1989年より続くアリスソフトの看板タイトル群『ランス』シリーズの第7作目『戦国ランス』。(タイトルロゴの背景にうっすらと「Rance VII」と描かれています)
ストーリー的には第6作『ランスVI-ゼス崩壊-』と第8作『ランスクエスト』の間になりますが、前作をやっていなくてもほぼ問題ありません。むしろ「ランスってどれからやればいいの?」という初心者に対して、「とりあえず戦国ランスからやっとけばOK」と言われるくらいランスシリーズの入門的作品としての地位を確立しています。
2006年美少女ゲーム売り上げ第1位。2006年2chベストエロゲ投票では『この青空に約束を』や『マブラヴオルタ』といった名作を抑えてぶっちぎりの1位という、正にエロゲ史に残るゲームです。
ランスシリーズはエロゲでは珍しい「遊べるゲーム」として毎回手を変え品を変え色んなゲームシステムを採用していますが、今作は戦国時代の日本をモデルにした”国取り戦略シミュレーションゲーム”、言ってみれば「信長の野望」のエロゲ版。
このゲーム部分が非常に良く出来ていて、単純なルールながら難しすぎず簡単すぎない絶妙なゲームバランスな上、キャラの育成要素あり、収集要素あり、強大な裏ボス要素ありと何度も繰り返し遊べるようになっています。
夜中のちょっとした暇つぶしのつもりでゲームを始めたらどっぷりとハマり込み、「あと1ターン、あと1ターンだけ…」と呟きながら気がついたら朝になってた、なんてことにもなりかねない魔性のゲームです。用法用量を守って正しくお使いください。
- 時間を忘れて没頭できる戦国シミュレーションゲーム
- ほとんどの女性キャラにあるHシーン
- ランスシリーズらしいハチャメチャな世界観
ブランド | アリスソフト |
ジャンル | 地域制圧型シミュレーション |
初回発売日 | 2006.12.15 |
DL版価格 | 2,530円 |
シナリオ | TADA とり |
原画 | 織音 |
おすすめ度 | 85 |
シナリオ傾向 |
あらすじ
大陸の東の端にある島国JAPAN。
公式サイトより
複数の戦国大名が覇権を争う第4次戦国時代の真っ最中。
鬼畜と呼ばれ大陸で暴れたい放題をしてきたランスは、奴隷のシィルを連れてこのJAPANにやってきます。
温泉旅行?
いえ違います、温泉には行きますが、ランスの目的は、美しいと評判のJAPANの姫や女侍や巫女や女忍者や村娘とかをやりまくること。
特に最大勢力の織田家の香姫をものにすること。
ランスは一国の支配者となり、全国統一に向けて大進撃を開始します!
購入ガイド
タイトル | 対応OS | 発売日 | 入手難度 |
---|---|---|---|
戦国ランス | 98 Me 2000 XP | 2006.12.15 | 易 |
戦国ランス 廉価版 | XP Vista 7 8 | 2014.12.19 | 易 |
パッケージ版は紙製パッケージの通常版と、後に発売されたプラ製トールケースの廉価版の2つ。紙パッケージ版にはトレカが付きます。
中古価格も廉価版の新品とそんなに変わらないので、パッケージ版を買うなら廉価版で。
今から買うならDL版を推奨。現行OSに対応している上に廉価版よりも定価が安くなっているので、非常に安価で購入することが出来ます。
セールになると半額くらいになりますが、アリスソフトは年に1回くらいしかセールにならないので、ほしい時に買いましょう。
これ以外に『三匹が斬ったり突いたり燃やしたり』という本編のキャラを使ったたミニゲームがアリスソフトの公式ブログから無料でダウンロードできます。
システム
システムを詳しく説明すると非常に長くなるのですが、まぁ概ね昔の『信長の野望』みたいな感じの戦国シミュレーションゲームだと思ってもらえればよいかと。
画面サイズは800×600。初回版を購入した場合はモードが追加されるアップデートパッチを必ず当ててください。(廉価版・DL版は最初からアップデート済)
ゲーム内容は基本的にメインとなる戦略画面で内政したり女の子とエッチしたり他国の城に攻め込んだりしていくのですが、1ターンあたりの行動回数に制限(スタート直後は2回)があるので、効率的に攻略しようと思ったら序盤から計画的に行動する必要があります。
それ以外にも戦闘パートでは攻撃回数に制限がありますし、仲間に出来る武将の数も上限があります。最初は窮屈に思えるかもしれませんが、こういった制限があるからこそ全体として絶妙なゲームバランスを生み出しているんですね。
ただゲーム内にチュートリアル的なものはないので、プレイ前にはマニュアルを熟読しましょう。それでも最初はいろいろ試行錯誤しながら手探りでプレイしてい くことになると思いますが、この手のゲームをやったことがあればじきに慣れてくると思います。システム自体はそんなに複雑ではないですし。
ネット上には攻略サイトが多くありますが、最初から攻略サイトの指針どおりにやるというのもちょっと味気ない気がしますね。
シナリオ
シナリオ原案はランスシリーズの産みの親であるTADAさん、メインライターは”とり”さん。
1ターンごとに何かしらイベントが差し込まれてシナリオが進行します。ほら、「信長の野望」とかでも進行具合によってイベント(正徳寺の会見とか安土城築城とか)が発生するじゃないですか。ああいうのがほぼ毎ターンあるものと思ってください。
ただ基本的にシナリオメインのゲームではないので、過大な期待はしないほうが良いかもしれません。あくまでもメインは国取りゲームです。
ストーリーは極東の島国JAPANにやってきたランスとシィルが信長の代わりに織田家を率いて天下統一を目指す、というもの。ゲーム中盤以降はランスシリーズでおなじみの”魔人”も登場し、魔人の手から世界を救うという壮大な物語が展開します。
こ の作品(というかランスシリーズ)ではテキストが非常に独特。物語は三人称視点で書かれていて、細かな情景描写などは省かれることが多いですね。ゲーム開 始直後からしていきなり何の説明もなくランスが織田軍に加わっていますし。(戦闘後にちょっとだけ経緯が語られる程度)
文章自体もかなり砕けた感じで、どことなく90年代の香りがします。間違いなくあえてそういう雰囲気にしているんでしょうけど、アリスソフトの作品に慣れてない人は違和感があるかもしれません。
グラフィック
原画&キャラデザインはアリスソフトの織音(オリオン)さん。漫画チックというかポップなキャラデザです。
イベント絵はなんと102枚。そのうち8割近くがHシーンになります。自力でフルコンプするのはかなり大変。
戦略画面や戦闘画面は古き良き2Dドット絵。最近のコンシューマゲームに慣れた人からするとちょっとショボく見えるかもしれません。
キャラクター
ランス
シリーズを通しての主人公。無類の女好きで可愛ければ誰彼かまわずエッチする。
邪魔する男は殺し、捕らえた女は犯す。何故かエッチした女にはモテモテ。そんなに良いのか(笑
エロゲ界広しと言えども、女性を犯しておいて「がははははは!」「グッドだーーー!」で済まされるのはこいつくらいですね。
シィル・プライン
初代から登場するランスに買われた奴隷。身の回りの世話から夜の相手まで何でもこなす。
トレードマークのもこもこヘアーはさすがに時代に合わなくなってきたのか、今作以降は幾分今風のデザインになっています。
香姫
織田家当主信長の妹でしっかりもの。
JAPAN一の美女と称されるが、ロリなのでランスの守備範囲外。
鈴女
伊賀家に使える忍者。特技は暗殺。夜のテクニックも一級品。
序盤で仲間になりますが、シナリオ上も重要な役割を演じるので、武将の中でも唯一解雇不能。
上杉謙信
武将のほとんどが女性で占められる上杉家当主。義を重んじるJAPANの”軍神”。女体化はお約束。
戦術面では固有スキル”軍神の威光(相手の行動力-1)”がチート級の効果。仲間にすると非常に使えるが敵の場合は厄介。
山本五十六
弟を人質に取られ、足利家に仕える女武将。
序盤から中盤にかけて頼りになる弓使い。
南条蘭
北条家当主・早雲の恋人で陰陽師。
固有ルート以外では容赦なく不幸な結末を迎える気の毒なキャラ。だからこそ蘭ルートでは幸せになってほしい・・・。
イベントに関係しない汎用キャラもあわせると膨大な数のキャラが登場します。戦国時代の武将をモデルにしたキャラが多いですが、卑弥呼や一休、坂本竜馬や伊 藤博文といった別時代のキャラに加え、鈴女や蘭のような完全オリジナルキャラや、大陸からの援軍としてリズナや見当かなみといったシリーズおなじみのキャ ラも登場し、ランスシリーズらしいハチャメチャで独特な世界観を構築しています。
この手のエロゲでは実在武将を女体化するのがお約束ですが、この作品では意外とそういうキャラは少ないですね。主要キャラでは上杉謙信と直江愛、蘭丸に沖田のぞみと毛利三姉妹くらいでしょうか。五十六は名前だけという感じ。
ボイス
ランスシリーズは伝統的にキャラクターボイスは付きません。
BGM
BGMを手がけるのはファンからの人気も高いShadeさん。
Shadeさんらしいカッコ良い旋律の中に和風の要素も入れて非常に作品の雰囲気にマッチしています。
全44曲のうち半分以上が戦闘シーンに使われるような激しい曲。どれを聴いてもハズレがありません。
個人的一番のお気に入りは防衛戦のときに流れる「Drive back the enemy!」。で~~~ん♪で~れっで~~で~~ん♪という印象的なベースの旋律で始まり、メインのメロディを奏でるギターと三味線の掛け合いが素晴らしい。
この他には謙信ちゃんのテーマとも言える「Mars」。ギターの旋律がカッコ良すぎる!
ラスボス戦で流れる「Rebirth the edge」は正にShade節炸裂!といった感じでテンション上がりまくる最強曲。
主題歌
ランスシリーズは伝統的にボーカル曲は付きません。
ムービー
初回起動時のアバンタイトルでOPムービーが流れます。2回目以降は流れませんが、CGモードからいつでも見ることができます。
内容はキャラ紹介を中心にしたシンプルなもの。一部に3Dモデリングも使われていますが、ぶっちゃけちょっと地味ですね。
どちらかというとOPムービーというよりは、店頭で流すようなデモムービーの趣が強い気がします。(販促ムービーは販促ムービーで別にあります)
攻略
ゲーム自体の難易度はクリアするだけならそんなに高くありません。簡単というわけでもないので何度かゲームオーバーになることもあるかもしれませんが、トライ&エラーを繰り返していけば恐らく誰でもクリアはできると思います。
個人戦ではたとえ負けても何度でも挑戦できますし、天下統一を目指す戦略面でも一定のターンが経過すると強制的にラスボス手前の状態になるという救済措置があります。(むしろ自力で天下統一するほうがはるかに難しいです。特に武田家や独眼流家をまともに相手するのは初回プレイでは無理だと思います)
ただ武将の少ない序盤から宣戦布告しまくると防衛もままならなくなって”詰んで”しまうので、出来るだけ1ヶ国ずつ攻めましょう。序盤は同時に相手出来る国はせいぜい2ヶ国が限度です。3ヶ国目に宣戦布告されたら諦めましょう(笑
またかなり意地悪なイベントも多く、中には自軍の武将を強制的に離脱させてしまうようなイベントもあるので注意してください。
主なシナリオは4つ。まず初回プレイ時は魔人を倒して天下統一を狙う「正史ルート」固定。正史の名の通り、エンディングが次回作「ランスクエスト」に繋がります。
正史ルートをクリアすると他のIFシナリオが開放され、その中でもヒロイン個別ルートとなるのが、上杉謙信と共に帝レースに挑戦する「謙信ルート」、山本五十六と共に山本家の復興を目指す「五十六ルート」、南条蘭と共に各地の”地獄の穴”を封印していく「蘭ルート」の3つ。イベントの選び方により分岐しま す。
謙信ルートと五十六ルートは新たに現れるイベントを選ぶだけなのでそんなに分岐は難しくはないのですが、蘭ルートは戦闘で蘭を捕虜にする必要があるので多少運も絡みます。
またどのルートも中盤の重要イベントである「本能寺の変」の前に分岐する必要があるので、ある程度序盤から侵攻目標を絞る必要があります。(むやみやたらに攻め込むと分岐前に本能寺の変が起きてしまう)
難しいようなら攻略サイトを頼ったほうが良いかもしれません。
→アリスまとめ:戦国ランス
これ以外のルートとして実質BADエンドとも言える「魔王ルート」、魔人関連のイベントが起きず純粋にランスがJAPAN統一を目指す「猿殺しルート」、全てのイベントが起こらず織田家以外でもプレイできる「全国版」があります。
「猿殺しルート」は何気に難易度が高いです。特に島津がインチキすぎる…。
Hシーン
立ち絵のあるほとんどの女性キャラにHシーンが用意されているのでその数は膨大。数えたわけではないのですがおそらく70シーン前後くらいはあるんじゃないかと。
そのうちの半数以上がランスによる陵辱です。ただ陵辱といってもギャグシーンの延長のようなものであまり悲壮感はなく、「まあしょうがないよな、ランスだ し」と笑って許せる雰囲気なのはランスの特異なキャラクターによるものでしょうか。ランスは体を傷つけるような行為はせず、ロリにも手は出しません。好き放題ヤリまくるけど一線は引いてるという感じです。
一部はランス以外の男による陵辱もありますが、これはマジで殺意が沸きます。不思議なもんですね。
Hシーンの数は多いのですが、それぞれのシーンは短めでCGも1枚しか使われないものがほとんど。中にはちょっと”使えない”ようなものもあるかと思います。ぶっちゃけ質より量といった感じですね。
またテキストも独特で、「ハイパー兵器」や「皇帝液」といったランスシリーズおなじみの言い回しは、初めてプレイする人にとってはちょっと違和感があるかも。
感想
エロゲ界きっての”遊べるゲーム”として知られる『戦国ランス』。
ドット絵で描かれたキャラやシンプルなシステム等、今となってはやや時代を感じる(ありていに言えば古い)作品ですが、それでもファンが多いのは絶妙なゲームバランスと沢山のキャラクター達が織り成す魅力的な世界観のなせる技。
ただゲームシステムが面白すぎるがゆえに、シナリオのほうはやや淡白に思えるかもしれません。
というのも正史では固定メンバーが香と鈴女だけで、残りは誰でも良い(極端な話、全員モブキャラでも良い)という自由度の高さが災いして、終盤の魔軍とのイベントではあまりランス以外のキャラが絡んできません。「JAPANの総力を挙げて魔軍と戦う」という感じの物語を期待していると肩透かしを食うかも。 (もちろん各地の強力な武将を仲間にして魔軍に挑むこともできますが、初回プレイでは難しいと思います)
また戦闘シーンはほとんどゲーム部分が担っているので、他の燃えゲー作品に見られるような情感たっぷりの緊迫した文章で盛り上げるということは少なく、一般のRPGのように淡々と進んでいきます。細かい情景描写はプレイヤーの想像に任せるということですね。
この作品はボイスや主題歌がなかったり、テキストにちょっとクセがあったりと、ランスシリーズ黎明期である90年代のレトロな雰囲気をあえて残している感が あります。最近のゲームしかプレイしていないと違和感があるかもしれませんが、シリーズを通してプレイしていると「これぞランス」と思えるはず。
エロゲーとしてというより、ランスシリーズの入門的作品としてプレイすることを強くお勧めます。