先日、ABEMAで『サマータイムレンダ』が無料配信されてたんで見てみたんですよ。
やたら面白いと評判だったので結構ハードル上げてたんですが、これがもう評判通りメチャメチャ面白い!
原作は少年ジャンプ+で連載されていた田中靖規さんの漫画。最近はこういうWEB掲載の漫画がアニメ化されることも珍しくなくなりましたね。
物語は和歌山県の離島を舞台にして、メインヒロインの少女・小舟潮がとある事故で亡くなった直後から始まる、割とエキセントリックな導入です。
潮の幼馴染で主人公の少年・網代慎平が葬儀のために島に戻ってきたところ、友人から潮の死には不審な点があることを聞かされる、というサスペンスチックなストーリー。
ネタバレの無いようにどこまで説明するか難しいところですが、SFやファンタジーの要素も多分に含んでいる作品になります。
監督は『宇宙兄弟』や『恋は雨上がりのように』を制作したベテラン監督の渡辺歩さん。
制作スタジオはOLM。ここは主にポケモンや妖怪ウォッチ等のキッズアニメを作っているスタジオで、数ある制作チームの中で深夜アニメを主に制作するTEAM KOJIMAが担当しています。
唯一の難点といえば、本放送時の配信がディズニープラス独占だったことでしょうか。
独占配信の場合、一度見逃してしまうと後から追いかけるのが難しくなるため、同時期に放送された『SPY×FAMILY』や『リコリス・リコイル』あたりと比べるとイマイチ話題になることが少なかったのが残念です。(現在は各種配信サイトで見ることができます)
ただそのぶん資金が豊富にあったためか、クオリティは非常に高くなっています。
作画も非常に丁寧で見ごたえがありますし、何より先の読めない展開の連続で興奮しっぱなし。
毎話先が気になる「いいところ」で回が終わるので、配信等で間を置かずに一気見することをお勧めします。

| 原作 | 田中靖規 (ジャンプ・コミックス) |
| 監督 | 渡辺歩 |
| シリーズ構成 | 瀬古浩司 |
| キャラクターデザイン | 松元美季 |
| 制作 | OLM TEAM KOJIMA |
| 放映日時 | 2022.4~ |
| おすすめ度 | 90 |
| シナリオ傾向 |
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あらすじ
「潮が死んだ――。」
幼馴染・小舟潮の訃報を聞いた網代慎平は、
2年ぶりに故郷である和歌山市・日都ヶ島に帰ってきた。
家族や友人との再会。滞りなく行われていく葬儀。
しかし、親友・菱形窓は「潮の死には不審な点があり、他殺の可能性がある」と慎平に告げる。
翌日、近隣の一家が突如として全員消えてしまう事件が発生。
時を同じくして、慎平はある不吉な噂を耳にする。
「自分にそっくりな”影”を見たものは死ぬ。
影に殺される――!」
さらに、潮の妹・澪が「お姉ちゃんが亡くなる3日前に影を見た」と言い出して……!?アニメ公式サイトより
シナリオ

シリーズ構成は瀬古浩司さん。過去に『終わりのセラフ』や『呪術廻戦』、『ヴィンランド・サガ』等の漫画原作アニメのシリーズ構成を手掛けてきた脚本家さんです。『チェンソーマン』も担当していたことは言わないほうがいいでしょうか…。
公開されているあらすじでは物語の重要な要素をあえて省いている感じなので、これから見るという方はあまり詳しく調べずに見ることをお勧めします。とはいえネタバレされてもそんなに楽しさが阻害されるというわけでもないと思いますけど。
私は事前情報なしで見始めたので、最初は田舎を舞台にしたノスタルジックな恋愛物語かな~と勝手に想像してたんですが、1話から度肝を抜く展開で驚きました。
謎の多いサスペンスチックな雰囲気ですが、バトルシーンの多い熱い物語でもあります。
終始シリアスというわけでもなく、ジャンプ漫画らしく所々笑えるシーンがあるのも良いですね。ただ変にギャグっぽくなることもないく、真面目な話の中で息抜きをするようにクスっと笑える程度なので、適度に肩の力が抜けてメリハリが生まれます。
物語の舞台となった日都ヶ島は架空の島ですが、和歌山県に実在する無人島・友ヶ島がモデルになっています。島の町並みは本土の和歌山市がモデルになっていて、地元の自治体も全面バックアップしているので聖地巡礼が捗りそう。
■サマータイムレンダ × 和歌山県(和歌山県公式観光サイト)
■サマレン×和歌山市 情報BOX(和歌山市)
グラフィック

キャラクターデザインは松元美季さん。
原作の漫画は、まぁ正直そんなに綺麗ではない絵柄ですが、アニメ化にあたっては原作の雰囲気を残しつつ、非常に美しくてかわいいデザインになっています。これは多分原作ファンも納得の出来かと。
タイトルからもわかるように舞台となる季節は夏なのでみんな薄着なのですが、あまり露骨なエロティックさはない爽やかな画風です。サービスシーンとしてはシャワーシーンとパンチラシーンがちょっとあるくらい。
メインヒロインの潮はなぜかスクール水着で登場することが多いものの、意外とエロくはないんですよね。
アニメとしては作画がすごく良いので安心して観ていられます。
特に後半の戦闘シーンは、キャラはもちろん背景も含めてグリグリ動くので、まるで劇場版のようなクオリティ。素人目にも相当手間とお金がかかってることが想像できます。これがディズニーの資金力か…。
キャラクター

網代 慎平
本作主人公で、中学卒業後に上京し調理師専門学校に通う17歳。
潮の葬儀のために故郷である和歌山県日都ヶ島に戻ってくるところから物語は始まります。
物事を俯瞰して客観的に見ることができる賢い子。
小舟 潮
メインヒロインだが物語開始時点で海の事故により死去。享年17歳。
物おじしない活発な性格で、慎平とは子供のころから一緒に暮らしてきた家族兼幼馴染。
フランス人である父親譲りの長い金髪が特徴的。
小舟 澪
潮の妹で高校1年生。日焼けした褐色の肌がかわいい水泳部員。
日本人である母譲りの短い黒髪で、姉と違ってスタイルが良くなく、毛深いことが悩み。
南方 ひづる
中学卒業以来14年ぶりに島に戻ってきた女性。Gカップの巨乳。
沈着冷静で頼りになるお姉さん。
菱形 窓
慎平の親友で高校3年生。父親は島唯一の病院を経営する菱形青銅。
潮が死亡した時その場にいた人物の一人で、助けられなかったことをひどく悔やんでいる。
菱形 朱鷺子
窓の妹で澪の親友。運動は苦手だが頭脳明晰。
澪に対しては親友以上の感情を持つ。
この他に島の猟師である根津銀次郎、島出身の警察官・凸村哲、神社の宮司・雁切真砂人などが主な登場人物。
コテコテの萌えキャラとかはいない、割と真面目な作風です。ただキャラは被っていないので顔と名前は憶えやすいですね。
澪や窓は高校生ですが、他のクラスメイトはほとんど出てきません。
あと澪かわいいです。
日焼け少女っていいですね。
ボイス
| 花江夏樹 | 永瀬アンナ | 白砂沙帆 | 小野賢章 | 河瀬茉希 |
| 日笠陽子 | 釘宮理恵 | 浦山迅 | 上田燿司 | 小西克幸 |
| 大塚明夫 | 久野美咲 | 玄田哲章 |
主人公の慎平役は鬼滅の刃等でおなじみの花江夏樹さん。当然実力は十分なので安心して聞いていられますね。特に「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」と絶叫するシーンは凄く引き込まれます。
潮役の永瀬アンナさんはとても新人とは思えない演技力です。これは今後の活躍にも期待。
この作品はある意味「一人二役」的な感じになることが多いんですが、それぞれ微妙に演じ分けられています。特に澪役の白砂沙帆さんはその辺上手かったですね。声を聴いただけで「今のはあっちのキャラだな」とわかるようになってます。声優さん凄い。
和歌山が舞台とあって、登場人物のほとんどが和歌山弁(紀州弁)をしゃべります。方言指導もちゃんと入っているらしく、違和感も全くありません。
ただ方言と言ってもそんなにコテコテなものではなく、語尾やイントネーションが変わる程度なので、台詞の理解度的にはほとんど問題はないかと。
否定を意味する「~ない」が「~やん」になるのが最初ちょっとわかりにくいかもしれませんが、すぐ慣れると思います。例えば「できない」は「できやん」、「行けない」は「行けやん」といった感じ。
またこの作品ではとあるキャラのCVが非公開になっていて、声もボイスチェンジャーを通したように加工されたものになってるんですが、ぶっちゃけ慣れた人に はそれでもバレてしまうかも。というかボイスチェンジャー越しでも判別できる演技って逆に凄いですね。わざとわかるようにしてるのかもしれないけど。
BGM
劇中BGMの作曲は岡部啓一さん、高田龍一さん、帆足圭吾さんの3人。
サントラに収録されてる曲は59曲。
全体的な印象としては、ゲーム音楽的な雰囲気の曲が多い気がします。それこそエロゲーやギャルゲーのBGMみたいな感じ。
特に戦闘シーンで流れる「破波」「溺迫」「惑戦」「遁走」「修羅火」「墨斗兵」あたりは聴いててテンションが上がります。
そして終盤で流れる「疾波闘」「翻命」なんかはコーラス付きで、正にRPGのラスボス戦という感じ。
主題歌
| タイトル | 作詞 | 作曲 | 編曲 | 歌 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| 「星が泳ぐ」 | はっとり | はっとり | マカロニえんぴつ | マカロニえんぴつ | OP |
| 「回夏」 | koshi | eba | eba | cadode | ED |
| 「夏夢ノイジー」 | 志倉千代丸 | 志倉千代丸 | 悠木真一 | 亜咲花 | OP |
| 「失恋ソング沢山聴いて 泣いてばかりの私はもう。」 | りりあ。 | りりあ。 | りりあ。 | りりあ。 | ED |
第1クールのOP曲はロックバンド・マカロニえんぴつが歌うオサレな曲です。
この曲だけ聞くと良い意味であんまりアニメっぽくないですし、なんだか青春映画の主題歌のように感じます。
ED曲を歌うcadodeも含めて、あえてアニソンシンガーを起用せず一般向けを狙ったのかもしれません。最近のジャンプアニメってこういうの多いですね。
逆に第2クールのOPはガチガチの燃えアニソン。後半は熱い戦闘シーンが多いのでストーリー的にもピッタリですね。
歌っているのは『ゆるキャン△』等でおなじみの亜咲花さん。
なんだか聞き覚えのある曲調だな~と思ったら作曲が志倉千代丸さんなんですね。納得。
ED曲の「失恋ソング~」のほうはガチガチの恋愛ソング。アニメ本編で熱くなった心を落ち着かせるような曲です。タイトルがまんま。
ムービー
1クール目のOPはネタバレに配慮したためか非常に抽象的。
なんとかネタバレせずに作品の良さを伝えようという、スタッフの苦労が垣間見えるムービーです。
対して2クール目のOPはバリバリの燃えアニメのようなムービーで非常にカッコいい仕上がり。
思いっきり前半のネタバレを含むので本編観てない人はムービーも見ちゃダメ。
感想

可愛らしいキャラデザに丁寧できれいな作画、全く予想できないストーリー展開など、非常に完成度の高い作品でした。
2クール25話という長さもちょうどいい感じですね。2クールアニメにありがちな息抜き回や間延びするエピソードも無く、1話も見逃せない濃密な物語となっています。
”敵”との戦いでは物理的な戦闘シーンもさることながら、そこに至るまでの知恵比べも見どころの一つ。
主人公の慎平は非常に賢い子なので、ある種頭脳戦の様相を呈することもあります。
例えば、「慎平はあることに気付いている」が、敵は「慎平が気付いていること」に気付いている、さらに慎平はその「敵が気づいていること」に気付いている――という前提で作戦を立てたりします。これぞ「まるで将棋だな」という感じ。
ただ万全の態勢で作戦を立てても、敵がそれを上回ってくることも多く、その時の絶望感は半端ないですね。
そんな強大な敵だからこそ、それを打ち破ったときのカタルシスも大きいんですが。
最後まで見たときは、慎平たちに対して「本当によかった。よく頑張った」と心から言いたくなりました。
またこの作品は序盤から非常に多くの伏線がちりばめられていて、キャラクターの何気ないセリフや描写に意味があったりします。本編中に説明されるものもあれば、普通に見ただけでは気付かないものもあるので、視聴後に解説サイトや考察動画を巡るのも楽しいですね。
以下、ちょっとだけ世界観のネタバレを含むので、事前情報なしでこのアニメ観たい方は読み飛ばしてください。
この作品はいわゆる「ループもの」と呼ばれる物語になります。
ループもののアニメというとゲーム原作の『シュタインズゲート』や『ひぐらしのなく頃に』に加えて、ラノベ原作の『Re:ゼロから始める異世界生活』等の名作・人気作が目白押し。
こういったループものの作品はともすると「失敗してもどうせやり直せるからいいじゃん」みたいな感じで人の命が軽くなってしまうこともありがちなんですが、 この作品では主人公のループ能力に制限を付けることと、敵にもループ能力に気付かせることによって「下手をすると自分や仲間の死が確定してしまう」という ケースが想定され、物語に緊張感が生まれています。この設定は上手いですね。
ループ能力の限界を「迫りくる崖」で表現しているのも視覚的にわかりやすい。
この辺りのSF設定は少し込み入ってるんですが、作中でしっかり説明されるので戸惑うことなく物語に集中することができます。
敵の正体に関しても、秘密が少しずつ明らかになっていくので予想や考察が楽しいアニメです。
私自身は事前情報をほとんど調べずにまっさらな状態でこのアニメを見たため、非常に新鮮な驚きの連続で、時間を忘れて一気に見ることができました。
こういう系統の作品はエロゲでもよくあるので、エロゲプレイヤー的にも親和性の高い物語かと思います。
エロゲー等でおなじみのシナリオ構造に加え、先の読めないストーリーにジャンプ漫画らしいバトルシーンなど、個人的にも好きな要素満載なので非常に濃密で満足度の高い作品でした。


