美少女ゲーム傑作選

【戯画】名作エロゲー10選

先日、90年代から活動している老舗エロゲ―ブランド・戯画が突然エロゲーの開発・販売を終了することを発表し、業界に激震が走りました。

戯画は自社作品の開発だけでなく、パートナーブランド制度による新規ブランドの支援も行っていて、文字通り業界を下支えしていた存在だっただけに各方面から残念がる声が噴出しています。
倒産や廃業するわけではなく、会社(株式会社エンターグラム)としては存続するらしいのですが、エロゲーに関しては完全に撤退するみたいです。開発やサポートだけでなく、ダウンロード販売まですべて終了してしまう模様。

個人的にも戯画の作品は思い出深いものが多いので寂しい限りです。これも時代の流れなんですかねぇ…。

そんなわけで今回は、数ある戯画作品の中でも抑えておきたい名作を10作品紹介したいと思います。
00年代の作品のCGは今から見るとちょっと時代を感じますが、シナリオのほうは今でも色褪せない素晴らしい作品ばかり。
最近エロゲ―始めた人も是非プレイしてみてください。

BALDR FORCE(2002年)

ジャンルアクションアドベンチャー
シナリオ卑影ムラサキ
原画菊池政治
発売日2002.11.1

最初に紹介するのは、戯画の戦闘集団”TEAM BALDRHEAD”による「バルドシリーズ」4作目にして出世作『バルドフォース』。
エロゲーではかなり珍しいアクションゲームで、多数の武器を組み合わせて”コンボ”をつなげていくのがメッチャ爽快なやり込みゲーです。
この作品に限らず、バルドシリーズをプレイするときはゲームパッドを使いましょう。キーボードでもできなくはないけど。

物語は仮想電脳空間が実用化された近未来が舞台。主人公のハッカー・相馬透がロボット型の戦闘ツール”シュミクラム”を使用してハッキングを行っていたところ、テロリストと軍の戦闘に巻き込まれるところから始まるサイバーパンクアクション。
攻殻機動隊のロボット版といった感じでしょうか。
この設定が大ハマりしたため、以降のバルドシリーズはすべて電脳空間を舞台にしたものになりました。そういう意味ではシリーズの基盤になった作品といえます。バルドシリーズを通しでプレイしたい場合はまずこの作品からプレイしましょう。

ショコラ ~maid cafe “curio”~(2003年)

ジャンル恋愛アドベンチャー
シナリオ丸戸史明
原画ねこにゃん
発売日2003.4.4

当時流行ってた”メイド喫茶”を舞台にした物語。
ちょっとファンタジックな設定があったり、ややめんどくさいゲーム要素があったりと、良くも悪くも当時の戯画らしさが出ている作品でもあります。

シナリオライターは当時はまだデビュー直後である丸戸史明さん。
なんでも初めは別のライターさんが書いてたらしいんですが途中でバックレてしまったため、急遽丸戸さんが担当することになったそうです。

DUEL SAVIOR(2004年)

ジャンル恋愛シミュレーション
シナリオ砂月
原画菊池政治
発売日2004.10.1

”TEAM BALDR HEAD”が世界観をガラリと変えて放つ、サイドビューファンタジーアクション。
現代の学校に通う主人公・当真大河と義理の妹・未亜が下校途中に剣と魔法の世界「アヴァター」に召喚され、救世主候補として学園生活を始めることになる、という今で言うなろう系のような異世界ファンタジー。

シナリオライターは砂月さんという当時無名の方だったんですが、サブライターに『ショコラ』の丸戸史明さん、『バルドフォース』の 卑影ムラサキさん、『久遠の絆』の小林且典さんというそうそうたる面々が全面バックアップしてシナリオを完成させた名作です。

パルフェ ~ショコラ second brew~(2005年)

ジャンルメイド喫茶アドベンチャー
シナリオ丸戸史明
原画ねこにゃん
発売日2005.3.25

『ショコラ』の世界観を引き継いだ続編。『second brew』というのは文字通り”二番煎じ”ですね。
続編といっても主人公を含めたメインキャラは全員新規キャラなのでこの作品から始めても問題ありません。
前作の舞台だったメイドカフェ”キュリオ”をパクって主人公が再建させたアンティーク喫茶”ファミーユ”が今回の舞台。
向かいにあるライバル店・キュリオ3号店としのぎを削りながら奮闘していくファミーユのメンバーを描いていきます。

シナリオライターは前作に引き続き丸戸史明さん。今作は丸戸さんらしくファンタジー設定のない現実的な物語です。
シナリオ全体で家族をテーマにしていて、何気に前作よりも高評価の作品となりました。
なにより歴代最高のツンデレヒロイン、”カトレア”こと花鳥玲愛を生み出した功績は偉大。
2021年にCGをリファインしたリメイク版が発売されているので、今から買うならこちらで。

この青空に約束を―(2006年)

ジャンル恋愛アドベンチャー
シナリオ丸戸史明
原画ねこにゃん
発売日2006.3.31

『ショコラ』『パルフェ』シリーズを生み出したシナリオライター・丸戸史明&原画家・ねこにゃんコンビで送る正統派学園青春物語。
ちなみに公式略称は「こんにゃく」。(KONoaozoraNi YAKUsokuwo→KONNYAKU)

本土から離れた過疎化の進む島を舞台に、廃寮の決まっている高見塚学園つぐみ寮の寮生たちが送る最後の1年間を描いた学園青春ストーリー。
廃寮を撤回させるのではなく、廃寮までの1年間をどう過ごすかに重きを置いています。
丸戸さんらしく奇跡も魔法もない現実的な物語ですが、こういう王道的な作品って意外と少なかったりするので、爽やかな涙を流したい人にはお勧めの作品です。

BALDR SKY(2009年)

ジャンルサイバーパンクアクションADV
シナリオ卑影ムラサキ
原画菊池政治
発売日2009.3.27

仮想空間で人型ロボット”シュミクラム”に乗って戦う、バルドシリーズ最大のヒット作。
前作『バルドフォース』から数十年後の世界が舞台ですがストーリーの繋がりはありません。
この作品はDive1とDive2の2つに分割販売されていますが、DL版にはセット版も配信されています。DiveXはファンディスク。

本編の物語は記憶喪失となった主人公の傭兵・門倉甲が戦闘を繰り返しながら、自身の記憶と世界の秘密を追っていくサイバーパンクSFストーリー。
物語のキーワードは、都市が壊滅するほど未曽有の大災害となった事件”灰色のクリスマス”。事件が起こる前の平和な学園生活と、事件後の荒廃した世界での出来事を交互に追っていく複雑な物語構成です。

ホチキス(2012年)

ジャンルイチャラブADV
シナリオ原人 木場貴志
原画marui みことあけみ
発売日2012.2.24

何気に戯画の人気シリーズとなった”キス”シリーズ。純粋にヒロインとの甘い恋愛を楽しむ、いわゆるイチャラブゲーです。
2012年にこの『ホチキス』を発売して以来、『キスベル』『キスアト』『ハルキス』『リプキス』『フルキス』『メルキス』『アイキス』等々、舞台やヒロインを変えて毎年のように発売し続けた非常に多作のシリーズになります。

物語は神戸をモデルにした街にある垣楠学園で、学園内にある露店「互助研」で主人公・元山茂が販売の手伝いを始めるところから始まる学園モノ。
ぶっちゃけ良くも悪くもストーリーはあってないようなものなので、パッと見の印象で「この娘とイチャイチャしたい!」と思った作品から始めて良いと思います
髪の色も落ち着いていて、極端なツンデレやロリキャラといった記号化されたキャラの少ない現実的なキャラ設定が好きな人におすすめ。

BALDR HEART(2016年)

ジャンルサイバーパンクアクションADV
シナリオ卑影ムラサキ
原画緋ノ丘シュウジ
発売日2016.8.26

『FORCE』『SKY』に続くサイバーパンクアクションゲーム。バルドシリーズ通算6作目。
今作では前作までのシステムに加えて”兵装少女(FEI)”という概念も組み込まれ、やり込み度がさらに上がっています。

戦闘能力を失った傭兵の主人公・瀧沢蒼が故郷の島に戻ってきたところ、記憶喪失の少女・月詠を偶然助けたところから始まり、謎の人物からテロ事件の調査を依頼され、島唯一の学校『甲華学園』に編入する、という学園色の強い物語。
熱く燃える展開があるのはもちろんのこと、序盤から多くの伏線がちりばめられているので、そういう伏線回収が好きな人にもおすすめです。

アオナツライン(2019年)

ジャンルシネマチック学園恋愛ADV
シナリオ大地こねこ 冬野どんぶく
原画うみこ
発売日2019.3.29

鎌倉や藤沢あたりをモデルにした街を舞台に、主人公の及川達観と幼馴染の向坂海希、男友達の榊千尋、転校生のお嬢様・仲手川結、クラスでハブられた後輩・椎野ことねの5人のグループがひと夏の思い出を作っていく爽やか青春ストーリー。
ヒロインの数は少なめですが、髪の色はみんな黒く性格も現実的、物語中ではLINE(のようなメッセアプリ)で連絡を取り合うという現代的な雰囲気が魅力の作品です。

メチャメチャ泣けるとかキャラに萌え転がるとかそういう作品ではないものの、等身大の青春を描いた実写ドラマのような物語で、プレイ後に「自分もこんな青春を送りたかったなぁ」と軽く鬱になるほど爽やかすぎる作品です。

恋する乙女と守護の楯 Re:boot The “SHIELD-9”(2020年)

ジャンルアドベンチャー
シナリオ長谷川藍
原画瀬之本久史
発売日2020.3.27

特殊な警備会社アイギスに所属するエージェントである主人公・如月修史が、女装してセント・テレジア学院へ潜入しヒロインを護衛するという、いわゆる女装潜入もの。
登場する女の子の中で一番かわいいのが女装した主人公というのも、この手の作品のお約束。

元々はAXLから2006年に発売された作品をリメイクしたものになります。
最初に発売されたのはCGをフルHD化してシナリオを加筆修正した”Re:boot”で、その後各ヒロインにアフターHを追加した”Re:boot Plus”が発売され、現在配信されているのはこちらのバージョンになります。


正直言って戯画の作品は当たり外れが大きくて、外れ作品のほうは”戯画マイン”と揶揄されるほど酷いのもあったりするんですが、そのぶん当たり作品のほうは エロゲ史に残るような名作も多いという、ファンにとっては良くも悪くも付き合い方が難しいブランドでした。打率2割でホームラン40本みたいな。

ただ業界にとっては替えのきかない無二の存在だったのも事実。
今回戯画の発表があった直後から、数多くのファンやクリエイターの方から感謝や残念がる声が頻出しているのも、なんだかんだで愛されていたことの証拠ではないかと。

ただダウンロード販売まですべて終了してしまったのはやはり残念です。
多分すでに購入した分は大丈夫だと思いますが、新規に買えなくなるのは厳しい。まるねこ作品やバルドシリーズはアーカイブのセットが再版されますが、どちらかというとコレクションアイテムなので新規の人は手を出しづらいでしょうし。
一部だけでもいいので継続販売してもらうわけにはいかないんですかね…。

ともあれ戯画のスタッフの皆さん、今までありがとうございました!

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