2010年代作品美少女ゲームレビュー

エロゲーレビュー『ワルキューレロマンツェ』(Ricotta 2011年)

「プリンセスラバー」でデビューした萌えエロメーカーの2作目、『ワルキューレロマンツェ』。略称は「ワルロマ」。アニメファンには「オマンツェ」なんて呼ばれたりもします。

甲冑を装備した騎士が馬上で槍を交える実在のスポーツ”ジョスト”をテーマにした作品。ヒロイン全員が騎士として戦うので鎧好きの人は必見です。
何よりの見所は原画家ひづき夜宵氏による美麗なグラフィック。美少女ゲーム大賞2011グラフィック部門1位は伊達ではありません。
またこのメーカーはエロにもちゃんと力を入れているので、非常に実用性の高いHシーンになっています。

爽やかなスポ根ストーリーを彩る魅力的なキャラクターと美しいグラフィック、甘々な恋人描写と濃厚なラブシーンは正に王道!鉄板!これぞエロゲ!!
ただひとつ残念なのは、これだけ完成度の高い作品を作り上げたがブランドがこの作品以降ソーシャルゲーム制作にシフトしてしまったうえ、そのソシャゲもサービス終了してしまったことでしょうか。やっぱエロゲって儲からないんですねぇ。

  • 馬に乗って戦う「ジョスト」をテーマにしたスポーツもの
  • ひづき夜宵さんによる美麗なグラフィック
  • 豊富で濃厚なHシーン
ブランドRicotta
ジャンル少女騎士恋愛ADV
初回発売日2011.10.28
DL版価格7,130円
シナリオ北川晴 他
原画ひづき夜宵
おすすめ度80
シナリオ傾向

購入ガイド

タイトル対応OS発売日入手難度
ワルキューレロマンツェ 少女騎士物語2000 XP Vista 72011.10.28
ワルキューレロマンツェ More&MoreVista 7 82013.10.25
ワルキューレロマンツェ Re:tellVista 7 82014.9.26
ワルキューレロマンツェ Re:tell IIVista 7 82015.4.24

パッケージ版には初回版と通常版があり、初回版には作中で使われたボーカル曲4曲を収録したマキシシングルと設定画集が付属。ちなみに外箱と内箱はエンボス加工が施されていて高級感が漂います。特に内箱は白一色の中にうっすらと騎士のマークが印刷されていてカッコイイ。

『More&More』は本編でサブキャラだった3人のシナリオ等を収録したファンディスク。
『Re:tell』の2作もファンディスクですが、こちらはダウンロード専売。
残念ながらコンシューマ版はありません。ぶっちゃけエロがないと厳しい作品ですからね・・・。

今から買うなら初回版の中古が比較的買いやすいと思います。2024年現在公式サイトもまだ生きているので修正ファイルも入手可能です。
ダウンロード版は今となってはやや割高なのでセール時を狙いましょう。

システム

システムはオーソドックスなADVスタイル。画面サイズは1024×768の4:3。
ロード後のバックログが保存されるなど、必要十分の機能は備えています。
メッセージウインドウを右クリック等で消した後、任意の場所で左クリックするとCGが一段階拡大する機能があるのはエロメインの作品ならでは。

場面転換の際はTVアニメのCM入りのようなアイキャッチが入ります。ただ結構頻繁にあるのでちょっとうざったく思うことがあるかも。

シナリオ

メインライターは『はるのあしおと』や『ましろ色シンフォニー』等を手がけた北川晴さん。その他サブライターが6人ほど。
物語は歴史あるヨーロッパの街・へレンズフィルにある名門校ウインフォード学園を舞台にしたスポーツ物。海外の街が舞台になっていますが、主人公を含め日本人も結構出てきます。

テー マになっている”ジョスト”というのはヨーロッパで実際に行われている馬上試合で、甲冑を着込んで馬を走らせ、すれ違いざまに長槍で攻撃しあう決闘のようなもの。それを剣道のようなポイント制にしてスポーツ要素を強くしています。比較的単純なルールなので初見でもわかりやすいかと。

ちなみに時代背景は現代のようですが、中世っぽい雰囲気を出したいためか物語中にパソコンや携帯電話の類は出てきません。背景CGには液晶テレビやノートPCが描かれているんですけどね。

グラフィック

原画は”ひづき夜宵”さん。サンプルCGを一目見てわかるかと思いますが、非常に美しいCGで書き込みもハンパじゃありません。この作品の一番の見所でもありますね。鎧の質感とか凄いです。

キャラクターデザインは頭身が少し高めで、表情や体形もどことなくやや大人びた印象があります。
胸も一部のキャラを除いて比較的大きめであるにもかかわらず、服の形が極端な”乳袋”にはなっていないので、エロさを協調しながらも過剰な記号化はしないという、非常にバランスの取れたデザインになっています。鎧はかなり胸を強調した作りですが。
鎧姿はもちろん、普段着も肌の露出はほとんどありません。エロシーン以外で胸チラやパンチラがほとんどないのは制作者のこだわりなんでしょうか。

ただ馬に乗るときに制服のスカートのままというのはちょっとどうかと思わなくもない。いやスカートで乗るならせめてパンツぐらい見せろと(笑

キャラクター

希咲美桜
ピンク髪の実質的なメインヒロイン。両親と共に現地に暮らす日本人。
主人公と同じ学園の2年生。しかし普通科なので本来騎士ではないのだが、ひょんなことから騎士になることに。

スィーリア・クマーニ・エイントリー
学園の3年生で人望のある学生会長。なおかつ名門公爵家の令嬢でジョストの大会では2連覇中のチャンピオン。
これでもかというくらい非の打ち所のない完璧超人。

ノエル・マーレス・アスコット
学園騎士科の2年生。この子も侯爵家の令嬢。
あっけらかんとした性格で友人も多く、ジョストの腕前もなかなか。

リサ・エオストレ
メインキャラの中では唯一の1年生。漆黒の鎧をまとうジョストの天才。そして唯一の貧乳。
口数が少ないうえに人当たりが悪い、いわゆる典型的なツンデレさん。

水野貴弘
本編主人公。かつては騎士だったが、怪我のため現在はベグライター(騎士のサポート役)に。
本編中は凄く良いやつなんですが、Hシーンになると変態の権化と化します。いいぞもっとやれ(笑

主要な登場人物は他に貴弘の親友カイル、騎士科のクラスメイト龍造寺茜、典型的な噛ませ犬お嬢様ベルティーユ、貴弘の実質的な保護者で保険医の柊木綾子、学生会副会長の玲奈、リサの親友フィオナなど。
茜とベルティーユ、綾子先生はファンディスクで攻略ヒロインに昇格します。

ちなみにTVアニメ版ではなぜかカイルが登場しません。せっかくアニメ化を見据えた配役だったのに・・・。

ボイス

茉田部里依紗/清水愛(美桜)かわしまりの/瑞沢渓(スィーリア)島原蘭/中村繪里子(ノエル)夏野こおり/田口宏子(リサ)
さくらはづき/生天目仁美AIRI/柚木涼香苺原コズエ/水橋かおり天野小鳥/千葉千恵巳
長谷川夏紀/今井麻美宮川夕華/下屋則子 三代眞子/米澤円光子さん/新井里美
村崎紫/内山夕実
川梛珱/下野紘山田葵/飯塚昭三聖徳太/西村知道ほうでん亭ブリスケ
(キャスト名はPC版/アニメ版)

主人公以外フルボイス。ベテランさんを中心とした安定の布陣ですね。
なんというか、いわゆるエロゲ専業の方がほとんどいないところを見ると、最初からアニメ化を見据えていたのかもしれません。ぶっちゃけ「この人エロゲ出演OKなんだ」と言いたくなるほど珍しい方もいますね。

特に男性声優さんは、エロゲでは普段あまり聴けないようなメンバーでちょっとびっくり。
ほうでん亭ブリスケさんはPC版のみの出演ですが、ロードバイクレースに出てそうな方です。

美桜役の茉田部里依紗さんは最初名前だけ見ると「・・・誰? ていうかなんて読むの?」と思いましたが、「まつだべりいさ」と読むみたいです。はい、車の人ですね。
フィオナ役の天野小鳥さんはなんというか、正直ちょっと演技が残念な感じ。結構なベテランさんのはずですが、ゲームの収録に慣れていないんでしょうか。エロゲーだからテキトーに収録した…なんてことはないですよね?

BGM

BGMモードで聴ける曲は40曲。制作は野中“まさ”雄一さん、景家淳さん、斎藤悠弥さん、田辺トシノさんの4名。
管弦楽を使った高貴な感じのする曲が印象的です。
物語中ではBGMはエンドレスで流れますが、BGM鑑賞モードではそれぞれの曲に”締め”がつけられて1つの曲として完成されています。

個人的お気に入りはゆったりした3拍子の日常曲『Student Council』、緊迫感のあるジョストの対戦中に流れる『Strggle』、Hシーンに使われるのがもったいないと思うほど癒されるピアノ曲『幸せの扉』。

主題歌

タイトル作・編曲作詞・歌備考
「本当の勇気に変わるまで」東タカゴー橋本みゆきOP
「Shooting the future」東タカゴー佐咲紗花 挿入歌
「Mind Squall」斎藤悠弥佐咲紗花 挿入歌
「希望の星~HERO~」田辺トシノ橋本みゆきED

ボーカル曲は全4曲。作中ではOP曲以外Full ver.が使われますが、何故か音楽モードではshort ver.しか聴けません。
OP曲『本当の勇気に変わるまで』は前向きで勢いの良い、実に橋本みゆきさんらしい曲ですね。ぶっちゃけTVアニメ『咲』のOPに合わせても全く違和感がありません。

ED曲の『希望の星』は物語を締めるにふさわしいしっとりとした曲。ラストの「あなたが私の、HERO」というフレーズが非常に印象的です。
佐咲紗花さんの歌う挿入歌2曲も負けず劣らずの名曲。というかこれもOP曲・ED曲に使ったほうが良かったような気がします。正直あんまり挿入歌っぽくはないですし。

ムービー

桜の花びらが舞う演出が印象的なOPムービー制作は、やっぱりこの人、神月社さん。
ムービー自体はゲーム中のCGを使ったオーソドックスな作りですが、やはり安定感というか安心感がありますね。

攻略

序盤に数回ある選択肢を選んで分岐するオーソドックスな構成。選択肢の数が少なく結果もわかりやすいので迷うことはほぼないかと思います。
プレイ時間はゆっくりやるとおまけも含めて35~40時間。思ったよりボリュームがあります。

お勧め攻略順は美桜→ノエル→リサ→スィーリア。特に順番は意識しなくてもいいと思いますが、スィーリアシナリオがいちばん物語の〆にふさわしいと思います。
序盤の共通シナリオは実質美桜ルートのプロローグなので、最初は美桜を選んだほうが無難かと。

Hシーン

エロゲーの本分たるHシーン。一般的なシナリオゲーと比べるとかなり濃厚なシーンが展開されるのがこの作品のウリのひとつでもあります。ヒロインは基本的に卑語は口にしないものの、結構大胆に喘ぎます。
ひとつひとつのシーンが長く(オートモードで20~30分くらい)、肉感的なヒロインたちの肢体が美麗なCGで描かれていて、とっても利用価値が高いのでそっち目的の人も安心。ちなみにモザイク越しに陰毛描写があります。(海外の人って剃ってるんじゃなかったっけ?)

回想モードに登録されるHシーンは各キャラ7回ずつ。うち1つはキスシーンで、最後の1つはクリア後の追加シーンとなるため、本編中のHシーンは5回ずつとなります。
キスシーンが回想モードに登録されるというのも珍しいですね。もちろんかなりねっとりとちゅぱちゅぱしてます。

本番行為のほうは最初は初々しさがありますが、回数を重ねるごとに段々と大胆なプレイになっていきます。ほぼ全員にお風呂・おしっこ・自慰・ひょっとこフェラ・鎧着たままHのシーンがあるのが特徴的。個人的にはおしっこやひょっとこは苦手なんですけどね・・・。
一部のキャラにはいわゆる”腹ボテ”Hがあります。グッド!
しかもちゃんと母乳も出ます。グッド!!

ヒロイン4人とも何らかの形でストッキングを履いているので個人的には楽しみだったんですが、履いたまま致すのが意外に少なくてちょっと残念。そこは脱がすなよ!破れよ!!

感想


シナリオやグラフィックだけでなく、エロにもちゃんと力を入れている
のがこの作品の特徴。実用的なイチャラブエロゲがやりたい!という人にはうってつけの作品です。

難 点をただ1つ挙げるとすればストーリーがやや単調ということでしょうか。決してつまらないというわけではないのですが、4つある個別ルートの展開が「主人 公がヒロインと大会優勝を目指す」という似通った感じで、正直結末もだいたい想像通り。(良く言えば王道、悪く言えばありきたり)
もちろんそれぞれのヒロインの個性や背景は違うのですが、いわば「同じ料理だけど食材と味付けが違う」感覚を楽しめない人には物足りなく思うかもしれません。
あと恋人関係になるまでの描写がやや薄いルートもあるので、恋愛描写が唐突に感じてしまうこともあるかも。

ただエロゲーとしての完成度や安定度は確かなものがあるりますし、スポ魂モノの物語としても十分楽しめるので、エロい作品はやりたいけどガチの抜きゲーはちょっと・・・という人には是非お勧めしたい作品となっています。

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