
先日、SONYがゲームのディスク版の生産を終了するという割と衝撃的なニュースが駆け回りました。
正直なところ、私のコンシューマ経験ってPS3で止まっているので最近のCS業界の動向には疎いのですが、それでも結構驚きました。
もちろんいつかはこの日が来るとは思っていましたが、思ったよりも早く来たかな、という印象です。考えてみればPS5のデジタルエディションが出てきた時点でこれは既定路線だったのかも。PSP goは早すぎたんや…。
対する任天堂のほうは当面物理メディアを維持するみたいなので、ゲームに対する方向性の違いが浮き彫りになっていますね。
とはいえ任天堂のほうも最近はキーカード方式を推しているみたいです。これは「ダウンロードする権利を物理的に売る」という販売方法でこれはこれで批判が多いみたい。
物理メディアのメリットデメリット
ここで改めてゲームのディスク版とダウンロード版のメリットを簡単に比較してみます。
- ゲームを物理的に保有できる
- 中古品として売買できる
- 友人同士で貸し借りができる
- 物理的な特典を付けることができる
- 現金で直接買える
- 販売終了の心配がない
- お店に行かなくても簡単に購入できる
- 販売価格を安くすることができる
- ディスク入れ替えの手間が省ける
- 箱やケースの収納スペースがいらない
- 違法コピー対策になる
- 売り切れの心配がない
パッと思いつくのはこんなところでしょうか。
まぁメーカー側からすればディスク版のメリット、特に貸し借りや中古販売に関しては何のメリットもないどころか売り上げを下げる要因にもなるので、わざわざ費用をかけて生産を維持する理由はないのかもしれません。
でもやっぱり誕生日やクリスマスにゲームを買ってもらっていた我々世代からすると寂しくはありますね。デジタルデータだとなんか情緒がないですし。
お小遣いを電子マネーでもらってソシャゲに課金している今の子たちはそうでもないのでしょうか。
メーカーからすれば容量を気にせず開発できるうえ、いつでもアップデートできるダウンロード版にはメリットしかないかも。ゲームはお店でカセットやディスクを買ってきて遊ぶもの、という認識を刷り込まれた私には隔世の感があります。
消えるゲームショップ
改めて振り返るまでもなく今のコンシューマーゲームはダウンロード販売が主流です。SONYの場合、ディスク版の売り上げはダウンロード版の8分の1以下らしいですね。
まぁここまで差が開くとさすがにディスクを終了するのもやむを得ないかも。
これで一番割を食うのがゲームショップでしょうか。
令和生まれの方はイメージできないかもしれませんが、00年代くらいまではたいていの街にゲームショップがありました。というかコンビニやスーパーでも普通にゲーム売ってましたし。
そんなゲームショップもネット通販やダウンロード販売に押されて今ではほとんど消滅。
現在ゲームを売ってる主な場所って一部の家電量販店やショッピングモール、あとは中古リサイクルショップくらいでしょうか。新品売り場に限れば昔と比べてかなり縮小している印象です。
まぁこれはCDショップや本屋さんも同じでしょうけど。時代の流れを感じますねぇ。
PCゲームはダウンロード販売がほとんど
コンシューマと同じように一般のPCゲームも昔はパッケージ販売がありました。
日本ではどちらかというとマイナーだったのでさすがにコンシューマほどではないですが、パソコンショップの一角で普通に『シムシティ』とか『ディアブロ』とかが売っていたものです。

そんなPCゲーム業界でも00年代後半くらいからダウンロード販売が増えていきました。そして2014年にSteamが日本円に対応して以降、PCゲームは一気にダウンロード販売が主流になった感じ。
一応日本のPCゲームメーカーは現在でもパッケ版を発売しているところはあります。ギャルゲーを除くとコーエーの『信長の野望』や『三国志』シリーズ、システムソフトの『大戦略』シリーズ、アートディンクの『A列車』シリーズもパッケ版がでてますね。ただこの辺は売っているといっても通販がメインで、ショップではほとんど見かけません。そもそもPCゲーム売り場自体無くなってますし。ボーカロイドとかはなぜか普通に量販店で売ってたりしますけど。
一般PCゲームの場合、ダウンロードオンリーになってもほとんど反対する人がいないのは不思議ですね。
PCゲームユーザーってあんまり所有欲がなさそうなうえに、そもそも昔のゲームは機種やOSの関係上持っていてもプレイすることができない、というのも大きいのかも。PC-98とか一応手に入れることは可能ですが、ゲーム機と比べるとハードルが高すぎる。
単にゲームしたいだけなら、日本のPCレトロゲーはだいたいProject EGGとかでプレイできますし。
エロゲー業界の現状と今後
そんなPCゲームでもエロゲ業界に限っては今でもパッケージ販売が続いています。
これはエロゲユーザーにコレクション気質の人が多いのが原因の一つかもしれません。SNSとか見てると「お店かよ!」と突っ込みたくなるくらい綺麗に整理されたエロゲ棚の写真をアップしている方も少なくないですし。(私のエロゲ棚はヘタクソなテトリスみたいになっているのでとてもお見せできません…)
また新作ゲームの発売日になると、みんなこぞって購入したパッケージの写真を撮ってSNSにアップするのが恒例行事になっています。なんかいいですよね、こういう風習。
自分もそうですが、エロゲのパッケージ(特に豪華版や店舗特典)って購入するとなぜか他人に見せたくなる衝動に駆られるんですよね(笑

売り上げはダウンロード版が逆転
ただそんなエロゲ業界でもダウンロード化の流れは止められません。
Xでエロゲの販売本数をグラフ化してくれている方がいるので引用させていただきます。
このデータ面白い
— latte (@llatte827) June 18, 2026
元データをきちんと当たってないから推論するのは危険かもだけど、ピークに比べるとやっぱり相当下がってるのね
これだけだと、波はありつつ減少傾向にもみえるけど…
仮に、海外データは別、かつ海外は足元で増加傾向があるとすると、意外と近年で盛り返してたりする? https://t.co/jP5Ea6Sxjv pic.twitter.com/t3eYUmsVL9
00年代後半くらいから徐々にダウンロード販売が増えていき、2020年にはついにダウンロード販売数がパッケージ販売を逆転。
これはコロナ禍の影響もあるでしょうが、パッケージ版の販売が落ち込む中、ダウンロード販売で持ち直している、という感じでしょうか。
個人的にはもっと前に逆転してるんじゃないかと思ってたんですが、意外と最近なんですね。
実は私自身も最近購入した作品は半分以上がダウンロード版だったりします。パッケージ版を買うのはよっぽど安くなってるときか特典が魅力的なときくらい。
ぶっちゃけ旧作だとダウンロード版のセールで買った方が中古より安いことも多いですし、最近は特典てんこ盛りの豪華版もデジタルデータで購入できることが増えてきました。
私の場合、特典やパッケージを飾ったり売却したりする習慣がないので、現物のメリットがあんまりないんですよね。むしろ収納スペースがなくて難儀してるくらい。

エロゲの箱って昔からデカいんですよね。あと『アトラク=ナクア』はいいぞ!
多分そう思ってるのって私だけではなくて、結構な数のエロゲプレイヤーさんがダウンロード版に移行したからこそ販売数が逆転したのではないかと。
それに伴ってエロゲショップも少なくなってきました。
私の地元でもショップの数はピーク時よりほぼ半減してますし、残っているショップもここ数年で大半がエロゲ売り場を縮小しています。個人的に実店舗を回るのも好きなので、一般ゲームみたいにダウンロード版ばかりになったら寂しくはありますね。あんまり買ってない私が言うのもなんですけど。
メーカー側の事情
ゆずソフトの「ろど」さんもパッケージの売り上げがかなり厳しいことをつぶやかれています。
エロゲの売り方売れ方が変わってきてるだけの話。ただ、物理パッケージは厳しいと思います。
— ろど (@rodorin) February 28, 2025
そんな中でも現状ほとんどのブランドがパッケージ販売を続けています。
その理由の一つとしてこの業界の特異な構造があるかも。実はエロゲ制作会社って流通会社(いわゆる問屋)と不可分らしいんですよね。
聞くところによると、エロゲ会社って基本的に銀行から融資を受けられない(どころか口座すら作れない)場合が多いみたい。じゃあどこから資金を調達するかといえば、ageの吉宗鋼紀さんみたいに実家を売ってお金にするか、それができなければ流通会社からお金を借りるということなんですね。
ではエロゲ会社の場合は銀行から融資を受けるかというとその選択はとれず、多くの会社は流通会社からお金を借りることになります。
BugBug.NEWS【ネクストン・まついさんの万屋月報】より
エロゲ会社は少人数かつアダルト商材なのでなかなかに銀行から融資を借りるのは壁があります。そこで問屋である流通会社が開発資金を貸すということをしてくれます。
流通会社はお金を貸している側なのできちんと回収をするために販促営業もしてくれます。エロゲ会社は少人数な会社が多くあまり「営業の人」を社員として雇っていることは少ないので、店舗でのイベントや装飾品は流通会社にお任せすることが多いです。
この業界の流通会社って単に商品を卸すだけでなく、営業活動もやってくれるらしいんですね。マイナーな抜きゲーブランドでも結構律義にパッケ版を販売していることが多いのはこういう理由もあるのかもしれません。
ただ最近はこの形態にこだわらないブランドもでてきて、有名どころだと3DキャラメイクゲーのILLGAMESは完全にDL版オンリーの販売形態です。他にも抜きゲーを中心にダウンロード専売タイトルをちょこちょこ見かけるようになりました。
全年齢に移行したブランドはこれが顕著で、LaplacianやspriteのPC版はDL版オンリー。ANIPLEX.EXEは一部を除いて基本的にDL版のみ。FrontWingは一応パッケ版も出てますが発売はDL版が先行しています。(すいません、spriteはパッケ版出てました。教えていただいた方感謝!)
今でもパッケ版に力を入れているギャルゲーブランドってKeyくらいでしょうか。あとブシロードの『D.C. Re:tune』やエンターグラムの『制服カノジョ』シリーズもパッケ版出てましたね。
もしパッケージがなくなったら?
もしエロゲ業界もパッケージ販売がなくなったらどうなるのでしょうか。
一番懸念されるのが、ダウンロード版のみだと場合によっては二度とプレイできなくなる可能性があります。
戯画やILLUSIONがブランド解散と共にダウンロード版の販売も終了してしまったのは記憶に新しいところですし、KeyやLeafの00年代の旧作も18禁版の配信はありません。でもこれらのブランドは中古品があるので、プレイしようと思えばできます。一部のタイトルはプレミア化していますが、まぁ買えない値段ではないでしょう。もしこれらのブランドがダウンロード版オンリーだったらと思うとゾッとしますね。
メーカーの都合でなくてもプラットフォーム次第で突然プレイできなくなることはあり得ます。ダウンロード版は事実上プレイする権利を買っているだけなので。
まぁさすがにDMMやSteamが潰れる可能性は低いと思いますが、何らかの形でアカウントが凍結、ないし削除される可能性はゼロではありません。Amazonのアカウントが凍結されたせいでkindleの蔵書が全部読めなくなった、なんて話もたまに聞きますし。
最近ではバンダイチャンネルがハッキングされて4万人分のアカウントが勝手に退会処理された、というニュースが衝撃的でした。これもしFANZAでやられたら購入履歴とかどうなるんですかね? 全部消えたら私死ぬかもしれません。スマホとかはなかなか解約させてくれないのに、何でこういうのはあっさり退会できてしまうんだろう…。
今後はどうなる?
今後どうなるかといえば、少なくとも当面はパッケージ販売は残るでしょう。というか個人的にも残ってほしいと思います。
なんだかんだでパッケージ版は所有欲を満たせますし、何よりその気になれば「何十年後でもプレイできる」という安心感もありますね。OSの問題は別にして。
メーカー側でもケロQ/枕の「すかぢ」さんは今後もパッケージ版を販売していくことを明言されています。ここは流通から出資を受けていないそうですが、それでもパッケ版にこだわるあたり強い矜持を感じますね。
あけすけな質問なのですが、ゆずさんなどでもパッケージ厳しいのでしょうか? 個人的には今後、デジタル時代だからこそ物体としての価値というのが独特の価値を形成するような予感があり、物体としてのパッケージは今後も一定の数が出ると思っております。…
— SCA自(すかぢ) (@SCA_DI) February 28, 2025
中古でも、是非パッケージを手に取って欲しいです。
— SCA自(すかぢ) (@SCA_DI) September 7, 2025
いまだにエロゲパッケージ最高じゃん勢です。
今は一度絶版すると多くの場合再生産しません。ウチみたいにブランドとして経営が連続してればまだ目はありますが。
今後は、資産だよ! エロゲは! エロゲ積み立て!
個人的な予想としては少なくとも大手ブランドに関してはパッケージ版が残りそうな気がします。特に特典モリモリの「豪華版」や、周年記念の「アニバーサリーBOX」みたいなのは今後も需要がありそうです。
ただそれ以外の通常版や廉価版、ロープライスの抜きゲーに関してはダウンロード版がメインになっていくのはありそうかも。
いずれにしても業界は誰かが買い支えないと維持できないわけですから、パッケージ版やショップが残ってほしいと思ったらもっと買わないといけませんね。自分も含めて。
というわけでもっとショップでエロゲ買いましょう。

ちなみにあなたの好きなエロゲの特典は何ですか?
サントラ? 設定資料集? アクスタ? スクール水着?

