「こういう驚きがあるよ」と伝えること自体ある種のネタバレになってしまうかもしれませんが、トム作品に関しては最初から身構えていても問題ありません。それでも多分気付かないから。
恋愛要素
この作品はタイトルや作品ジャンルに「恋」が入っていることからもわかるように、恋愛要素が結構重要なファクターになっています。特に所長ルートではその趣が強いですね。
100年後の未来から来た少年と大正時代の女性との恋。文字通り100年の時を越えた恋愛はプレイヤーの心に刺さります。
こういう「時を越えた恋」で思いつくのは、私の世代だと映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のPartIII。あの作品では過去にタイムトラベルしたドクが現地の女性クララと恋に落ち、最終的に未来に帰ることを諦めて添い遂げる決断をしました。恋人と一緒に過去の時代を生きていくのか、恋人と別れて元いた未来に帰るか、というのはどちらにしても重い決断ですが、『さくレット』の主人公・司がどのような選択をするのかも重要なテーマの一つ。
そんな重要な決断をしたからこそ、ラストシーンでのメッセージに心を打たれます。ずっと司のことを見ていて、想っていたからこその言葉なんですよね。まるでプレイヤーである自分に対しての言葉であるかのように思えて、正直ちょっと泣けてきました。なんだか「自分は自分の未来を築き上げていこう」という前向きな気持ちにさせてくれます。
ちょうど『BTTF』のラストでドクがマーティたちに言った台詞
「君たちの未来はその紙のようにまだ真っ白ってことだ。誰の未来もな。
未来は君たち自身で作るんだ。素晴らしいモノにしなきゃ、君たち2人で」
にも通じるものがありますね。
the 冬茜トム
謎解き時のインパクトという点では正直なところ前作『アメグレ』のほうが上かもしれません。というかあれを上回る衝撃的な展開はそうそうないと思います。
でもエロゲーとしての完成度や満足度は個人的に『さくレット』のほうが高かったです。ミステリー展開だけでなく、ヒロインのキャラクター性やネタばらし時の演出、ラストのメッセージ性など、どこをとっても”冬茜トム風味”が生きている。SFや謎解きメインの作品はともすると恋愛要素がおざなりになったりするんですが、この作品はそれがないのもいいですね。いい意味でちゃんとエロゲーしてるというか。
もう作品ジャンルを「冬茜トム」としてもいいんじゃないかと思うくらい、他と比較できない唯一無二の素晴らしい作品かと。逆にこの作品がダメなら他とトム作品も合わないと思いますが、そういう人も少なそうです。ErogameScapeや各種感想サイトで軒並み高評価ですし。
一度クリアした後も、全てのネタバレを知ったうえでもう一度プレイしたくなる物語でした。
アニメ化とかしたら人気出そうな気がしますが、どこかにそういう世界線はないですかね。
・関連作品リンク
きゃべつそふと作品
冬茜トム作品
伏線回収作品