雑記

SNSで作品のネタバレはNG?

先日、アニメ『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ〈ワルプルギスの廻天〉』が公開されて私も観に行ってきました。前作『叛逆の物語』から13年ぶりの新作とあってアニメ界隈でも非常に注目された作品です。内容は置いておくとして、話題になったのが「アニメ公式アカウントが一定期間ネタバレの自粛を要請」したこと。

こういうのはこれまでもたまにあった気がしますが、ここまで公式が大々的に自粛を促すケースは少ないかも。
去年『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』が公開されたときはプラモデルメーカーがネタバレ自粛を匂わせていたものの、公式アカウントが自粛を促すことはなかったと思います。

ただ映画の場合、公開直後はネタバレしないというのが暗黙のマナーみたいな空気がありますね。ジークアクスのときも致命的なネタバレはせず、SNSで感想を書くときは「ガンダム見に行ったらガンダムが始まったw」みたいな見た人しかわからない書き方をする人が多かったですね。おかげで私もネタバレを食らわずに見ることができました。

私のいるXのノベルゲーム界隈でも多くの人がプレイした感想を上げています。そこで特徴的なのが新作旧作に関わらず「ネタバレをする人がほとんどいない」ということ。
もちろん全くいないわけではないのですが、そういう人に対して苦言を呈する方もよく見かけます。

実はつい最近も「ネタバレはやめましょう」的なポストをされている方がいらっしゃったんですよ。私からするとごくごく当たり前のことを書かれているとしか思えないんですが、リプ欄や引用ポストを覗いてみると、

「ネタバレだろうが自由に感想を書かせろ」
「自衛してない奴が悪い」
「新作ならともかく旧作に配慮は不要」
「お前はSNS向いてないからやめろ」

という感じで反論というより非難するようなコメントが多かったんですよ。何というかポスト主さんが気の毒になると同時に、ちょっとカルチャーショックも受けました。というのも今回ネタバレ肯定派の人のアカウントを見てみると、そのほとんどが「ノベルゲーム界隈以外の人」だったんですよね。
(当該のポストを引用しようと思ったんですが迷惑がかかるかもしれないので自重します。どうしても見たい方は私のアカウントの引用ポストからたどってください)

そこで今回はSNS上におけるネタバレについてちょっとまとめてみたいと思います。

ネタバレの功罪

『アメイジング・グレイス』(きゃべつそふと)
あの衝撃を受けるのはネタバレなしでプレイした最初の1回のみ。

ネタバレをしてはいけない理由は、当然のことながら初見の方の楽しみを奪わないため。
「事件の犯人はコイツ」とか「このキャラは途中で死ぬ」とか「ラストでこういうどんでん返しがある」みたいなことを言うのは初見の方の驚きや感動を奪ってしまいかねないですし、「ネタバレ食らったからもう見るのやめよう」という人もいるかもしれません。

もちろんネタバレを見たことによって逆に興味を持つということも往々にしてあります。むしろ全く門外漢のジャンルだとネタバレをきっかけに作品を知るということも多いでしょう。
個人的な話でいえば、私はこれまで『ちいかわ』には全く興味がなかったんですよ。でも最近『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』の結末を知ってむしろ見てみたくなりました。こういうケースがあるからネタバレが絶対悪とも言い切れません。

特に最近の若い方はあえてネタバレを知ってから作品を見るという人も多いみたいなんですよね。なぜならその方が伏線や演出の意図がわかりやすいし、何より「ハズレ作品」を引かずに済むから。確かにそういうメリットもありますが、私は少なくとも自分の好きな作品に関しては基本ネタバレなしで見たいです。ネタバレ視聴は「タイパ」や「コンテンツ消費」を重視する今の時代ならではの価値観なのかも。

主にアニメや映画の話だと思いますが、岡田斗司夫さんもネタバレ視聴について言及しています。

5%というのはさすがに言い過ぎだと思いますが、ひょっとしたらもうすでにネタバレを許容する人が多数を占めているのかもしれません。

ネタバレ否定派・肯定派双方の主張

ここでネタバレ否定派と肯定派双方の主張をまとめてみます。

ネタバレ否定派の主張
  • 初見の人の楽しみを奪うべきではない
  • ネタバレがなくても感想は書ける
  • 感想を書く媒体はSNS以外にもある
  • TLに勝手に流れてくるので自衛にも限度がある
ネタバレ肯定派の主張
  • ネタバレありで自由に書けるのが当たり前
  • 公式がネタバレしてる場合もある
  • 見たくない人が自衛すればいい
  • 古い作品は見ていない奴が悪い
  • 犯人はヤス

だいたいこんな感じでしょうか。

「公式がネタバレしている」というのはノベルゲーム業界ではほとんどないのでイメージが湧かないかもしれませんが、アニメ業界では結構あったりします。
冒頭の『ワルプルギスの廻天』についても、ネタバレ解禁と同時に公式アカウントが新たなPVを公開しました。

これ、単なるキャラ紹介ではなく結構がっつり本編の内容をバラしてるんですよね。ある意味「こういうネタバレしてもいいよ」という公式からのメッセージなのかもしれません。

「自衛をすればいい」というのは確かにその通りで、おそらくノベルゲーム界隈の人でもほとんどの人が何らかの自衛はしているのではないでしょうか。
私も現在進行形でプレイしているタイトルに関しては、Xの投稿でそのタイトル名を見た瞬間にスクロールするクセがついています。(ネタバレのあるなしに関わらず)
でもこういう自衛って画像によるネタバレは回避が難しい(一瞬でも目に入ってしまう)ですし、別の作品の話をしている最中に「これは『〇〇(作品名)』と同じネタだよね」みたいな不意打ちのネタバレもかなり厳しい。(しかもこういうケースは結構多い)

ちなみにネタバレ肯定の人でも「初見の人にネタバレのリプを直接送る」というガード不能技はさすがにアウトだと思ってる人がほとんどです。なので問題はタイムラインに流れるような投稿をどうするかですね。

『殻ノ少女』(InnocentGrey)
ミステリーなので当然ネタバレは厳禁です。

作品界隈による違い

ネタバレの扱いに関してはそれぞれのジャンルや界隈(ノベルゲーム、一般ゲーム、アニメ、ラノベ、ミステリーなど)によっても違うのかもしれません。

ノベルゲーム界隈の現状

Xのノベルゲーム界隈にいる人はわかると思いますが、エロゲーやギャルゲー作品の感想は基本的にネタバレなしで書いている人がほとんどです。

ネタバレ感想を書くときは画像のALTに書くか(ALTに書くことの是非は置いておくとして)、fusetterやブログ・note・批評空間などの外部サイトを利用するのが一般的になっています。
noteやブログに書く際も、ネタバレの場合は記事タイトルや本文中に「ネタバレあり」の注意書きを書く方が多いです。また批評空間でも一言感想でネタバレを書くと文字色が背景と同色になる機能があります。こうやって未見の人にできるだけネタバレしないよう配慮されているわけですね。

もちろんこの界隈でもネタバレが全くないわけではなくて、例えば『マブラヴオルタ』のまりもちゃんの例のシーンに関しては有名すぎて半ば公然のネタになっています。ただこれはどっちかというとノベルゲーム界隈以外の人が面白がって拡散しているという印象です。
その他にも、『STEINS;GATE』のとあるシーンにおける「失敗した失敗した失敗した…」というセリフはネット上でもちょくちょく見かけますが、この辺りはアニメの放送をきっかけに広まった感じ。

逆にアニメ化されていない作品、特に『Ever17』(2002年)や『車輪の国、向日葵の少女』(2005年)といったネタバレが致命的な作品などは、発売から20年以上たった今でも徹底して伏線や結末が伏せられてます。

『車輪の国、向日葵の少女』(あかべぇそふとつぅ)
悪いことは言いません、ネタバレを食らう前にプレイしましょう。

アニメ界隈の現状

それに対してアニメ界隈ではほとんどネタバレありで語られていることが多いです。
特に旧作の有名作に関しては割とクリティカルなネタバレであっても普通に日常会話として出てきたりしますね。「『まどマギ』のアルティメットまどかが~」とか「『進撃の巨人』の地ならしが~」みたいな。このあたりの作品について今更「ネタバレするな」というのはちょっと空気読めてない感じはするかも。

新作アニメも基本的に放送と同時にネタバレOKみたいな雰囲気ですね。放送直後は普通にトレンドに上っているときもありますし。配信全盛の今の時代は「ほとんどの人が一斉に見ることができる」というのも大きいのかもしれません。

逆に言うとアニメ界隈でも放送前は割とネタバレしない人が多かったりします。原作付きの作品は特にそうですね。
『【推しの子】』がアニメ化されたときは、原作既読組や劇場先行組の人たちができるだけネタバレを隠していて、アニメ初見組の驚きを後ろからニヤニヤ眺めるみたいな状況だったのが印象的です。というかこの作品の場合は公式のWebラジオでも第1回の時はネタバレを防ぐためにあらすじはもちろんキャラ紹介もほとんどできないという、今から見ると逆に面白い番組でした。
同じ原作付きアニメでも『ワンピース』辺りだと普通に原作のネタバレをしてたりするので、この辺は原作の知名度の違いによるかもしれません。

『ワルプルギスの廻天』にしても、ネタバレ禁止期間は本当にネタバレがほとんどなく、みんな書き方を工夫して感想を伝えあってるのが印象的でした。中には納得できない人もいるかもしれませんが、TVアニメの時とはまた違った盛り上がり方をしていましたね。

ほかのジャンルでは?

一般のゲーム(非ギャルゲ)の場合も発売と同時にネタバレ解禁になるケースが多いですね。この辺はメーカーのガイドラインにもよりますが、直近では『空の軌跡2nd』が発売と同時にプレイ動画や画像がSNSにあふれて盛り上がってます。こういうのってノベルゲーム界隈ではほぼ見かけません。

アニメやゲーム以外だとドラマでも放送直後にネタバレ解禁になる感じですね。
現在(2026年9月)絶賛放送中である人気ドラマ『VIVANT』ではSNS上はもちろんのこと、Yahoo!ニュースでも普通に記事タイトルでネタバレしたりするので、見逃し配信組の私はYahooを見るのも細心の注意が必要だったりします。

小説のミステリー界隈だとさすがにネタバレで語っている人は(少なくともXでは)ほとんどいない感じでしょうか。
まぁさすがにミステリーだとネタバレが致命的すぎるので、他人の楽しみを奪わないためにネタバレしない人がほとんどなのかも。試しに超有名作である綾辻行人の『十角館の殺人』をXで検索してみましたが、多少思わせぶりなことは書かれているものの、作品の根幹と言っても良いであろう例のネタはほぼすべての投稿で伏せられています。

そういう意味ではノベルゲー界隈ってミステリー界隈の雰囲気と近いのかもしれません。

Xという媒体においてのネタバレ

『なないろリンカネーション』(シルキーズプラス WASABI)
序盤の何気ない言動が伏線になっているネタバレ厳禁の作品です。

私はなるべくネタバレを見たくない人間ですが、別に「あらゆる場所でネタバレを禁止しろ」と言っているわけではないんですよ。これは他のネタバレ否定派の人も同じだと思います。

個人のブログやnoteにネタバレ感想を書くのは全く問題ない、というかむしろガンガン書いてほしい。自分もプレイした後に読みたいから。
またDiscordや5ch(bbspink)の作品スレようなクローズドな場所でファンが互いにネタバレ感想を言い合うのもメチャメチャ楽しくて有意義だと思います。そういったところに自分からわざわざ訪れて「ネタバレするな」というのはさすがに言いがかり過ぎる。

問題なのは「見たくないのにネタバレが目に入ってしまう」ということなんですよね。
特にXというのは自分の意志と関係なくおすすめの投稿がタイムラインに流れてくるので、意図せずにネタバレを見てしまう可能性が常にある。
「この作品はプレイ予定だから気を付けよう」とあらかじめ構えていれば、ある程度自衛はできます。でも中にはタイトルすら書かずにいきなり画像でネタバレする人もいますし、そもそもタイトルを知らない場合は自衛のしようがありません。

自分がネタバレを踏むだけならあきらめもつきますが、自分以外のファン、特にノベルゲームを始めたばかりの新規さんに対して「自衛しないのが悪い」「旧作をプレイしてないのが悪い」と言うのはさすがに酷かも。アニメと違ってノベルゲームの場合は、20年以上前の旧作をプレイしている人のほうが少ないでしょうし。

結局ネタバレはしてもいい?しないほうがいい?

結論としては、少なくともXのノベルゲーム界隈においてはネタバレと思わせる内容の感想や批評は書かないほうが無難だと思います。
もちろん強制することはできないのでどうしてもネタバレを書きたいというなら止めはしませんが、ほかのユーザーから注意されたり、ミュートやブロックされるかもしれないことは覚悟しましょう。

ただそれがSNS全体の常識だと思わないほうがいいかもしれません。
ジャンルや界隈によっては「ネタバレ禁止」に対して思いのほか反発があることも少なくないです。そこで変に反論したところで無意味。こちらの価値観を無理に押し付けることなく、「郷に入っては郷に従え」の精神で互いを尊重できれば無用なトラブルも防げるのではないかなと思います。

ネタバレありで語るのもそれはそれで楽しいんですよね

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