アリスソフトと並びゲーム性の高いエロゲーをメインに制作し、特にRPGに関しては業界随一の完成度を誇るブランド・エウシュリー。今回紹介するのはそのエウシュリーが放つ正統派RPG『天秤のLa DEA。 戦女神MEMORIA』。なぜか「モー娘。」ばりにタイトルに読点が付きます。ちなみに「La DEA(ラ・デーラ)」とはイタリア語で”女神”という意味だそうです。
本作は「神殺し」の異名を持つ主人公・セリカが行方不明になった王女の捜索のため、魔物の住まう廃坑の奥深くまで探索するという2DダンジョンRPG。コンシューマの例で言えば『世界樹の迷宮』のようなイメージでしょうか。(世界樹は3Dダンジョンでしたが)
探索するダンジョンが非常に広大でサブイベントも多く、キャラの育成やアイテム収集などの要素はやりごたえがあり、萌えゲーアワード2014やりこみ系作品賞受賞するほど”ゲーム”として面白い作品です。
この作品はタイトルにもあるように、エウシュリーの看板タイトル群「戦姫シリーズ」の第1作でありブランド処女作でもある『戦女神』を15年ぶりにフルリメイクした作品になります。
戦女神シリーズは発売順が『戦女神』→『戦女神2』→『戦女神ZERO』→『戦女神VERITA』→『天秤のLa Dea。』ですが、作品中の時系列では『戦女神ZERO』→『戦女神VERITA』→『戦女神(天秤のLa Dea。)』→『戦女神2』となっているので、どれから始めるか…というより『ZERO』と『天秤』のどちらから始めるかは悩ましいところ。
『天秤』は今のところ最新作で過去作を知らなくても一応問題無くプレイできますが、過去作の登場キャラも何人か出てくるので、シリーズを通してプレイするのであれば時系列順にプレイすることを推奨。
ただ全部やろうとするとメチャメチャ時間がかかるので「とりあえず一作だけ」というのであれば、システムやグラフィックが一番洗練されている『天秤』からプレイするのもアリだと思います。
- やりごたえのあるダンジョンRPG
- 完成度の高いストーリーと世界設定
- どこかで聞いたことありそうな男性声優

ブランド | エウシュリー |
ジャンル | ファンタジーRPG |
初回発売日 | 2014.4.25 |
DL版価格 | 6,600円 |
シナリオ | 高杉九郎 箱十 矢田影見 |
原画 | 鳩月つみき 他 |
おすすめ度 | 80 |
シナリオ傾向 |
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あらすじ
“神殺し” により女神の肉体を持った セリカ・シルフィル。
公式サイトより
彼はレウィニア神権国の守護神 “水の巫女” との同盟が得られるまで、その罪によりすべての神々と国家に追われ、多くの刺客を滅ぼしてきた。
先の大戦と呼ばれた、レウィニア存亡の危機であるドゥネール会戦によって邪竜アラケールを倒したセリカであったが、神格の力のほとんどを失い、自己の魂が失われる女性体へと近づきつつあった。
そんな中、傷が癒える間もなく水の巫女より、レルン地方へ赴き18年前に行方不明となったレウィニア王女の調査を行うよう依頼される。
先発したレウィニア騎士団を追ってレルンへ向かったが、そこは辺境に似つかわしくない巨大迷宮の眠る領域だった。
購入ガイド
タイトル | 対応OS | 発売日 | 入手難度 |
---|---|---|---|
戦女神 | 95 98 | 1999.1.29 | 難 |
天秤のLa DEA。 ~戦女神MEMORIA~ | XP Vista 7 8 | 2014.4.25 | 易 |
『天秤』のパッケージ版は今のところ1種類のみ。メチャメチャ売れたというわけではありませんが、中古ショップでもちょくちょく見かけますし、値段もかなり安くなっている入手は問題ないかと。通販サイトによってはまだ新品が残っているところもありますね。
予約特典や公式ガイドブックにはダンジョンやイベントを追加するアドペンドデータ(『“野牛の蹄”亭秘密部屋DISC』『戦女神MEMORIAアペンドディスク』)が付属します。
ダウンロード版は値段もそこそこ(安くもないが高くもない)ですが、たま~にエウシュリー作品の割引セールやまとめ買いセールを行っているのでシリーズを一気買いするならセール狙いで。
ちなみにダウンロード版はアドペンドデータをインストールことはできません。
リメイク元となった初代『戦女神』はさすがに古すぎて通常のショップでは入手困難です。プレミア化してるわけではないものの、実店舗で見かけることはほとんどありません。仮に手に入れたとしても今のOSで動くかどうか…。
ただレトロゲーと呼ばれるほど古くも無いので、通常のショップにもレトロゲーショップにも売ってない微妙なソフトだと思います。ちなみに戦女神初回版には特典としてジグソーパズルが付いているそうです。
システム

システムは主にイベントを進めるADVパートとダンジョン探索を進めるRPGパートに分かれます。画面サイズは1280×720。プログラムは非常に軽いので低スペックのPCでも普通に動くと思います。
操作はゲームパッドに対応していますが、マウスでも問題なくプレイできます。キーボード操作もできますが、通常の移動はともかくダンジョン内の仕掛けをクリアしていく際には細かい動きが必要となるのでやりにくいかも。
ノートPCのタッチパッドやタブレットのタッチパネルでも一応動かすことはできると思いますが、かなりストレスがたまると思うのでマウスかゲームパッドの使用を推奨。
ゲームの舞台となるのは”ミルフェの街”のみ。街にはいわゆるフィールドマップ的なものはなく、施設やキャラのアイコンをクリックするだけで装備を整えたりキャラクターとのイベントをこなしたりして物語を進めていきます。
イベントが発生するキャラにはアイコンに「!」マークが表示されるので、(条件さえ整っていれば)イベントを取りこぼすことはないと思いますが、一度街を出たり戦闘を行う必要がある場合もあるので、こまめに街を出入りしてチェックしたほうが良いと思います。。
ADVパートは通常の美少女ゲームとほぼ同じ。ただテキストログはイベントごとにクリアされる上に、一度発生させたイベントはあとからもう一度発生させることが基本的に出来ないので注意してください。うっかり読み飛ばすと「次何するんだっけ?」と途方に暮れてしまうことがあるかも。
2週目以降はスキップを多用するため、特に注意です。いっそ攻略サイトを見ながら進めたほうが良いかも。
ミルフェの街から「郊外に出る」を選択するとダンジョンに行くことができます。
ダンジョンの種類はいくつかありますが、メインとなるのは「カドラ廃坑」。これが実に広大で、深い階層になればなるほど複雑になります。マップは常に表示されるのですがそれでも迷うことがあるくらい。攻略に時間がかかりますがやりごたえはありますね。
敵との戦闘はいわゆるランダムエンカウント方式。戦闘中の操作がやや特殊かもしれませんが、RPGに慣れてる方なら問題ないかと。戦闘シーンの操作はマウスが一番楽ですね。
戦闘はフルオートで進めることもできますが、あんまり賢くはないので雑魚キャラ専用。ボスキャラにオートで挑むと高確率で全滅します。
エンカウント率はやや高め。そうメチャクチャ高いというわけでもないのですが、ほんのちょっと動かしただけでもエンカウントすることがあるので、ダンジョン内の仕掛けを攻略してる最中はうざったく思うことも多々ありますね。パズル的な仕掛けを解く場所ではさすがにエンカウントが停止することも多いですが。
戦闘で全滅するとゲームオーバーとなりセーブ地点からのやり直しになります。ボスとの会話イベントに入る前は必ずセーブしておきましょう。唐突に回復ポイントが現れたらボス戦が近いことを示しています。ただ変なところでセーブしてしまうとレベル上げはもちろん編成を変更することすらできず、詰んでしまうことになる可能性もあるので注意してください。
シナリオ

シナリオライターは高杉九郎さん、矢田影見さん、箱十さんの3氏。
物語は女神の肉体を持ち「神殺し」の異名を持つ主人公セリカ(♂)が使用人のシュリと共に、レウィニア神権国を統治する”水の巫女”から「行方不明の王女を探す」という依頼を受け港町ミルフェを訪れるところから始まります。
作品の舞台は”ディル=リフィーナ”呼ばれるいわゆる剣の魔法の世界ですが、人間やエルフだけでなく、神や天使も実在する世界観です。これはエウシュリーのほかの作品(戦姫シリーズ以外も)と共通で、地名や神の名前は他作品でも登場します。
本編ではサブイベントも豊富でヒロインや街の住人の依頼にこたえたり街の危機を救ったりしつつ、レヴィア率いるレウィニア騎士団と共にダンジョンの探索を進めて行くことにより王女失踪の謎が少しずつ明らかになっていく、という流れ。
ストーリーは章別構成で基本的にセリカ視点で進みますが、ちょくちょく(敵キャラも含めた)他のキャラの視点でも描かれるので、多少群像劇的な作りにもなっています。
シナリオ的には良くも悪くも王道的で、変に奇をてらったものではありません。
大まかな構成はリメイク元となった初代『戦女神』とほぼ同じ(らしい)ですが、続編(時系列的には過去の出来事)である『ZERO』や『VERITA』を踏まえて設定やエピソードが追加されています。
グラフィック

原画は鳩月つみきさんをメインに、やくりさん、みつきさん、うろさん、よしだたくまさん、という複数体制。鳩月つみきさんは過去のシリーズから担当しています。
旧作ではやや尖った独特のキャラデザインでしたが、本作ではかなり垢抜けていて今風のデザインになっていますね。良い意味で万人受けしそう。
一部のキャラは頭頂部にネコミミ状の空洞がある髪型ですが、これは2000年代くらいに流行ったデザインです。いわゆる(エア)インテークという奴ですね。特に主人公のセリカは初代戦女神のときからこの髪型で時代を感じます。
キャラクター

セリカ・シルフィル
あるいきさつにより女神の力と肉体をもつ主人公。ただ今はその力を失って人並みの力しか出せない。
女神の体を得た経緯は『戦女神ZERO』で語られていて、不老の存在なのでそれから数百年たっています。
普段は男性の体ですが魔力を失うと女神化が進行してしまうため、定期的に性魔術(要するにH)を行って魔力の補給をしなければならない。なんて羨ましい…。
シュリ・レイツェン
セリカの使用人の一人で今回の旅に同行する。セリカとは使徒として契約しているので性魔術の効率が非常に良い。
使徒となった経緯は前作『戦女神VERITA』で語られます。
日々の雑用からアイテムの合成、戦闘から夜伽まで何でもこなす何気に凄い人。
戦闘では貴重な回復魔術使い。実際のところダンジョン探索はシュリのMPがいつまで持つかにかかっています。
レヴィア・ローグライア
レウィニア神権国から派遣された騎士団の団長。『VERITA』から登場していてセリカとは少女のころからの知り合い。
騎士道精神に実直で直属の部下からの信頼は厚いが、最年少で軍団長になったため一部の騎士からは反発や妬みも多い。
戦闘ではアンデッドに有効な神聖魔術を使えるので有用ですが、中盤まではちょくちょくパーティを外れるのでイマイチ活躍の機会が少ない。
カウラ・グレイジー
ミルフェの街で出会う衛兵団の隊長。さばさばとした性格で大酒飲みの体育会系。
褐色肌の腹筋が美しいですが、乳首浮いてますよカウラさん(笑
戦闘では大剣を振り回すパワー極振りのアタッカー。速度や攻撃回数の低さがネックですが、(すばやさのたね的な)アイテムでドーピングすれば超使えるキャラになります
ロカ・ルースコート
戦いの神・マーズテリアを信奉する神官戦士。立場上、”神殺し”のセリカとは対立関係にあるが、迷宮探索に同行することに。
過去作をプレイしているとこのキャラの印象が変わります。
戦闘では敵を直線状に貫く槍使い。神聖魔術や補助魔法も使えるユーティリティキャラ。
この他にも仲間になるキャラは大勢いて、最終的にパーティーメンバーは(セリカを含めて)最大で15人になります。人間だけでなくエルフや魔族、天使も仲間になります。多くは女性で男性キャラで仲間になるのはレヴィアの副官であるレフィンをはじめ2人だけ。
戦闘に参加させられるのはこのうち5人。戦闘に参加していないキャラも戦闘終了時に多少経験値を貰えます。
パーティーメンバー以外にも宿屋の店主リンシャや奴隷少女のサリアなど、多くのキャラがセリカの旅に関わってきます。名前付きのキャラは立ち絵が用意されているので臨場感も増しますね。
ボイス
かわしまりの | ダイナマイト亜美 | 萌花ちょこ | 青山ゆかり | 遙そら |
手塚りょうこ | 湖月紅れ葉 | 桃也みなみ | 百瀬ぽこ | 金森ひよこ |
桐谷華 | 松嶋アカネ | 木村あやか | 白月かなめ | 真琴ひろ |
歩河みぃな | 姫川あいり | 波奈束風景 | 鈴野ねね | 北見六花 |
葉村夏緒 | ||||
若宮修一 | ほうでん亭ブリスケ | 縦縞虎太郎 | Prof.紫龍 |
ADVパートは主人公以外フルボイス。RPGパートでは声は付きませんが、戦闘シーンの掛け声などは(主人公セリカを含め)全キャラに声が付きます。ちなみにセリカの声の担当はしまりのさん。
一部は兼ね役の方もいますが、きちんと演じ分けられています。
メインどころのキャラには実力派の声優さんをそろえた感じですね。パーティーメンバーにはならないものの登場回数の多い宿屋の店主リンシャ役に桐谷華さんをあてる名配役に拍手。
ダイナマイト亜美さんは00年代に活躍された方。最近はめっきり出演されなくなりましたが、お元気そうでなによりです。
ハイシェラ役は大人の事情により松嶋アカネさんに変更になってますが、そんなに違和感はないですね。
何気に男性声優もかなり豪華。キルナン卿役のほうでん亭ブリスケさんはロードバイクとか乗ってそうですが、声が特徴的なのでアニメファンの方にはすぐわかるかと。この方はキザなキャラがホント良く似合います。
ローレン卿役の縦縞虎太郎さんも妙に上手いなと思ったらアニメでもおっさん役で良く聞く名バイプレイヤー。某ライダーに出てきた金太郎でも有名ですね。この方エロゲOKなんだ…。
声と演技が特徴的すぎるルードン役のProf.紫龍さんも大ベテラン。上手すぎて逆に浮いちゃうくらい。さすがジャック・イン・ダイヤ。
BGM
BGM作曲はEmotional Union。BGM鑑賞モードで聴けるのはボーカル曲を除くと33曲。
作品のボリュームと比べると曲数がちょっと少なめな気も。戦闘曲やダンジョンの曲などは何度もリピートすることになるので耳に残ります。
お気に入りはダンジョンの基本テーマとも言える「吹き荒れる戦風 宿命の旅arr.ver」。多分戦闘曲以外では一番良く耳にする曲だと思いますが不思議と飽きません。正に勇ましく探検してる気分になりますね。
ボス戦の曲の1つ「己の昂ぶりを身に宿し」も印象に残る熱い曲。ストリングスとギターのメロディーがカッコイイ。
主題歌
タイトル | 作詞 | 作・編曲 | 歌 | 備考 |
---|---|---|---|---|
「La eterno」 | 松長暁生 | Emotional Union | AiRI | OP |
「Equilibrio Alba」 | 松長暁生 | Emotional Union | AiRI | ED |
主題歌を歌うのはAiRIさん。
OPテーマ「La eterno」は作品世界の壮大さを感じさせるRPGらしい曲。なんとなくOPムービーに合わせることを前提としたようなメリハリのある曲調ですね。BGM鑑賞モードではFullバージョンを聴くことができます。
EDテーマ「Equilibrio Alba」はエンディング曲にしてはテンポの速い熱い曲。クレジットでは「副主題歌」と表記されていて、曲だけ聴くとOPテーマにしても良いような曲調ですが、EDムービーと合わせて聴くと意外と合いますね。
ムービー
序章の後にOPムービーが流れ、一度見たムービーはBGM観賞モードからいつでも見ることが出来ます。
内容は一部にアニメーションの使われる凝った作りですが、本当に一部分だけ(全部合わせても二十秒程度)なので、基本は静止画を動かしたり加工したりしたものとなります。
それでも主に戦闘シーンのイベント絵が使われていますし、敵キャラのCGも大勢出てくるので、主題歌の曲調に合わせた壮大で熱い作りになっています。
攻略

ダンジョンマップの攻略難易度はやや高め。日本のRPGによくあるパズルめいた仕掛けやトラップが数多くあるため、ちょくちょく詰まってしまうことがあるかと思います。
たいていの仕掛けはいろいろ試行錯誤していけば解けるようになっていると思いますが、中にはちょっとわかりにくいというかそもそも何をすればいいのかわからないような仕掛けもあるので、そういう場合は素直に攻略サイトを参考にしましょう。
特に一部のキャラクターを仲間にする条件などは普通にプレイしていたら絶対に気付かないようなものもあります。これに比べたらFF6の「シャドウが気になる」なんて超簡単な部類です(笑
最初にプレイするときに敵キャラの難易度を高めることができたり、エンカウントをOFFにすることもできますが、本編中に変更することはできないので初回はデフォルト設定でプレイしましょう。
ちなみにデフォルト設定でも敵はそこそこ強いです。即死攻撃やそれに近い大ダメージ攻撃を使ってくる雑魚キャラも結構いますし、属性によってはこちらの攻撃がほとんど通らないこともあるので(不死や霊体属性は特に)、相手によって装備や戦術を変える必要があります。
逆に言うと「こんなん絶対勝てねーよ」というボスキャラでも、相手の属性や攻撃手段を見極めて適切な対応を取ればちゃんと勝てるということも多々あるので、いろいろ工夫してみてください。
お約束としてエンディングに到達するとレベルやアイテム等のプレイデータを保存して2週目以降に引き継ぐことができます。
加えて2週目以降はエクストラダンジョンに挑戦することもできますが、かなり敵のレベルが高く、1週目のラスボスをギリギリ倒した程度のレベルだと雑魚キャラにも瞬殺されるほどの難易度です。
プレイ時間は人によって大きく異なると思いますが、初回プレイは概ね30~50時間くらい。かなりのボリュームがありますが2週目以降はエンカウントOFFを選べば時間を節約して進めることができます。(エンカウントOFFでも索敵ボタンを使えば経験値稼ぎは可能)
エンディングは全部で4つ。1つが「使徒エンド」と呼ばれるもので、これはまぁ通常のエンディングと思ってください。
それ以外に個別エンドが3つ。分岐させる条件が厳しく、普通にプレイしているだけではなかなかたどり着けないと思います。ただ分岐させても本筋のストーリーは大きく変わることがなく、ほぼエピローグが変化するだけというのがほとんどなので、コンプリート目的でなければぶっちゃけ無理に見なくても良いかもしれません。
個別エンドが用意されているのはロカ、カチュア、アビルースの3人。正直、何でこの3人?と思ってしまいますね。ロカはまだともかくカチュアはサブキャラですし、アビルースに至っては男です。(ある意味ヒロイン的ではあるんですが、別にアビルースと恋人になるわけではありません)
分岐の条件はイベントをこなすことによって増減するミルフェの街の商会勢力が関わってきます。アビルースENDは商工会勢力を、カチュアENDは麝香商会を強くし、ロカENDへはどちらにも肩入れしないことが必要条件となっていて、なおかつ特定のイベントをこなした上で陵辱イベントを回避する必要があります。
自力で条件を満たすのはかなり難しいと思うので、素直に攻略サイトを頼りましょう。
参考攻略サイト:■天秤のLa DEA。~戦女神MEMORIA~ wiki
Hシーン

パーティーメンバーだけでなく立ち絵のある女性キャラのほとんどにHシーンがあります。一部には主人公以外による凌辱シーンもありますが、展開次第で回避可能です。
セリカが打ち勝った敵に対して行う性魔術は凌辱に当たるかどうか微妙なところですが、セリカは魔力で快楽を与えられるので、最終的にはどのキャラもほだされてしまいます。
シーンの尺はやや短め。凌辱シーン以外はソフトな純愛Hで、変な性癖の行為はありません。一部のキャラにお尻でやるくらい。挿入時以外はアナルモザイクはありません。
主人公のセリカは魔力を消費すると体が女神化して胸も膨らんでくるという設定ですが、Hシーンでは完全に男の体として描かれていて、いわゆるふたなり的なシチュエーションはありません。
全体的にCGも丁寧に描かれていますが、乳首の造形がどのキャラもややデフォルメされている感じのデザインなので個人的にはちょっと好みに合いませんでした。
またとあるキャラは陵辱された後に妊娠が判明し、堕胎を決断するというシーンがあります。処置自体はセリカが魔術で行うのでグロテスクなものではないのですが、なんとなくエロゲーでもこういう展開はタブーのような気がしていたので、わざわざ描写されるのは意外でした。キリスト教圏では絶対販売できないですね。
感想

RPG専門メーカーが処女作を15年ぶりにリメイクした作品とあってシステム・グラフィックと共に大幅な進化を感じさせる作品でした。(初代『戦女神』はやってないけど…)
今のFFシリーズやテイルズシリーズのような3DCGをバリバリ使ったコンシューマ向けのRPGと比べると、2Dドット絵で描かれた本作はやや古臭さを感るかもしれませんが、むしろこれがいいんですよね、スーファミ世代のおっさんには。
同人ゲーム界隈だとRPGエロゲーというのは割とメジャーなジャンルなのですが、商業ゲームとなるとRPGって非常に少ないんですよね。作ってるのは最近だ とエウシュリーとアリスソフトくらいでしょうか。普通のADVと比べると手間とお金がかかるでしょうから仕方ないっちゃ仕方ないんでしょうけど。さすがに 同人作品のようにRPGツクールで制作するわけにもいかないでしょうし。
システムだけでなくストーリーも良く練られてます。序盤で提示されるのは「18年前に行方不明となった王女の捜索」という単純なものですが、シナリオを進めていくうちに複数の勢力が絡み合う複雑な様相を呈していくように。
ただ終始ミルフェの街という地方の街のみで物語が進行し、ゲーム内の期間も数週間と短いため、『ZERO』や『VERITA』と比べるとやや壮大さに欠けてしまうのは否めないところ。元はブランド処女作なので仕方がないと言えば仕方がないのですが。
とはいえ作品全体としては「さすがエウシュリー」と言いたくなるほどゲームとして高い完成度を誇るので、アリスソフトのランスシリーズと共に、エロゲー業界を代表するRPGシリーズとして(『ZERO』や『VERITA』を含めて)ぜひプレイしておきたい作品です。
そしてエウシュリーさん戦女神2のリメイク早よ!