2020年代作品美少女ゲームレビュー

エロゲーレビュー『ディメンション凸ラバース!!』(CRYSTALiA 2026年)

私がこういうエロゲブログを書く上でマイルールが一つあります。それは、

「面白い」というワードをなるべく使わないこと。

「面白い」って言葉は便利すぎてついつい多用してしまいがちなんですよね。この作品面白い、このルート面白い、このシーン面白い――、でも多分それだと面白さが正確に読み手に伝わらない。
個人の感情の発露として「面白かった!」というならともかく、作品の特徴や感想を書く場合はなるべく「面白い」という言葉を使わずに面白さを伝えたいな、と思いながらブログを書いてます。

それを踏まえたうえであえて言わせてもらえれば、

「とつラバ面白れえええぇぇぇ!!!!!」


というわけで今回紹介する作品は『ディメンション凸ラバース!!』。「ディメンョン」「ラバー」ではないので注意してください。また正式名称のときは「凸」は読みません。「つのだ☆ひろ」さんと同じ方式ですね。
ちなみに略称は「とつラバ」。こっちは「凸」読むんだ(笑

どんな作品?

この作品は2026年4月に発売するや否や、その面白さがSNS等の口コミで評判となりパッケージ版は2次出荷分まで完売。急遽3次出荷までされました。ErogameScapeの中央値も現在90点を記録している、おそらく2026年上半期一番のヒット作なんじゃないかと。

制作ブランドはAMUSE CRAFT系列の「CRYSTALiA」。ここは過去に『絆きらめく恋いろは』や『RE:D Cherish!』など近未来の世界を舞台に可愛らしい女の子たちが戦う「バトルもの」の作品をメインに制作しているブランドです。今回もブランドの作風に沿ったCRYSTALiAらしい作品となっています。

どんな特徴?

今作は現実の世界とは違う歴史をたどった近未来の日本が舞台。200年前に突如現れた「黒列車」とそこから現れる「怪獣」により人類のほとんどが死に絶えたなか、日本だけは特殊な能力を持つ”学園”によって怪獣と戦いながら、唯一復興を果たしているという世界観。
主人公は”学園”と敵対する魔術師一家の一人・崩月えんじゅ。父親の命令で”学園”に潜入したその目的は学園最強の生徒会長・夜乃桜を暗殺することだった。
――という学園バトル&潜入ミッション物語になります。

この作品の魅力は何といっても主人公を含めた学園生たちの戦い。特殊な能力を発現する武器B.E.G.ベグ」を用いて敵と戦うバトルシーンはまさに激熱!
さらに謎めいた組織である”学園”や、それと対立する魔術師一家”崩月家”、世界を破滅させた”黒列車”の秘密を主人公たちが解明していくミステリアスな要素もあります。

どんな人向け?

怪獣との戦いは『チェンソーマン』や『怪獣8号』を彷彿とさせますし、学園異能力バトルとしては『とある科学の超電磁砲』や『魔法科高校の劣等生』と方向性が似ています。このあたりの漫画やアニメが好きな人には特におすすめ。

何より独自用語がたくさん出てくる世界観や、異能力を駆使した熱い戦闘シーン、暗躍する謎の組織など、男の子の好きな要素がふんだんに詰まった作品になっています。なのでそういった中二設定や熱く燃えるバトル作品を愛する人にはたまらない作品かと。

推奨ポイント
  • 能力を上手く使った熱い戦闘シーン
  • 徐々に明らかになっていく謎や秘密
  • 全く異なる展開となる個別ルート
注意ポイント
  • 絶対的な悪役がいない
  • 独自用語満載の中二設定
  • 日常シーンが少なめ
ブランドCRYSTALiA
ジャンルADV
初回発売日2026.4.24
DL版価格10,780円
シナリオ逢縁奇演
原画ぺろ 狐ノ沢
鈍色玄 蒲磁れん
おすすめ度85
シナリオ傾向

購入ガイド

タイトル対応OS発売日入手難度
ディメンション凸ラバース!! 豪華版112026.4.24
ディメンション凸ラバース!! (通常版)112026.4.24

パッケージには豪華版と通常版があります。
豪華版にはタペストリー・サントラCD・アクリルキーホルダー4種・設定資料集・ボイスドラマDLカードが付属。現在は当然のようにプレミア化し、中古ショップで7~8万円前後の値段がついています。

今から買うなら通常版パッケージを推奨。一部の店舗では通常版でも独自の店舗特典が付きます。
(Amazon:アクリルフィギュア+ボイスドラマ 駿河屋:アクリルパネル+複製色紙 など)
中古価格もまぁまぁの値段がするので新品にしましょう。一時期品薄でしたが現在は普通に購入できるはずです。

DL版はFANZA独占。通常版以外に+1100円でボイスコンテンツが付属した豪華版も配信されています。(ボイスコンテンツだけで豪華版?と思わなくもない)
CRYSTALiA作品は比較的セールになるのが早いですが、この作品はさすがに発売されたばかりですし、今でも売れまくっているので当面大きな割引にはならないかと。ちょっと前に5%OFFになりましたがせいぜいそのくらい。
それにしても最近のエロゲは通常版でも当たり前のように1万円超えてきますね。

使い勝手の良いシステムとTIPS機能

画面サイズは1280×720。
基本的に画面下にテキストが表示される通常のADVスタイルですが、一部のシーンでは全画面にテキストが表示されます。

バックログからのシナリオジャンプやボイス登録機能など、昨今のエロゲにみられるシステムはだいたい搭載しているので使い勝手は良いかと。

セーブやロード等のメニュー画面はマウスカーソルを画面右端に持って行くと現れます。アイコンも大きいので使いやすいですね。ただ自分はマウスカーソルを普段から右端に持って行く癖があるので、慣れるまで正直やりにくかったです(笑

この作品ならではのシステムとして独自用語を解説したTIPS機能が充実しています。
デフォルトの設定ではテキストに新たな用語が別ウインドウで1行ほどの解説が表示され、システムメニューのTIPS画面ではその詳細な解説も読むことができます。
普通に物語を進める分には簡単なTIPSウインドウで十分なので、詳細な解説はゲーム終了時等にまとめて読んだ方がテンポが悪くならないかと。

ラノベ作家ならではのシナリオ

シナリオライターはラノベ作家である逢縁奇演(あいえんきえん)さん。この方はラノベ『こちら、終末停滞委員会。』(略称『こちまつ』)の作者さんで、『とつラバ』とも一部の用語が共通しています。ストーリーは別物ですが世界観や作風は似ているので、この作家さんが好きな人は問題なく『とつラバ』も楽しめるかと。
実は私も『とつラバ』の前に読んでみたんですが、正直ラノベとしては『こちまつ』のほうが”濃い”ので慣れるまでちょっと大変でした。なので両方読みたい方は先に『とつラバ』を読んだ方がいいかもしれません。

『とつラバ』の物語は、200年前に現れた謎の敵「黒列車」とそこから現れる「怪獣」によりほとんどの国が絶滅した近未来の日本が舞台。日本では”学園”と呼ばれる組織が特殊能力を発現する武器「B.E.G.ベグ」を用いて怪獣を撃退しながらある程度復興していて、たまに現れる怪獣を駆除しながら市民が生活を続けている、という世界観です。
そんな中、主人公であり”学園”と敵対する魔術師の家系でもある崩月槐が、父親の命令で学園の生徒会長を暗殺するために”学園”に生徒として潜入するところから物語は始まります。

”学園”というのは見た目は普通の学校ですが、中身は対怪獣の兵士育成機関。通っている少年少女たちはそれぞれB.E.G.を持ち、怪獣と戦うために勉強と訓練を続けています。固有名詞を持たず、作中でも「”学園”」というダブルクォーテーション付きで呼ばれる特殊な組織です。
ただ学生たちの生活は一般の学校とあまり変わらないので、学園モノとしての雰囲気も十分味わえるかと。

テキスト中で気になったこととしては、セリフ中に笑いを表す「w」がよく使われます。
正直これは好みが分かれるかもしれません。ラノベではたまにありますが、エロゲ作品ではあんまり使われないですよね? ボイスがあれば笑ってることはわかるわけですし。これもある意味ラノベ作家さんならではの味かも。

特に華淡が「w」を多用します

B.E.G.を上手く使った戦闘シーン

そしてこの作品の魅力である戦闘シーン描写。
これがもう非常に熱くて勢いがあるのでのめり込めます。いい意味で「これが見たかった」という激しい戦闘が繰り広げられるので見ている方も熱くなれるんですよね。

ソフィアのB.E.G.「薔薇の盟約(ウェット・ジョブ)」

特に学園生の持つB.E.G.を使った戦いが非常にうまい。
B.E.Gというのは原則1人につき1つしか与えられないので各人の能力も基本的に1種類しかないのですが、1つの能力でも工夫を凝らして様々な使い方をするので飽きさせないんですよね。

例えば主人公の使うB.E.G.は「ダンス・ノーツ」と呼ばれる触れた相手を5メートル弾き飛ばす能力なんですが、単に直接敵に使うだけではありません。その辺の物を飛ばして飛び道具にしたり、壁を背にした相手をたたきつけたり、味方に使って敵の攻撃をかわしたり、自分に使って移動手段にしたりもします。毎回のように「その能力をそう使うのか」という驚きが味わえるので単調になりません。
もちろん戦闘シーンではキャラクターたちが能力名を叫んで戦います。これはもうお約束ですね。

ただ戦闘シーンそのものは熱いんですが、ストーリー上の難点も。
というのもこのB.E.G.の設定っていわゆる「必殺技」がないんですよね。(一応全くないわけでもない)
「ダンス・ノーツ」や「トラウマコア」というのはあくまでB.E.G.の名前なので、結構頻繁に叫ぶんですよ。1度の戦闘で何度も使うので、ちょっと軽いイメージになってしまうかも。
『Fate』のセイバーで言えば剣を振るうたびに「エクスカリバー!エクスカリバー!」言ってるようなもの。個人的にはここぞというときに溜めて叫ぶ方が好みです。

統一感と個性のあるグラフィック

原画・キャラクターデザインは”ぺろ”さん(桜)、狐ノ沢さん(華淡)、鈍色玄さん(ソフィア)、蒲磁れんさん(水仙)、SD原画に白恵りえさんのキャラ別担当制。 それぞれキャラごとの個性を出しつつ、全体として統一感のある理想的なキャラデザです。髪型や髪色も派手目で個性的なので、パッと見で分かりやすい見た目をしていますね。

CG枚数はイベントCGが90枚、SD絵が5枚。思ったよりもSD絵が少なめ。そもそも日常シーンが少ないからかも。
ヒロインだけでなく(主人公を含めた)男性キャラもイベントCGでは描かれます。

イベントCGはどこかアナログ感のある、ラノベの挿絵にありそうな画風です。
また塗りは陰影のはっきりした、アニメチックな彩色になっていますね。
戦闘シーンではちょっと暗めのCGが多いですが、躍動感のあるダイナミックな構図になっています。

華淡のB.E.G.「赤刀(トラウマ・コア)」

ヒロインの太ももがややムチムチっとしているのも特徴的。某ライザほどではないですが。
各ヒロインはそれぞれ二―ソックス的なものを履いているので余計に太ももが強調されます。

ヒロインの制服も統一感と個性のバランスがいい。
基本的には白をベースにしたジャケットに黄色のタイ、水色の襟やスカートといった要素は共通ですが、タイの形は学年によって違いますしそれ以外もかなり個人によってアレンジされています。
色や雰囲気は統一されていながら細部で個性をだすという、アイドルグループの衣装みたいになってますね。

左からソフィア(2年)、桜(3年)、華淡(1年)

少数精鋭の登場キャラクター

夜乃 桜”学園”の3年生であり最強の生徒会長。
戦闘力と実務能力は並外れているが、物静かで友達は少なく、他人の気持ちを考えるのが苦手。
保有B.E.Gは対象の時を止める巨大なパイルバンカー「瓦礫を見ろ(ウィドウ・メーカー)」。
海漫かいまん 華淡かたん”学園”の1年生で主人公のアパートのお隣さん。華淡しか勝たん。
ネットスラングを多用する今どきのギャル。常にテンション高めで友達も多くコミュ力も旺盛。
保有B.E.G.は対象をバラバラにしたりくっつけたりもできるチェーンソウ「赤刀(トラウマ・コア)」。
ソフィア・ランカスター主人公のクラスメイトで英国人街に住む貴族の少女。
ですわ調の口調で面倒見が良い。勉強もでき戦闘力もあるため生徒会で桜の補佐をする。
保有B.E.G.は自分や味方が傷つけられると数が増えるレイピア「薔薇の盟約(ウェット・ジョブ)」。
崩月ほうづき 水仙主人公の妹で自称「妹忍者メイド」。家族思いで、特に槐には絶大な信頼を寄せる。
学校には通わず、父親の命令で兄である槐を四六時中監視する。
学園生ではないのでB.E.G.は持たないが、魔術道具である妖刀「残響」を用いて戦う。
崩月 えんじゅ人類の敵である魔術師一家の次男。妹の水仙を溺愛するシスコン。
ずっと一人で研究を続けていたため他人との距離感がわからないが、性格は明るくて前向き。
父親の指示で”学園”に潜入する。
保有B.E.G.は対象の性質を変える万能の万年筆「手紙と祈り(クレバームーン)」と、対象を物理的に5m飛ばすグローブ「ダンス・ノーツ」。

主要キャラはこのほかに槐の父の桧木、兄の清楓、クラスメイトの羽鳥ミオ、教師の森道、AIのN.a.v.i、基本的にこのあたりを中心に物語は進みます。燃えゲーとしては少ない方でしょうか。ただすべてのキャラが物語に深く関わってくるので少数精鋭という感じですね。

個人的お気に入りキャラはクラスメイトであり槐の初めての友達でもある羽鳥ミオ。
コミュ障なのに必死で槐と友達でいようとする姿がいじらしい。お互いに恋愛感情がないのも逆にいいんですよ。そんな2人を温かく見守っているクラスメイトの雰囲気もすごく良い。
ていうかなんでミオルートがないの? CRYSTALiAさんFDではぜひミオルートを! 

若手と中堅のミックスしたキャスト

北大路ゆき(桜)みたかりん(華淡)葉月ひかり(ソフィア)しましまはかせ(水仙)
七種結花桃山いおん
丸芽伊ず(槐)梅小路ピンポン佐藤涼樹

主人公以外フルボイス。
主人公である槐は特定のイベントで声の付くパートボイスになっています。

キャスト陣は北大路ゆきさんをはじめとする中堅組と、葉月ひかりさんのような若手組に分かれている感じ。もちろん演技には問題ありません。だんだんと2020年以降にデビューされた声優さんも増えてきましたね。

槐役の丸芽伊ずさんはあまりキャリアのない方みたいですが、演技も声質も槐にぴったりのキャラです。むしろなんでフルボイスにしなかったんだろう?
槐に声が付くと「これから重要なシーンだな」という合図になるので、わかりやすいっちゃわかりやすいんですが。

ちょっと細かいことを言えば、セリフの誤読が少々ありました。
る」を「おもんばかる」とか「他人事ひとごと」を「たにんごと」と読むのはこっちも一般的だからいいとしても、「封建社会」を「ふうけんしゃかい」と読んだり、文脈的に「細々こまごま」となるべきところが「ほそぼそ」だったりするのはさすがに気になります。声優さんがというより、スタッフさんがちゃんとチェックしてほしかったですね。誤字はともかく誤読は気付きやすいと思うので。
まぁ誤読があるたびにボイス登録している私もどうかと思いますが。

近未来感のあるBGM

MUSIC MODEで聴けるBGMはボーカル曲を除くと30曲。作曲は音楽ユニットNeko Hacker。
物語に合わせて激しい戦闘曲が多め。全体的に1分~2分くらいの短い曲がほとんどです。
打ち込みの曲が多く、どことなく近未来感もありますね。

個人的お気に入り曲は、
敵と邂逅したときに流れる「INCREASING ENTOPY」。勇ましい曲前半から曲調が変わり未知の強敵感のある曲後半が熱い。
同じく戦闘シーンで流れる「RAPID OPTIMIZER」はまるで次はこちらのターンと言わんばかりの攻めの曲。
戦闘終盤で流れる「NOBLE ALIGNMENT」はまさに勝ち確BGM。仲間ともぎ取る勝利への道、という感じ。ソフィアの「薔薇の盟約(ウェット・ジョブ)」にぴったりの曲です。

主題歌は歌詞に注目

タイトル作詞作編曲備考
「DIMENSION TRAVERSE!」Neko HackerNeko HackermochariOP
「IF*Else」Neko HackerNeko HackermochariED

ボーカル曲を歌うのはmochari(もちゃり)さん。
OP曲「DIMENSION TRAVERSE!」は静かさと激しさの混在するメリハリのある楽曲。サビ以降の激しさはまさに燃えゲー主題歌といった感じ。歌詞の内容が思いっきりエピローグのことを言っているので、プレイ後に聴くと感慨深くなります。「DIMENSION(次元)」 を「TRAVERSE(横断する)」というタイトルもいいですね。

ED曲「IF*Else」はメインテーマBGMのボーカルバージョン。
激しめの曲調にバラードのような優しいボーカルが付くというギャップが印象的。
聴きなれた曲にボーカルが付くと「ここはそうなるんだ」という不思議な感動がありますね。
「君がいる それだけでいい」という冒頭をはじめ、歌詞全体がすべてのルートに当てはまるEDにふさわしい曲です。

ボーカル曲はMUSIC MODEでフルバージョンを聴くことができます。
OP曲はYouTubeでも配信されていますが、映像が超絶ネタバレなので注意。

激しくて熱いOPムービー

プロローグの後にOPムービーが流れます。ムービー制作は映像クリエイターのNabehiroさん。
所々デジタリックで近未来感のあるムービーですね。使われているイベントCGは戦闘シーンの物が多く、曲調に合わせて激しめに入れ替わる燃えゲーらしい構成です。
シナリオ分岐を示すかのような複雑に絡み合ったラインが伸びていくシーンもこの作品らしい。
立ち絵やCGは(ネタバレとまではいかないものの)一部シナリオ後半の物も使われているので、あまり注意してみないほうがいいかも。

冒頭に「Project “DIMENSION”」とあるのはシリーズ化が前提ということでいいんですよね?

攻略順は桜を最後に

桜のB.E.G.「瓦礫を見ろ(ウィドウ・メーカー)」

共通ルートラストに出てくる1回の選択肢でその後の個別ルートが分岐します。
選択肢の内容が一見わかり難いのですが、選んだ直後に出てくる立ち絵のキャラがそのルートを表しています。

個人的推奨攻略順は、

水仙 → ソフィア → 華淡 → 桜

公式の推奨順は華淡が一番最初になってますが、正直華淡はかなりクリティカルな秘密が明かされるうえに、シナリオ展開もやや突飛なので後に回したほうがいい気がします。
水仙とソフィアの順番はお好みで。ただ桜は必ず最後にしてください。このルートで黒幕の目的が明らかになります。

総プレイ時間はオートモードでゆっくりやって35~40時間くらい。
初回プレイが12~13時間くらい、2周目以降の個別ルートが6~7時間くらいでしょうか。
最後のシナリオは2~3時間くらいで終わるので、中断せず一気にプレイしましょう。

ASMRのようなセリフのHシーン

水仙のひとりH

シーン回想で見られるHシーンは全部で15回。
内訳は桜が3回、華淡が5回、ソフィアが4回、水仙が3回。
華淡が多いですが、これは本番行為のないものも含みます。

行為自体はオーソドックスなもので変なプレイはほぼありません。
1回だけ避妊具を使いますが、他はほとんど膣出し。セリフ中の卑語は消音・伏字による修正が入ります。

この作品への評価として「HシーンがASMRみたい」という感想をよく見かけます。
特に前戯や口でするシーンにおいて、まるで声優さんがプレイヤーに語り掛けるようなセリフが続くのが特徴的。
私はASMRというものをほとんど聴かないのでよくわからなかったんですが、なるほど、これがASMRなんですね。確かに一般的なHシーンと比べると、ちょっと脳をくすぐられるような不思議な感覚になります。これはこれで結構いいですね。

感想

おそらくエロゲー界隈の2026年上半期においては最も話題になったこの作品。
私自身、絶賛されているのを知ったうえでプレイしたんですが、評価にたがわずメチャメチャ熱くてのめり込める作品でした。
いい意味で「こういうのが好きなんでしょ?」という王道的な要素をうまく詰め込んだ作品ですね。メッセージ性とか感動要素とかそういったものをあえて外して、「面白さ」にこだわったエンタメ性特化の作品だからこそこれだけ高評価だったのだと思います。

コンパクトで濃密な物語

水仙の武器・妖刀「残響」

『とつラバ』という作品は、言ってみれば「面白い」と思われる要素を(おそらく意図的に)ふんだんに取り入れた作品です。物語は一部を除けば変にひねらず王道的で、いい意味で予想を裏切らない展開なんですよね。

キャラクターの数が多すぎず少なすぎずなのも丁度いい。
ヒロインは4人、サブキャラ含めても10人以下なので関係性がわかりやすい。しかもすべてのキャラがちゃんとストーリーに絡んでくるので無駄がないんですよね。さらにそれぞれキャラが立っていて個性的なうえに、目的もハッキリしているので動きによどみがない。

この種のバトルものの作品はえてして物語が長くなりがちですが、この作品はプレイ時間が長すぎず短すぎないのでプレイしやすいのも良いですね。
物語がコンパクトにまとまっていて余計なイベントがほとんどないのも特徴的。非常にテンポが良く、特に個別ルートの後半以降はやめ時が難しいほど一気にプレイできます。

またバトルものの作品でありながらあまり重要でない戦闘シーンを思い切ってカットしている場面もちょくちょくあったりするんですよね。特に個別ルートではこれが顕著で、大きな戦いは基本的に各ルートで1回しか行われません。それ以外の戦いはあったとしてもあっさり目。これによって戦闘シーンで間延びすることなくシナリオ全体がコンパクトにまとまっています。だからすごく読みやすくて濃密。

日常シーンも少なめで、無駄なシーンがほとんどありません。ほとんどのエピソードが1本につながっています。長編エロゲーにありがちな、話が進まなくてダレてしまうシーンがないんですよね。それでいて個別ルート前半ではちゃんと恋愛要素も含んでいるという、メリハリの利いたテンポの良い物語構成になっています。
この辺が人気の理由にもなっているのかも。

徐々に明らかになる全体像

またこの作品は謎の明かし方が非常にうまい。別に何かびっくりするような仕掛けがあるわけではないのですが、非常に先が気になる物語なんですよね。

特に4人のヒロインの個別ルートではそれぞれ何かしらの秘密が明かされます。話を進めていくに従い学園や黒列車、そして各キャラクターの思惑が明らかになっていきます。そうやってパズルのピースをはめていくうちに、だんだんと物語の全体像が見えてくる。こういうのは複数ルート前提のゲーム媒体ならではの物語構成ですね。

各ルートで様々な人間の意志や目的を知り、戦いを経験しているからこそ、最後のルートでの盛り上がりにもつながっていくんですね。
全ての力を結集するラストバトルは、まさにこの種の作品ならではの熱さを感じました。

『とつラバ』が合う人合わない人

ただこの作品をプレイした人の感想や批評を見ていると、「自分には合わなかった」「期待したほどではなかった」という意見もしばしば見かけます。正直そういう人がいるというのもなんとなくわかるかも。

この作品って良くも悪くもエンタメ性に極振りしているので、『Fate』や『マブラヴオルタ』みたいな重厚な作品を期待すると肩透かしを食らうかもしれません。

それは戦闘シーンにも表れていて、『とつラバ』って基本的に主人公側が敗北することが少ないので、ちょっと緊張感に乏しいところがあるんですよね。「どうせ最後は槐が勝つんだろ」みたいな醒めた目になってしまうとちょっと楽しめないかも。
「勝つか負けるか」ではなく、「どうやって勝つか」に注目した方がこの作品を楽しめるかと。

またこの作品は敵キャラにインパクトが足りないところもあります。『Fate』のギルガメッシュや『Dies irae』のラインハルトのような圧倒的な存在感を持つボスは出てきません。
『とつラバ』では敵には敵の目的や正義があるので、良くも悪くも相手に同情してしまうんですよね。「そういう事情があるなら対立するのも仕方ないよね」「あいつもあいつで頑張ってたんだな」みたいな。逆にそれが敵キャラの魅力ではあるんですが。

加えて世界設定やストーリー展開が実に漫画チックなので、「実は主人公が特殊な能力を隠し持っている」とか「学園の生徒会が街の治安を守っている」みたいな、ある種ベタで中二病的な設定に恥ずかしさを感じる人は楽しめないかもしれません。漫画やラノベを卒業して大人になってしまった人には合わないかも。

そこで思い起こすのが現在(2026年8月)TBSで絶賛放映中の人気ドラマ『VIVANT』。このドラマも好きな人とそうでない人にハッキリ分かれるんですよね。
『VIVANT』って一見うだつの上がらないサラリーマンの主人公が実は特殊な訓練を受けた工作員で世界を股にかけて敵対する組織の陰謀を暴いていく、という男の子の妄想が詰まったある種ベタな作品です。私はこういうのが好きで毎週欠かさず見てるんですが、正直なところあまり大っぴらに「今週の『VIVANT』見た?」と周りに言うのはちょっと恥ずかしかったりするんですよね。ドラマの完成度はすごく高いんですけど。

逆に言えばこういう「男の子の好きなものが詰まったもの」を心から楽しめる人向けの作品であるともいえます。多分ですけど『VIVANT』が楽しめる人は『とつラバ』も楽しめるんじゃないかと。どちらも大の大人が恥ずかしがらずに全力で面白さを追求した作品です。

次元を超えた恋

そして最後のエピローグ。これ私めっちゃ好きな終わり方でした。
一見するともの凄くご都合主義的に見えますが、科学的・数学的には十分あり得るというか、ほとんど確実に起こりえるとも言えるんですよね。(以下具体的なネタバレはしませんが、エンディングの背景みたいなのを語っているので、まっさらな状態でプレイしたい人はスルー推奨)


よくある思考実験に
「猿にタイプライターを打たせたら、いつか必ずシェイクスピアの作品が現れる」
というものがあります。(無限の猿定理
要するにランダムにアルファベットを出力したらどんなパターンもいつか出てくるよ、という話です。有限の時間内でやろうとしたら1億年だろうが1兆年だろうがほぼ出てこない(確率は極めて0に近い)んですが、無限に続けたらほとんど確実に出てくる(確率が1に収束する)。それだけ無限というのは途方もない。

同じことが宇宙でも言えるんですね。
もし宇宙に存在する粒子の数が有限で、なおかつ宇宙そのものが無限個存在すると仮定した場合、今この瞬間の我々のいる宇宙の粒子配列と全く同じ別の宇宙もほとんど確実に存在します1。少々粒子がずれても構わないと条件を緩めればもっとたくさん存在するでしょう。
ゆえにあのようなエピローグもありうるし、どれだけ途方もない時間が経過したかもわかる。だからこそ彼女の想いを想像するとちょっと泣けてくるんですよね。

全く同じ世界もあれば、全く異なる世界もある。この宇宙の未来だって無限の可能性がある。
まさに次元を超えた恋、『ディメンションラバース』というタイトルにふさわしい物語でした。

別の次元の世界には特殊能力でバトりながら可愛い女の子とイチャイチャしてる私もいるんでしょうか…

  1. マサチューセッツ工科大学のマックス・テグマーク博士は「我々の宇宙と同じ素粒子の並びをした別の宇宙が10の(10の118乗)乗先までに存在する」と提唱しました ↩︎

記事中に使用している画像の著作権はCRYSTALiAに帰属します

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