2000年代作品美少女ゲームレビュー

エロゲーレビュー『D.C.II ~ダ・カーポII~ プラスコミュニケーション』(CIRCUS 2008年)

ファンタジックな学園物語の多いブランド、CIRCUSの看板タイトルである「ダ・カーポ」シリーズの中核となる作品です。正式なタイトルは『D.C.II ~ダ・カーポII~』で、略称は「DC2」。
中でも今回紹介するのはヒロイン数を大幅に増加したアッパーバージョンである『プラスコミュニケーション』。

初期のダ・カーポシリーズは大まかに「ダ・カーポ」「ダ・カーポII」「ダ・カーポIII」の3作があるのですが、IIから始めてもほぼ問題ありません。もちろん、初代「ダ・カーポ」を先にプレイしておけばより楽しめます。

物語は前作と同じく、1年中桜が咲き誇る初音島が舞台。強く思えば願いが叶うとされている「枯れない桜の木」を中心に繰り広げられるファンタジー学園ストーリーになります。
中盤までは愉快な仲間たちとのドタバタしたコメディータッチの物語が続き、終盤の個別シナリオではシリアスな展開で泣かせにくるという、良い意味で学園モノのテンプレのような構成。

全体としてはかなりボリュームのある作品ですが、魔法やアンドロイドが存在するファンタジー設定さえ受け入れられれば、初心者さんの初めてのエロゲーとして安心して薦められる作品かと思います。

  • 日常とファンタジーが融合した世界観
  • 14人という膨大な攻略ヒロイン数
  • ダ・カーポシリーズの中核をなすストーリー
ブランドCIRCUS
ジャンルこそばゆい学園恋愛
アドベンチャー
初回発売日2008.12.26
DL版価格3,980円
シナリオ雨野智晴 他
原画たにはらなつき 他
おすすめ度80
シナリオ傾向

あらすじ

深々と桜が舞っていた。
一年中絶えることなく、その島では薄桃色の桜の花が咲き誇っていた。

――季節は冬。
地面にはうっすらと霜が降り、空からは純白の結晶が舞い落ちる。吐き出す息も白く色づき、布団から抜け出すのが憂鬱になる季節。
だと言うのに、
「相変わらず、季節感のない景色だよな」
通学路の桜並木を歩きながら、少年――義之はそう呟いた。
「まぁ、それが初音島名物『枯れない桜』だしね」
「や、今更そんなことをしみじみ言われても」

少し前を歩くふたりの少女が振り返る。ひとりは楽しそうに笑顔で、もうひとりは少しかったるそうに。
それも見慣れた景色。
少年は春のように咲き誇る桜の木々を見上げて、白い息を吐き出した。
間近に迫るクリスマスパーティー。そして、年が明けたら付属最後の学園生活がはじまる。
出会いと別れ。喜びと悲しみ。そこにどんな日常が待っているのかはわからない。

でも――、

何かが変わりそうな気がする。
ゆらり、ゆらりと舞い落ちる桜の花びらを眺めながら、

――少年は少し先の春を夢見た。

公式サイトより

購入ガイド

タイトル対応OS発売日入手難度
D.C.II ~ダ・カーポII~98 2000 Me XP2006.5.26
D.C.II Spring Celebration ~ダ・カーポII~
スプリング セレブレイション
98 2000 Me XP2007.4.27
D.C.II~ダ・カーポII~ Vista対応版98 2000 Me XP Vista2007.6.29
D.C.II ~ダ・カーポII~ 感謝ぱっく98 2000 Me XP Vista2008.1.25
D.C.P.K. ~ダ・カーポーカー~2000 XP VIsta2007.2.29
D.C.II P.S. ~ダ・カーポII~
プラスシチュエーション
PS22008.5.29
C.D.C.D.2 ~シーディーシーディー2~2000 XP Vista2008.7.25
D.C.II P.C. ~ダ・カーポII~
プラスコミュニケーション
2000 XP Vista2008.12.26
D.C.II To You ~ダ・カーポII~ トゥーユー2000 XP Vista2009.6.26
D.C.II Fall in Love ~ダ・カーポII~
フォーリンラブ
2000 XP Vista2009.12.18
D.C.II ~ダ・カーポ II~
ご入学・ご卒業セット
2000 XP Vista2009.12.18
D.C.I&II P.S.P ~ダ・カーポI&II~
プラスシチュエーション ポータブル
PSP2010.10.28
D.C. Dream X’mas ~ダ・カーポ~
ドリームクリスマス
XP Vista 72010.12.24
D.C.II P.C.~ダ・カーポII
プラスコミュニケーション~
D.C.IIIスターターパック
XP Vista 72012.3.14
ダ・カーポ10周年 ありがとうパック
~D.C.II P.C. & To You~ 感謝版
XP Vista 72012.6.28
D.C.II Anniversary Package
~ダ・カーポII~ アニバーサリーパッケージ
Vista 7 82015.2.27
D.C.II Dearest Marriage ~ダ・カーポII~
ディアレストマリッジ~
Vista 7 82015.4.24

ご覧のようにパッケージの違いや関連作品がメチャクチャたくさんあるのがサーカス作品、特にダ・カーポシリーズの特徴です。俗に”曲芸商法”なんて揶揄されたりしますね。さすがにこれだけあると初心者の方はどれを買ったら良いかわからないんじゃないでしょうか。
主なものだけでも解説します。

まずは最初に発売された『DCII~ダ・カーポII~』(以下『無印』)。これからして初回版と通常版に加え、CD版とVista対応版があります。これらは内容は同じで、初回版にはアレンジCDが付きます。
『感謝ぱっく』は『無印』の内容にオマケ要素とイラスト集をつけたもの。

『プラスシチュエーション』(以下『PS』版)は18禁シーンをカットして攻略キャラを大幅に追加したコンシューマ版。声優も一部変更になっています。
『プラスコミュニケーション』(以下『PC』版)は『PS』版の内容に18禁要素を加えて再移植したもの(声優は『無印』準拠)。これにも初回版と通常版の違いがあり、初回版にはリバーシブルパッケージと特典CDが付きます。

『スプリングセレブレイション』(以下『SC』)と『トゥーユー』(以下『TY』)、『フォーリンラブ』(以下『FL』)は本編のアフターシナリオ等を収録したファンディスク。
『ダ・カーポーカー』と『ドリームクリスマス』は前作である初代『ダ・カーポ』との合同ファンディスク。
『クリスマスデイズ』と『CDCD2』はサーカス作品全体の合同ファンディスクです。

『アニバーサリーパッケージ』(以下『AP』版)は『PC』版と『SC』『TY』『FL』を同梱したセット版。
『ディアレストマリッジ』(以下『DM』)は物語のフィナーレとなる作品。DCIIだけでなく、初代DCからDCIIIまでの作品群を締める、事実上の最終ストーリーとなっています。続編のキャラも登場するので先に『D.C.III~ダ・カーポIII』をプレイしておきましょう。

今から買うならファンディスクがセットになった『AP』版を推奨新品でも定価5000円弱とコストパフォーマンスは抜群です。
もっと安く済ませたいなら『PC』版の中古が投売り価格になってると思います。
ダウンロード版の『PC』はWindows10対応版と非対応版が両方売られているので間違えないようにしてください。よく割引セールになっているのはWin10対応版のほうです。

以下、『AP』版に同梱された『D.C.II PC』版のレビューになります。

システム

システムはオーソドックスなAVGタイプ。画面サイズは800×600。
AP版以外はディスクレス起動が出来ません。(AP版はネット認証することによってディスクレス起動ができるようになりますが、認証は一回きりになります)

テキストはイベントごとにまとめられていて(作中の1日当たり5~6イベント)、既読イベントは全てEXTRAモードの回想モードで見ることが可能。
ただテキストログもイベントごとにまとめられているせいか、新しいイベントに入ると前のイベントのテキストログを見ることはできなくなります。

こ の他にも起動時に毎回画面サイズ(ウインドウorフルスクリーン)を訊いてきたり、文字表示やオートモードのスピードが2種類しかなかったり、オートモー ドを解除するにはいちいちコンフィグ画面を開く必要があったりと、2006年発売の作品にしてはちょっと使いにくいシステムです。

致命的なのがスキップ機能。なんとこの作品、スキップは強制スキップのみで既読スキップ機能がありません。
その代わり「あらすじモード」というのがあって(デフォルトではOFFになってます)、既読のイベントはイベントタイトルと共に数行のあらすじで済ますこと ができるようになります。物語を振り返るには良いシステムだとは思いますが、何周もプレイしてるとさすがにめんどくさくなるんですよね。あらすじモード自体もス キップすることは可能ですが、未読のシーンに入ってもスキップが止まることはないので、迂闊にスキップすることも出来ません。
ホントなんで普通に既読スキップつけなかったんですかね・・・。

シナリオ

シナリオライターは分業制で、企画原案の雨野智晴さんを筆頭に、たけうちこうたさん、望月JETさん、舞浜ののかさん、森の眼さん、桑原文彦さんの6人。

舞台となるのは前作『ダ・カーポ』と同じ初音島。時代は前作の音夢エンドから53年後という設定で、前作の登場人物の関係者もたくさん出てきますが、テレビ やケータイといった家電製品の類は変わっていないので、近未来感はほとんどありません。ロボットとかはいますが、これは前作にもいましたしね。

物語は主に、学校主催のクリスマスパーティー(パーティーというより文化祭のようなもの)の準備から本番までを描いた第1部、クラスの補習や生徒会の合宿な どに参加する冬休みを描いた第2部、冬休み明けの各ヒロインとの個別ルートを描いた第3部、という3部構成になっています。

ヒロイン別の個別ルートは、現実的な恋愛等の悩みを描いた物語だったり、特別な能力や現象が出てくるちょっと不思議なお話だったり、ヒロイン自体がファンタジーな展開だったりとバラエティーに富んでいて飽きさせません。

グラフィック

原画家はヒロイン別で、たにはらなつきさん、ちのちもちさん、みつまむさん、かゆらゆかさん、えこさん、鳴海さんの複数体制。
このうちメインとなるのは”たにはらなつき”さんと”ちのちもち”さんで、この2人で全キャラの8割以上を担当しています。
全体的な印象としては、いかにもギャルゲといった感じの可愛らしいデザインで、髪型もバリエーションに飛んでます。というか12人もヒロインがいると表情や髪型が被らないようにするの大変だったでしょうね。

いわゆる”立ち絵”に関しては、ポーズの種類はやや少ないものの、服装が非常に豊富。制服と私服が全キャラにあるのは当然として、その他にもパジャマだったり体操服だったりスキーウエアだったり、キャラによってはスクール水着や巫女服なんかも出てきます。
またこの作品の特徴として、主要キャラには全て”後ろ向き”の立ち絵が存在します。これによって立ち絵を使った”奥行き”が表現できたり、主人公と目を合わせられないヒロインの微妙な心情も演出できるわけですね。

主人公である義之のCGは前髪で目元を隠した昔ながらのもの。でも一部のCGでは目が描かれていて、初めて見たときは「コイツ誰?」と戸惑ってしまいました。

キャラクター

朝倉 音姫
主人公の隣の家に住む朝倉姉妹の姉。本校2年の生徒会長。前作の主人公・朝倉純一と音夢の孫にあたります。
主人公とは「音姉(おとねえ)」「弟くん」と呼び合う過保護な姉さんキャラ。

朝倉 由夢
音姫の妹で付属2年。主人公のことを「兄さん」と呼ぶ、ダ・カーポシリーズ恒例の妹キャラ。
学校では品行方正な優等生だが、家ではジャージ姿でだらけるグータラ娘。

白河 ななか
付属3年で学園のアイドル。前作のヒロイン・白河ことりとは親戚筋。
屈託のない性格でやたらとスキンシップを求めるため、勘違いする男子が多数。

天枷 美夏
由夢とクラスメイトになる謎の転校生。付属2年。
その正体は前作のヒロイン・天枷美春と同系統のロボット。バナナと人間が嫌いなツンデレ。

月島 小恋
付属3年で主人公のクラスメイト。主人公とは小学校時代からの腐れ縁。
幼馴染であるのにもかかわらず、いわゆる”メインヒロイン”ではないというある意味稀有なキャラ。

雪村 杏
同じく付属3年でクラスメイト。ロリ体型で異常なほど記憶力がよい。
小恋や義之をからかって遊ぶのが趣味。

花咲 茜
同じく付属3年のクラスメイト。小恋と杏とは仲が良く、周りからは3人合わせて「雪月花」と呼ばれる。
豊満な体を武器にして義之をからかい、小恋の反応を楽しむ。

沢井 麻耶
付属3年で義之のクラスの委員長。真面目&メガネという典型的な委員長キャラ。
個性の強すぎるクラスをまとめ上げる苦労人。

高坂 まゆき
本校2年で生徒会副会長。音姫の親友で生徒会の実力部隊。
生徒会活動の傍ら陸上部にも所属し、スパッツの似合うスポーツ少女。

エリカ・ムラサキ
付属1年に編入してくる留学生。義之のことを毛嫌いするツンデレキャラ。
1年には見えないほどスタイルが良い。

小鳥遊 まひる
ある条件を満たすことにより、第1部終盤に出会うことができる付属1年の少女。
個性的な例え話を多用する、幽霊が苦手な怖がり屋さん。

アイシア
同じく第1部終盤で出会うブロンド少女。年齢不詳。
前作のアニメ「D.C.S.S」に出てくるキャラと同一人物なので、アニメを見ていたほうがより楽しめるかも。

桜内 義之
本編主人公。前作の主人公純一と同じく、他人の夢を見たり手から和菓子を出す能力を持つ。
前作ヒロイン・芳野さくらの家に居候中。

これ以外にも「忍」と「莉乃」というシークレットキャラがいるため、攻略対象キャラはなんと合計14人の大所帯。
音姫・由夢・小恋・ななか・杏・美夏の6人が無印からの攻略キャラ、茜・麻耶・まゆきの3人がPS版からのヒロイン昇格キャラ、エリカ・まひる・アイシアの3人がPS版からの新規キャラになります。

キャ ラ設定を見ると前作「ダ・カーポ」に出てくるヒロインの設定を踏襲してるキャラが多いですね。ヒロイン以外だと、校医の水越舞佳も前作の水越姉妹の姪とい う設定です。前作ヒロインの芳野さくらは本人がちょっとだけ大人びた感じで登場しますが、攻略ヒロインではありません。(最重要キャラの一人ではありま す)
ちなみにさくら以外の前作キャラは出てきません。さすがにお婆ちゃんになったヒロインは見たくないですね・・・。

杉並や渉といったおバカな男性キャラも良い味出してます。個別ルートではあんまり関わってこないのがちょっと残念ですが。
彼らの通う学園は付属3年を卒業すると、同じ敷地内にある本校1年生になるという設定です。要するに中高一貫校みたいな感じですね。もちろんみんな18歳以上なわけですけど・・・。

ボイス

ひなき藍(音姫)きのみ聖(由夢)野中みゅう(ななか) 立花あや(小恋)遠野そよぎ(杏)
かがみありす(美夏) 三咲里奈(まゆき) まきいづみ(茜)七星友里子(麻耶) 石川佳子(エリカ)
民安ともえ(エリカ)小倉結衣(まひる)桜ちとせ(アイシア)椎名るぅ(忍)つきあかり(莉乃)
北都南(さくら)柚木あずさ宮代ゆず西巻佳代宮川なつき
星咲イリア
皇帝(義之)空乃太陽(杉並)万栗太郎(渉)ヘルシー太郎桐生大地(純一)
春野風

主要キャラフルボイス。主人公の義之にも一応声がつきますが、ごく一部のイベントのみになります。
おなじみの声の方もいれば、この作品がデビュー作という方もいますね。
PC版発売に際しては台詞を全て再録しているらしいので、無印版と聞き比べてみるのも面白いかもしれません。

朝倉姉妹役のひなき藍さんときのみ聖さんはこの作品のためにオーディションで選ばれた新人さんらしいのですが、演技は悪くないと思います。でも残念ながらきのみ聖さんはこれ以降、他作品にはほとんど出演されてないんですよね。
小恋役の立花あやさんも当事新人さんでしたが、まさか後に双子の妹さんがアニソンシンガーとして超売れっ子になるとはこのとき誰が予想できたでしょうか。

ちなみにPS版やアニメ版では一部のキャストが全く別人の方に変更になっています。今ではこういうキャスト変更はほとんどありませんが、当時はそんなに珍しいケースでもなかったんですよね。むしろよく一部残せたなと思わなくもない。
エリカ役の石川佳子さんに関しては大人の事情により、FL以降は民安さんに変更になっています。

男性声優は実力のある方ばかり。特に純一役の桐生大地さんは声と演技が非常に特徴的な名バイプレーヤー。それノーカン!ノーカン!
渉役の万栗太郎さんもアニメでよく聴く声なんですが、なぜかPS版やアニメでは全くの別人に変更になってます。というかもう少し名前何とかならなかったものか(笑

BGM

作中で使われるBGMはバージョンの違いを含め61曲。かなりの量ですね。全体的に明るい雰囲気の曲が多め。
ヒロインそれぞれにメインテーマとなる曲が設定されていて、さらにそれをピアノアレンジした曲もあります。

個人的お気に入り曲は、まったりした時間にぴったりの癒し曲「暖かな時間」、タイトル画面でも流れる落ち着いたピアノ曲「Dreem of Cherry tree」、シリアスなシーンで流れる「冷たい涙」。
あと美夏のテーマ曲「/use/local/bin/banana」の曲名考えた人凄い(笑

主題歌

タイトル作詞作曲編曲備考
「ダ・カーポII ~あさきゆめみし君と~」tororotororoAngel Noteyozuca*OP
「beautiful flower」宇佐美宏宇佐美宏宇佐美宏美郷あきOP
「Especially」くみはし佑宇佐美宏宇佐美宏橋本みゆきOP
「まぶしくてみえない」BABY FACEBABY FACE鈴木マサキyozuca*ED
「Little Distance」RUCCA中野慎也稲田昌宏桃田佳世子ED
「If… ~I wish~」RUCCA宇佐美宏宇佐美宏美郷あきED
「仰げば尊し」風見学園一同ED
「1sec.」ゆうまお太田雅友瀬名瀬名ED
「ラブソングを君に」rino虹音rinoED
「さよならの向こう側で」ゆうまお津上潤也美郷あきED
「Time will shine」原口知己稲田昌宏稲田昌宏Alchemy+挿入歌
「Cloudy」rino末廣健一郎yozuca*挿入歌
「Tomorrow’s Way ~アツイナミダ~」rino虹音橋本みゆきED
「Spring has come」rinorino大久保薫rinoED

ボーカル曲が非常に多いのもダ・カーポシリーズの特徴。オープニング曲だけでも3曲あります。一部のED曲はPS版以降で追加されたもの。
どれも素晴らしく印象に残る曲ばかり。ひとつの作品にこれだけ良曲が揃っているのはなかなかありません。
しかもありがたいことにOP曲以外はFullバージョンで収録されています。逆に言えばOP曲だけshortバージョンなのが非常に残念。CD買えってことですね。

メインの主題歌となるのは3rdOP曲の「ダ・カーポII ~あさきゆめみし君と~」。歌うのはダカーポといえばこの人、yozuca*さん。爽やかさと力強さのバランスが絶妙な名曲です。

「Tomorrow’s Way~アツイナミダ~」は実に橋本みゆきさんらしいスポーティで熱い曲。ワンフレーズ聴いただけで「あ、これ橋本みゆきだ」とわかると思います。正直、ED曲にしとくのはもったいない。

ED曲の1つである「仰げば尊し」はいろんな意味でちょっと反則ですね。卒業式の定番ソングを出演声優”全員で”歌い上げます。これで感動しないわけがない。
しかしどういうわけかこの曲はMUSICモードで聴くことができません。なんで!?

ムービー

OPムービーは3種類あって、それぞれ第1部~3部の冒頭で流れます。
作りはヒロイン紹介を中心にしたシンプルなもの。3番目のムービーに出てくるイベント絵をスナップ写真に見立てた演出は、ヒロインがたくさんいるこの作品ならではですね。

EDムービーはエピローグ前にヒロイン別のムービーが、エピローグ後には共通ムービーが流れます。
これがちょっと問題でして、ヒロイン別のムービーは作中のイベントCGを流すタイプのものなんですが、ED曲がフルバージョンで流れるので凄く長いんですよね。CGもなかなか切り替わらないのでちょっとやきもきしてしまいます。

共通のEDムービーはCGの類はなく、黒地にひたすらキャストとスタッフロールが流れるもの。面白みがない上に、文字のフォントが大きいのでなんだか安っぽく見えてしまいます。もうちょっと何とかならなかったんでしょうか。

攻略

・シナリオ構成
この作品はシナリオ構成がやや特殊です。
まずスタート直後の選択肢(クリパの出し物と、生徒会との関わり方)が最初の分岐点。ここで第1部の大まかなルート(4種類の共通ルート)が決定します。
その後、第1部の選択肢次第で第2部のルート(5種類の共通ルート+2種類(アイシア・まひる)の個別ルート)が決定し、第2部の選択肢次第で第3部の個別ルートが決定します。

こう書くとなんだか難しそうに思えるかもしれませんが、第1部の選択肢では3人の中から1人を、第2部の選択肢では2人の中から1人を選ぶ形になるので、実際にプレイするときは深く考えずに特定のヒロインの選択肢に集中していけば、まず間違いなく狙ったルートに行くことが出来るかと思います。

・選択肢の種類
選択肢のタイプは主に3つ。
1つ目は会話中に出てくる通常の選択肢。わかりやすい内容のものが多いですが、中には選択してみないとわからないようなものもあるので、こまめにセーブすることになると思います。

2つ目は第1部のみにある場所移動選択肢。これは攻略対象キャラがどこにいるかがSD絵のアイコンで表示されるのでわかりやすいと思います。ただしアイシア とまひるに関してはキャラが表示されないので手当たり次第に探すほかありません。第1部の共通ルートには2人しかキャラが表示されないルートが2つあるので、そこを探しましょう。

3つ目は目覚める時間の3択。何を言ってるのかわからねーと思いますが、第1部では作中の日付が変わる際に「次の日いつ 起きるのか(はやい・ふつう・おそい)を選ぶことによって朝のイベントが変化します。一見選びにくそうですが、選ぶ際にバックグランドボイスで「エルニー ニョ絵梨奈の目覚まし予報」(CV七星友里子)がヒントとして流れるので、良く聞いていればわかるかと思います。

・攻略順
これといった推奨攻略順 はないのですが、私の場合は、(小恋、ななか)→(杏、美夏)→(まゆき、麻耶)(茜、エリカ)→(由夢、音姫)→dacapo→alfine→アイシア →まひる→忍→梨乃 の順でプレイしました。カッコでまとめたキャラは第2部でルートが共通になります。

一部のルートにはロックがかかっていて、第2部を3種類以上通過してクリアすると由夢・音姫ルートが開放。音姫・由夢ルートクリアでdacapoシナリオ開放。dacapoクリアでアイシアルート 開放(まひるにはロックがかかっていません)。全12キャラクリアでシークレットキャラである忍・莉乃ルートが解放されます。
さらに全14ルートオールクリアにより、EXTRAモードで出演声優によるインタビューを聴くことができるようになります。

・攻略難度とプレイ時間
メインキャラの攻略難度は易しいと思いますが、アイシア・まひる・忍の3人は場所移動選択肢がほぼノーヒントなのでやや難しいかも。
莉乃に至っては完全ノーヒントな上に正解の選択肢でも莉乃が出てくるわけではなく、第1部終了後に初めて分岐していることががわかるという鬼のような難易度。攻略サイトが無いとほぼ無理です。
しかも莉乃シナリオって正直あんまり面白くないという・・・。

総プレイ時間はゆっくりやって50~60時間程度。一人ひとりのルートが1部から通してプレイするとそれなりに長い上に、何せ14人分なのでオートでプレイするとこれくらいかかってしまうビックボリューム。
時間がなければ第2部が被っている一部のキャラを省略してプレイするのもありかと。一例としては、ななか→杏→麻耶→エリカ→由夢→音姫、といった感じで。本命は音姫ルートだと思ってください。

Hシーン

Hシーンは各キャラ1~2回。内容はあっさりとしたもので、正直あんまり期待してはいけません。モザイクも大きめですし。
まぁ、CIRCUSはエロメインのブランドではないのでオマケ程度と思ってください。

感想

前作である初代「ダ・カーポ」のヒットを受け、満を持して発売された第2作。これにより、CIRCUSといえばダ・カーポ、ダ・カーポといえばCIRCUSというくらいの定番シリーズとなりました。
攻略対象キャラが14人というのは、まぁぶっちゃけ”質より量”といった感じも否めませんが、芯となる物語はしっかり作られているため、作品全体の完成度は高いと思います。

個別ルートとなる第3部は総じてシリアスな展開なのですが、義之が積極的に行動して問題を解決することは少なく、どちらかというとヒロインが自分で殻を破って成長するという展開が多いような気がします。
個人的お気に入りシナリオは、ななか・杏・由夢・音姫・アイシア・まひるシナリオですかね。

序盤のドタバタした学園コメディで笑わせつつ、個性的なヒロインの言動に萌えさせられ、終盤のシリアスな展開で涙し、最後のシナリオ(音姫)で”枯れない桜の木”の謎が明らかになる。そんな学園アドベンチャーの定番展開を惜しげもなく詰め込みつつダカーポシリーズとしての個性も前面に出した作品です。
初心者向けエロゲーを紹介する際には高確率で名前が挙がる永遠の名作といって良いんじゃないかと。

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