2023年夏に放送されたTVアニメ『BanG Dream! It’s MyGO!!!!!』。
1クール物のバンドリアニメとしては都合4作目にあたるわけですが、これがなかなか異色な作品でした。
物語のあらすじを大まかに言えば、5人の女子校生たちがバンドを組んで音楽活動をしていく青春ストーリー。…なんですがこれがとんでもなく重すぎる!
広告からしてこんな感じですからね。
バンドリ!プロジェクトの新作アニメ
— バンドリ! BanG Dream! 公式 (@bang_dream_info) August 3, 2023
アニメ「BanG Dream! It's MyGO!!!!!」
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※駅、及び駅員へのお問合せはご遠慮ください。#バンドリ #バンドリアニメMyGO pic.twitter.com/RhzJSgF0II
バンドリ(『BanG Dream!』)シリーズを知らない方のために一応説明を。
元々 このシリーズは2015年から始まったブシロードが中心になって進めているメディアミックスプロジェクトで、TVアニメ『BanG Dream!』とスマホゲーム『バンドリ! ガールズバンドパーティ!』、及び担当声優さんが実際にバンド演奏をするリアルライブ活動がメインのコンテンツ。
それまでのアニメでもバンドものやアイドルものの作品で中の人の声優さんがステージに立つことはよくありましたが、声優さんに実際にギターやベースなどの楽器を持たせて全曲演奏させるというのは画期的でした。
作品内では9組のバンドが登場しますが、そのうちの6組がリアルバンドとして活動しています。
その中から今回のアニメで主役となるグループが、2022年にリアルバンドとしてデビューした「MyGO!!!!!」(マイゴ)。
それまでのバンドリアニメといえば、いわゆる「ギスドリ」と言われるトラブルやすれ違いがあっても、最後はみんなで乗り越えてライブして大団円という、良い意味で王道的な爽やか青春ストーリーでした。
ところが今作では終始ギスギスした展開の連続。キービジュアルを見てもわかるように、バンドメンバーが全員違う方向を向いているくらいバラバラ。
そんなバラバラなキャラクターたちが織りなす、迷いまくりながら進むストーリーは非常に引き込まれました。
正直見ている側としてもあまり楽しい気分にはならないアニメですが、ギスギスしすぎて逆に先が気になる作品です。
「迷うことを迷わない」というちょっと何言ってるかわからないキャッチコピーも、全編見終わった後だと言い得て妙かと。
監督はバンドリアニメ2期~3期や劇場版を担当したフリーの柿本広大さん。
制作スタジオはサンジゲン。過去のバンドリアニメと同じようにキャラクターは3DCGで描かれます。
3Dといってもディズニー映画のようにヌルヌル動くわけではなく、かなり日本の2Dアニメに近い動きをするのでほとんど違和感はないですね。普段あまりアニメを見ない人が見たら3Dであることに気付かないんじゃないでしょうか。
過去のアニメとは話のつながりがないので、これまでのバンドリアニメやゲームを知らなくても大丈夫。
各種配信サイトで見られますし、ABEMAあたりでちょくちょく無料配信もされているのでまだ見てない方は是非。

| 原作 | ブシロード |
| 監督 | 柿本広大 |
| シリーズ構成 | 綾奈ゆにこ |
| キャラクターデザイン | Craft Egg |
| 制作 | サンジゲン |
| 放映日時 | 2023.6~ |
| おすすめ度 | 80 |
| シナリオ傾向 |
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あらすじ
高1の春の終わり。羽丘女子学園では誰も彼もがバンドをしており、
遅れて入学した愛音も早くクラスに馴染めるよう、急いでバンドメンバーを探す。
そんな中、「羽丘の不思議ちゃん」である燈がまだバンドを組んでいないと知り、
愛音はなんとなく声をかけるが……。
傷だらけで不格好な、私たちの< 音楽 >。
迷子でもいい、迷子でも進め。
シナリオ
シリーズ構成は過去のバンドリアニメも手掛けた綾奈ゆにこさん。
物語は1年の5月という変な時期に羽丘女子学園へ転入してきた千早愛音(あのん)が、校内で流行っているバンド活動をするべく”不思議ちゃん”としてクラスで可愛がられている無口な少女・高松燈(ともり)に声をかけるところから始まります。
最終的にバンドメンバーとなる5人のうち3人が中学時代に「CRYCHIC(クライシック)」という別のバンドに入っていましたが、卒業前にとある事情で解散。その経験が3人の中で重いトラウマとなり、他の2人に対して壁を作ると同時に、物語が進むにしたがって人間関係がこじれてギスギスした展開になります。
愛音たちの通う羽丘女子学園は過去のバンドリアニメにも出てきた学校で、他にも花咲川女子学園や月ノ森女子学園などこれまでの作品と舞台となる世界観は共通しています。
ただアニメ3期からは1年がたっているという設定なので、3期まで羽丘に在籍していたRoseliaやPastel*Palettes等のメンバーの多くはすでに卒業しているためほとんど出てきません。
というかこのアニメはあくまで「MyGO!!!!!」の物語なので、それ以外の過去のバンドリキャラはファンサービス的にちょこっと出てくるだけ。そういう意味でも他のバンドと密接に関わっていた過去のバンドリアニメとは一線を画する作品です。
グラフィック

キャラクター原案はひと和さんと植田和幸さん。
キャラクターの見た目は過去のバンドリアニメの雰囲気とほとんど変わらないですね。キャラデザが多少他のバンドリキャラとかぶってしまうのは仕方ない。50人くらいいますし。
メインキャラの表情のアップや一部のサブキャラ以外は基本的に3DCGで描かれます。
複数のキャラが歩いているシーンなどは変に動きが規則正しいのでゲームのキャラっぽい動きになってしまうこともありますが、それ以外ではほとんど違和感もなく自然に見えますね。
2Dシーンと3Dシーンとのつなぎも非常にスムーズなので、普通に見ている分には切り替わったことに気付きません。
ライブシーンでは画面が360度ぐるっと回るような、3DCGならではのダイナミックなカメラワークが見られて臨場感も爆上がり。
3Dアニメが出始めた2010年前後の作品では「いかにもCG」という感じの不自然さがありましたが、3D技術もこの10年ほどで凄く進化しましたね。
キャラクター

高松 燈(ともり)
ボーカル・作詞担当。羽丘女子1年。元「CRYCHIC」メンバー。
口数が少なく内気な少女。子供のころからノートに詩を書き溜めている。
落ちている石ころを集めたり、極端にコミュニケーションが苦手だったり、ペンギンや星など好きなことに関しては突然一方的に語りだしたりと、意図的にちょっと発達障害のあるようなキャラとして描かれてる感じ。
千早 愛音(あのん)
サイドギター担当。羽丘女子1年。
明るくて成績優秀、コミュ力も高く活動的な少女。人間関係に目ざとく、転校直後も上手く立ち回って友達を増やす。
自分が目立つために行動するあざといキャラですが、実はメンバーの中では一番の常識人。この子がいないと話が回らない。
要 楽奈(らーな)
リードギター担当。花咲川女子中等部3年。
超マイペースで気まぐれだがギターの腕は天才的。ふらっとライブハウスに現れて勝手に演奏を始めたりする。
それまで他のバンドメンバーとのつながりは一切なく、たまたま「おもしれー女」である燈を見つけ強引に加入。
実は過去のバンドリアニメに出てきたとあるキャラの血縁者。
長崎 そよ
ベース担当。月ノ森女子1年。元「CRYCHIC」メンバー。
見た目はやさしく包容力のある少女だが、前のバンドのことがあきらめきれない。
解散した「CRYCHIC」のメンバーと何とか繋がりを保とうとするが…。
椎名 立希(たき)
ドラム・作曲担当。花咲川女子1年。元「CRYCHIC」メンバー。
一匹狼の気質で、ライブハウス「RiNG」のカフェでバイトをしているが接客は苦手。口癖は「は?」。
誰に対してもキツイ態度をとるが、燈に対してのみ優しく心から心配している。すべての行動原理は燈のため。
この5人がメインのバンドメンバー。名前が初見で読みにくいのは時代を反映してますね(笑
この他の主要なキャラは、”前のバンド”である「CRYCHIC(クライシック)」の元メンバー豊川祥子(さきこ)と若葉 睦(むつみ)。この7人を中心にして序盤は話が進みます。
「CRYCHIC」と「MyGO」のメンバーがかぶっている上に、通っている高校も違う(しかも中学と高校で別だったりもする)ので始めのうちは人間関係が把握しづらいところがあります。ただでさえ年取ってくるとキャラの名前覚えるの苦労するのに…。
まぁ登場人物が6バンド30人出てきた過去のバンドリアニメよりはマシかもしれませんけど。
ボイス
| 羊宮妃那(燈) | 立石凛(愛音) | 青木陽菜(楽奈) | 小日向美香(そよ) | 林鼓子(立希) |
| 高尾奏音 | 渡瀬結月 | 岡田夢以 | 佐々木李子 | 米澤茜 |
主人公である燈を演じるのは青二の次世代エースともいわれる羊宮妃那(ようみやひな)さん。ちょっと鼻にかかるようなやさしい声が印象的です。『着せ恋』や『僕ヤバ』、『推しの子』など最近様々なアニメでよく耳にするようになりましたが、一声聴いただけで判別できるほど特徴的な声ですね。
なんでも羊宮さんはオーディションの時に自作の歌をアカペラで披露したほどこの役にかけていたそうです。
その他は若手を中心としたキャスティングで平均年齢は二十歳ちょい。まぁバンドリ声優はどうしてもバンド活動にかかりっきりになるので、ぶっちゃけ無名の若手声優さんが多くなりますね。
聴いた感じでは演技のほうもほぼ問題ないかと。とびぬけたベテランもいなのである意味バランスが取れています。
主題歌
| タイトル | 作詞 | 作・編曲 | 歌 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 「壱雫空」(ひとしずく) | 藤原優樹 | hisakuni | MyGO!!!!! | OP |
| 「栞」 | 織田あすか | 藤田淳平 | MyGO!!!!! | ED |
| 「春日影」(はるひかげ) | 織田あすか | 藤田淳平 | MyGO!!!!! | 劇中歌 |
| 「碧天伴走」(へきてんばんそう) | 藤原優樹 | 木下龍平 | MyGO!!!!! | 劇中歌 |
| 「詩超絆」(うたことば) | 藤原優樹 | 横地健太 | MyGO!!!!! | 劇中歌 |
| 「迷路日々」(メロディー) | 藤原優樹 | 松坂康司 | MyGO!!!!! | 劇中歌 |
| 「迷星叫」(まよいうた) | 藤原優樹 | 長谷川大介 | MyGO!!!!! | 劇中歌 |
バンドリといえばオリジナルの楽曲。
これまでバンドリの曲といえばElements Gardenがメインとなって作っていましたが、今回は「栞」と「春日影」以外はSUPA LOVE(スーパーラブ)というクリエイター集団が担当しています。言われてみればこれまでのバンドリ楽曲とちょっと違う気もしますね。キーボードがいない代わりにギターが2本というシンプルな楽器構成が影響してるのかもしれませんけど。
ヘッドホンで聴くとちゃんと左右で違うギターが奏でられているのがわかっていいですね。
歌詞や曲調も、なんというか非常に”エモい”仕上がりの曲になっています。これはちょっとクセになりそう。あとタイトルが読めない(笑
「壱雫空」はOP曲らしい前向きで勢いのある曲。それに加えて羊宮さんの良い意味で頼り無さげな声が不思議なエモさを感じます。
過去のバンドリアニメの例にもれず、このアニメでも劇中歌はすべてライブシーンで演奏されます。
ただこれまではライブといっても曲のショートバージョンしか歌われないことが多かったのですが、今回ではほとんどの曲がフルバージョンで演奏されます。
なかでも印象的なのが7話で演奏された「春日影」。
これは3話で”前のバンド”であるCRYCHICが演奏していた曲のMyGOバージョンですが、同じ曲でありながら楽器編成とメンバーの状況が異なっているので、曲の印象や歌詞から伝わるメッセージの意味が全然違って聞こえます。
この曲を演奏することにより、新たな居場所を見つけてしまった燈たちが結果としてCRYCHICと完全に決別することを祥子に見せつけるという、ある意味残酷なシーンです。そりゃそよさんもキレるわ。
ムービー
OP映像はこれまでのバンドリアニメでも主題歌に合わせて演奏シーンが流れることはあったものの、大抵は冒頭とサビの部分のみでその他はイメージビデオっぽい作りでした。
ところが今回は全編MyGOによる演奏シーンです。
しかも奏者がアップになるシーンでは一瞬ぼやけてからピントが合ったり、ちょっと映像がぶれたりと、まるで1台のカメラで”撮影”をしているかのような演出になっています。
物語本編ではバラバラなメンバーたちが、OP映像では互いにアイコンタクトしながらみんな笑顔で演奏しているというギャップがいいですね。まさに燈の望む理想のバンドという感じ。
感想
「一生、バンドしてくれる?」
バンドリアニメだからまたキラキラドキドキのアニメになるのかな~と思ったらとんでもない重量級のアニメでした。
個人的にこういうギスギスアニメも大好物です。
始めのうちは人間関係がつかみにくいので入り込めないところもありますが、3話あたりからキャラクターがつかめてきてだんだん面白くなりますね。
一応この作品の主役はボーカルの燈だと思うんですが、序盤で主人公ムーブをするのはギターの愛音。むしろ愛音がいなかったらMyGOは生まれませんでした。というか普通のアニメなら愛音が主役ですよね。
引っ込み思案で一人の世界にこもりがちな燈に対して、非常にコミュ力が高く行動的な愛音。
序盤では愛音が燈を仲間に引き込もうとしますが、中盤以降は立ち位置が逆になります。改めて全編一気見するとこの対比が良くわかりますね。
また楽奈(らーな)というリードギターの子も性格的にはいかにもアニメっぽいマイペースキャラですが、この子も何気に今までのバンドリアニメにはいなかった立ち位置のキャラです。
これまでの作品ではキャラクターがグループへ加入するときって、だいたい主人公やリーダーのキャラが出会って「一緒にやろうよ!」とか「あなたの才能が必要だわ」みたいな感じで勧誘するケースがほとんどでした。
ところが楽奈の場合はたまたまライブハウスで見かけて、たまたま楽奈が燈のことを「おもしれー女」と興味を持って承諾も得ず勝手に加入するという、絆もなにも無いメチャメチャあっさりしたものとなっています。いいのかそれで?(笑
でもそんな楽奈だからこそ重要な立ち回りを演じることができた10話は正に神回。私もまさかバンドリで泣かせられるとは思いませんでした。
10話のライブシーンは公式チャンネルからも配信されていますが、さすがにアニメ未見の人は見ないほうがいいと思います。あれはそれまでの積み重ねがあったからこそ感動できるシーンだと思うので。

バンドリアニメといえば、どちらかというとバンドやCDの宣伝のために作られたプロモーションアニメの側面があるのはいなめません。今回のアニメでもそういう面はもちろんあるのでしょうが(アニメの円盤もまだ発売されてませんし)、普通にアニメ作品としても見ごたえのある物語になっています。
『ぼっち・ざ・ろっく!』みたいな明るいバンドアニメからは対極にある作品ですが、たまにはこういう心にズシンとくるアニメもいいですね。
『キラ☆キラ』とか『MUSICUS!』みたいなエロゲが好きな人におすすめの作品です。
ちなみに新たなバンド「Ave Mujica」をメインにした続編アニメも決定しています。こちらも非常に楽しみ。
パッと見イロモノバンドに思えますが、メチャメチャカッコいいですね。Roseliaと似ているようで違う、怪しさと神秘さ満載の世界観が素敵。
アニメとリアルの融合した構成が正にバンドリという感じです。パンツマスクとか言っちゃダメ(笑


